科 目 | 応用化学実験III ( Laboratory Work III in Applied Chemistry ) | |||
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担当教員 | 大淵 真一 教授,九鬼 導隆 教授,宮下 芳太郎 教授,久貝 潤一郎 准教授,下村 憲司朗 准教授,増田 興司 講師 | |||
対象学年等 | 応用化学科・4年・通年・必修・4単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・ 教育目標 |
A4-C1(10%) A4-C2(10%) A4-C3(10%) A4-C4(20%) A4-C5(10%) B1(5%) B2(5%) C1(10%) C4(10%) D1(10%) | |||
JABEE 基準1(1) |
(b),(d)1,(d)2-a,(d)2-b,(d)2-d,(e),(f),(g),(h) | |||
授業の概要 と方針 |
座学の内容にそって,化学工学,分析化学,生物工学の実験に取り組む.化学工学と分析化学の機器を用い,与えられたテーマに対してグループ内や指導教官とともに議論することで解決策を導き出す能力を養う. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-C1】 IRスペクトル,NMRスペクトルより有機化合物の構造を同定できる. | 2 | 【A4-C2】 X線回折データから未知物質の同定ができる.熱分析データの解析ができる. | 3 | 【A4-C3】 吸光光度分析,原子吸光分析の吸光度の測定ができ,そのデータ解析ができる. | 4 | 【A4-C4】 各化学工学実験の操作法を習得でき,その原理を理解しデータの解析ができる. | 5 | 【A4-C5】 各生物工学実験の操作法を習得でき,その原理を理解しデータの解析ができる. | 6 | 【B1】 実験結果を適切に表す図・表が書ける. | 7 | 【B2】 グループ内で建設的な議論を行い,共同して作業を遂行し,よい発表ができる.また自分自身や他者の発表に適切に応答できる. | 8 | 【C1】 専門知識を応用して得られた結果を的確に解析することができる. | 9 | 【C4】 期限内に実験報告書を提出できる. | 10 | 【D1】 機器の取り扱いに注意し,安全に実験に取り組むことができる. |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 「IRスペクトル実験」,「NMRスペクトル実験」への取組み・達成度およびレポートの内容で評価する. | |
2 | 「X線回折実験」,「熱分析実験」への取組み・達成度およびレポートの内容で評価する. | |||
3 | 「吸光光度分析実験」,「原子吸光分析実験」への取組み・達成度およびレポートの内容で評価する. | |||
4 | 各化学工学実験への取組み・達成度およびレポートの内容で評価する. | |||
5 | 各生物工学実験への取組み・達成度およびレポートの内容で評価する. | |||
6 | 各テーマ毎のレポートの内容で評価する. | |||
7 | 各テーマ毎のグループ内での共同作業への取組みとレポートで評価する. | |||
8 | 各テーマのレポートの内容で評価する. | |||
9 | 各テーマ毎のレポートの提出状況で評価する. | |||
10 | 安全に実験が行われているか,各テーマへの実験の取組みで評価する. | |||
総 合 評 価 |
成績は,レポート85% 実験技術(取組み・達成度)15% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.また未提出のレポートがある場合は上記の評価方法は適用しない.提出が遅れた場合にはその日数に比例して減点する. | |||
テキスト | 「化学工学実験」:東畑平一郎ら(産業図書) 「新生物化学実験のてびき1,2」:下西庚嗣ら(化学同人) プリント |
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参考書 | 「有機化合物のスペクトルによる同定法(第6版)」:荒木峻也他(東京化学同人) 「X線で何がわかるか」;加藤誠軌(内田老鶴圃) |
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関連科目 | 有機化学I,II,無機化学I,II,化学工学I,II,分析化学I,II,生物工学,生物化学I,有機合成化学 | |||
履修上の 注意事項 |
各分野の原理の理解が必要. |
回 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 実験ガイダンス,化学工学実験の説明,分析化学実験の説明 |
実験全体のガイダンス,化学工学実験室の使用方法と前期5テーマの内容説明,計測機器室の使用方法と分析化学実験5テーマの内容説明 | |
2 | 充填層と流動層 |
ガラス玉を充填物とした固液充填塔を用いて,流体の流動条件による圧損失および空隙率の変化の測定.粒子群の流動開始速度を実験より決定する. | |
3 | 減圧蒸発実験 |
減圧蒸発装置を使用して,蒸発過程を観察し,その物質収支について理解を深める. | |
4 | 蒸留塔の段効率 |
泡鐘式回分精留塔を用いて,全還流での精留をおこない,マッケーブーシール法から理論段数を求め精留に関する理解を深める. | |
5 | 粉砕,粒度分布の測定 |
海砂をボールミルで粉砕し,その経時変化による粒度分布を測定し,粉砕過程を理解する.粒度分布の測定には10個の篩を用いる.結果の処理は頻度曲線を用いてあらわす.実験での測定粒子径は80〜1000μmである. | |
