科 目 | 無機化学II ( Inorganic Chemistry II ) | |||
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担当教員 | (前期)宮下 芳太郎 教授,(後期)安田 佳祐 講師 | |||
対象学年等 | 応用化学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
A4-C2(100%) | |||
授業の概要 と方針 |
2年生で学習しなかった典型元素および遷移元素の各論を学ぶとともに,原子価結合法と結晶場理論を用いて錯体の構造と物性との関係を学ぶ.また,放射化学について学習する. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-C2】 12族元素の単体および化合物の名称や製法,性質を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せる. | 2 | 【A4-C2】 14〜17族元素(典型元素)の単体および化合物の名称や製法を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せる.また,単体や化合物の性質を電子配置と関連づけて説明できる. | 3 | 【A4-C2】 酸化数について理解し,酸化還元反応式をつくることができる. | 4 | 【A4-C2】 代表的な分子の構造や対称性について理解し,説明できる. | 5 | 【A4-C2】 3〜10族元素(遷移元素)の単体および化合物の名称や製法,性質を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せる. | 6 | 【A4-C2】 錯体の命名法が理解できる. | 7 | 【A4-C2】 原子価結合法と結晶場理論を用いて錯体の構造と物性(磁化率,錯体の色)を理解し,説明できる. | 8 | 【A4-C2】 放射性崩壊の種類や崩壊速度などの核化学に関する基本的事項を理解し,説明できる.年代測定の計算ができる. | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 12族元素の単体および化合物の名称や製法,性質を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せるかを,前期中間試験,前期小テストおよび前期レポートで評価する. | |
2 | 14〜17族元素の単体および化合物の名称や製法を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せるか,単体や化合物の性質を電子配置と関連づけて説明できるかを,前期中間・定期試験および前期小テストで評価する. | |||
3 | 酸化数について理解し,酸化還元反応式をつくることができるかを,前期中間・定期試験および前期小テストで評価する. | |||
4 | 代表的な分子の構造や対称性について理解し,説明できるかを,前期定期試験,前期小テストおよび前期レポートで評価する. | |||
5 | 3〜10族元素の単体および化合物の名称や製法,性質を理解し,種々の物質との反応を化学反応式で示せるかを,後期中間試験,後期小テストおよび後期レポートで評価する. | |||
6 | 錯体の命名法が理解できているかを,後期定期試験および後期小テストで評価する. | |||
7 | 原子価結合法と結晶場理論を用いて錯体の構造と物性(磁化率,錯体の色)を理解し,説明できるかを,後期定期試験,後期小テストおよび後期レポートで評価する. | |||
8 | 放射性崩壊の種類や崩壊速度などの核化学に関する基本的事項を理解し説明できるか,また,地質の年代や動植物の年代測定などの応用問題が解けるかを,後期定期試験および後期小テストで評価する. | |||
9 | ||||
10 | ||||
総 合 評 価 |
前期成績は到達目標1〜4についての試験70%,レポート15%,小テスト15%で評価する.後期成績は到達目標5〜9についての試験80%,レポート10%,小テスト10%で評価する.総合成績は前期成績と後期成績の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする. | |||
テキスト | 「演習形式で学ぶ やさしい無機化学」 :前野昌弘著(裳華房) 「改訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」:数研出版編集部編 「化合物命名法−IUPAC勧告に準拠−」:日本化学会命名法専門委員会編(東京化学同人), および講義資料(プリント) |
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参考書 | 「基礎無機化学」:下井守著(東京化学同人) 「詳説無機化学」:福田豊他編(講談社) 「化学教科書シリーズ−無機化学演習」:小倉興太郎著(丸善) 「化学演習シリーズ7−無機化学演習 大学院入試問題を中心に」:中沢浩編著(東京化学同人) |