6 | メタノール〜水系の気液平衡関係の測定 |
気液平衡曲線を求めるのには,気液平衡値(x,y)を10点くらい求める必要がある.ここでは適当な4点の気液平衡値からラージ(X,Y)線図法により残る6点を推算し,スモール(x,y)値に変換する.実測値の4点と,推算値の6点の10点よりx−y線図を作図する簡易平衡値推算法を理解する. | |
7 | IRスペクトル分析法(既知および未知有機化合物の測定と解析) |
薄膜法(ポリスチレン),KBr錠剤法(安息香酸,アジピン酸,サリチル酸),Nujol法(けい皮酸),溶液法(酢酸エチル,未知試料)のIRスペクトルを測定し,吸収位置から官能基を同定する. | |
8 | NMRスペクトル分析法(既知および未知有機化合物の測定と解析) |
エチルベンゼン,酢酸エチル,けい皮酸,未知試料のNMRスペクトルを測定し,吸収位置,多重度,積分値から化合物の構造を同定する. | |
9 | 吸光光度分析法(鉄鋼中のマンガンの定量) |
試料を酸で分解し,過ヨウ素酸ナトリウムを加えマンガンを過マンガン酸に酸化し,分光光度計で吸光度を測定しマンガンの含有率を求める. | |
10 | 原子吸光分析法(実験廃液中の重金属の定量) |
実験室から排出される水を,廃液処理室から採水し,原子吸光分析装置によりクロム,鉛,カドミウムを絶対検量線法により定量する. | |
11 | X線回折分析法および熱分析法 |
標準物質のX線回折図を測定し,JCPDSカード記載のデータと一致することを確かめたうえで,未知試料の回折データからHanawalt法を用いた同定を行う.また,硫酸銅五水和物のTG−DTAおよびDSC測定を行い,サーモグラムを解析することにより,五分子の水の結合状態に関する知見を得る. | |
12 | エンジニアリングデザイン演習(1) |
グループ分け,テーマ決定,個人での調査研究 | |
13 | エンジニアリングデザイン演習(2) |
テーマに関するデザイン演習,指導教官との議論,グルーブでの議論 | |
14 | エンジニアリングデザイン演習(3) |
テーマに関するデザイン演習,指導教官との議論,グルーブでの議論 | |
15 | エンジニアリングデザイン演習(4) |
グループごとによる成果の発表 | |
16 | 化学工学実験(後期)の説明,準備 |
後期6テーマの内容説明 | |
17 | 2重管式熱交換器の総括伝熱係数の実測 |
最も簡単な2重管式熱交換器を用いて,熱収支について学び,各種総括伝熱係数を算出し流量との関係を調べる. | |
18 | 流量測定 |
円管で流体輸送する場合に各種流量測定器(オリフィス,ベンチュリー,ピトー管)について圧力損失と流量(レイノルズ数)との関係を調べる.また各種継手(エルボ,拡大,縮小)の相当長さを算出する. | |
19 | 気液反応速度解析 |
亜硫酸ナトリウム水溶液の空気酸化反応を気泡塔で行い,その濃度を酸化還元滴定法で決定し,濃度の時間変化から反応速度が求める. | |
20 | 赤外線輻射加熱実験 |
熱源に赤外線ランプを使用し,受熱容器に水を入れた銅製の容器を用いて,金属面および黒面の距離を変えながらの照射時間ごとの温度上昇から,距離ごとの受熱速度を求め受熱量を算出する.金属面および黒面の照射距離と受熱量の関係式を求める. | |
21 | 恒圧濾過 |
減圧操作による恒圧濾過を行い,濾液量の計時変化を測定し,Ruthの濾過方程式によるデータ整理を行う.機械的分離操作に対する理解を深めることを目的とする. | |
22 | 液滴生成時の次元解析 |
水中に有機溶媒の液滴を生成させる実験結果を利用して,次元解析の手法を習得し,理解を深める. | |
23 | 生物工学実験の説明,準備 |
生物工学実験の内容説明と実験室および各種機器の使用方法のガイダンス. | |
24 | 落下細菌測定,大腸菌数検査 |
私たちの生活している空間には多数の微生物が浮遊している.肉眼では見えない微生物の世界を培養という微生物学的方法で観察する.空気中からの落下細菌を普通寒天培地,サンプル中の大腸菌群数をデソキシコレート培地で測定する. | |
25 | 植物からのゲノムDNA抽出 |
ゲノムDNAの解析を行うためには,その生物がもつゲノムDNAを調製しなければならない.本実験では,基本的な植物からのゲノムDNA抽出法の原理を学ぶ. | |
26 | タンパク質の電気泳動 |
タンパク質実験で最も基本的なSDS-PAGEの原理・操作を身につける.また,植物組織からの水溶性タンパク質の抽出法も習得する. | |
27 | PCRとTAクローニング |
PCRは遺伝子クローニングなどの遺伝子工学を利用した研究に欠かすことの出来ない技術である.本実験ではPCRの原理・操作を身につける.また,PCRによって増幅したDNAのアガロースゲル電気泳動とTAクローニングの原理・操作についても学ぶ. | |
28 | 大腸菌のコンピテントセル作成と形質転換 |
最もシンプルな塩化カルシウム法でコンピテントセルを作成し,大腸菌の形質転換を行なう.また,形質転換大腸菌を選抜する方法として,抗生物質,blue/whiteセレクションについて学ぶ. | |
29 | プラスミドDNAの抽出と確認 |
大腸菌にプラスミドDNAを導入した後には,形質転換大腸菌に目的のプラスミドDNAが入っているのかを確認する必要がある.本実験では大腸菌から最も一般的なアルカリSDS法によってプラスミドを抽出し,制限酵素を使って目的のDNA断片がクローニングできているのかを確認する. | |
30 | 実験全体のまとめと報告 |
実験の総まとめと実験室の修復. | |
備 考 |
中間試験および定期試験は実施しない.クラスを2グループに分け前期には2分野(化学工学実験,分析化学実験)を実施,後期には2分野(化学工学実験,生物工学実験)を実施. |