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関連科目 | 無機化学I(C2),分析化学I(C2),分析化学II(C3),応用物理I(C3) | |||
履修上の 注意事項 |
上記の関連科目を十分学習し,理解しておくことが望ましい. |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 亜鉛族元素(Zn, Cd, Hg) (1) |
亜鉛族に属する元素とそれらのもつ電子構造の特徴を説明する.この族の元素の化学的性質の共通点と相違点について説明する.塩化水銀の構造や磁性についても触れる. | |
2 | 亜鉛族元素(Zn, Cd, Hg) (2) |
+2だけでなく+1の酸化数をとる水銀の化合物の反応について説明する.亜鉛族元素の生体への作用について述べる.亜鉛族の主な化合物と反応性を説明する. | |
3 | 炭素族元素(C, Si, Ge, Sn, Pb) (1) |
原子番号の増加とともに非金属から金属へと明確な変化がある炭素族元素について,電子構造の特徴と化学結合との関係を説明する.また,炭素の同素体について説明する. | |
4 | 炭素族元素(C, Si, Ge, Sn, Pb) (2) |
無機化合物の多形について述べる.炭素の主な化合物(一酸化炭素と二酸化炭素)の製法と性質・用途を説明する. | |
5 | 炭素族元素(C, Si, Ge, Sn, Pb) (3) |
ケイ素の化合物であるガラスの種類や性質などを説明する.半導体の基礎と応用について述べる.スズや鉛の単体や化合物について,それらの反応性や用途を説明する. | |
6 | 窒素族元素(N, P, As, Sb, Bi) (1) |
代表的な窒素化合物(アンモニアや硝酸など)の実験室的および工業的製法について,化学平衡や反応速度と関連づけて説明する. | |
7 | 窒素族元素(N, P, As, Sb, Bi) (2) |
硝酸,亜硝酸,王水の性質および反応について説明する.リンの同素体について説明する. | |
8 | 中間試験 |
第1週から第7週までの内容で中間試験を行う. | |
9 | 中間試験の解答,窒素族元素(N, P, As, Sb, Bi) (3) |
中間試験の解答を行う.リンの化合物について,構造や酸化数の観点から説明する.ヒ素,アンチモン,ビスマスの主な反応や検出法について述べる. | |
10 | 酸素族元素(O, S, Se, Te, Po) (1) |
酸素化合物や硫黄化合物を例として,分子の構造を原子価殻電子対反発則(VSEPR則)を用いて定性的に推定する方法を説明する. | |
11 | 酸素族元素(O, S, Se, Te, Po) (2) |
分子の対称性および分子軌道法について簡単に説明する.酸素の単体の物理的性質や電子構造についても述べる. | |
12 | 酸素族元素(O, S, Se, Te, Po) (3) |
酸素の単体の実験室的製法を説明するとともに,酸素や硫黄の化合物の反応性について,構造や酸化数の観点から説明する. | |
13 | 酸素族元素(O, S, Se, Te, Po) (4) |
酸化還元反応式をつくる演習を行う.硫化物イオンを用いた定性分析や硫酸の工業的製法(接触法)について説明する. | |
14 | ハロゲン元素(F, Cl, Br, I, At) (1) |
ハロゲン元素の一般的性質を説明する.ハロゲン元素の単体の製法について酸化還元反応と関連づけて説明する.ハロゲン元素を含むオキソ酸の酸化力や酸性度について,酸化数の観点から説明する. | |
15 | ハロゲン元素(F, Cl, Br, I, At) (2) |
ハロゲン化水素の製法や性質について,HSAB則の観点から説明する.これまで学習した内容に関して総合的な演習を行う. | |
16 | 定期試験の解答,スカンジウム族元素(Sc,Y,La) ,内遷移元素(ランタノイド・アクチノイド) |
定期試験の解答を行う.第3族内の名称(スカンジウム族・ランタノイド・ランタニド・希土類元素)の違いを理解し,族の通性と各元素の反応や性質などについて学習する.また,内遷移元素の特徴と主な元素の性質や用途について学習する. | |
17 | チタン族元素(Ti,Zr,Hf) |
チタン族の通性を理解し,特にチタンの反応や性質,化合物などについて学習する. | |
18 | バナジウム族元素(V,Nb,Ta) |
バナジウム族の通性を理解し,特にバナジウムの反応や性質(縮合した化合物であるイソポリ酸を作りやすい)などについて学習する. | |
19 | クロム族元素(Cr,Mo,W)(1) |
クロム族の通性を理解し,クロム族各元素の反応や性質,化合物などについて学習する. | |
20 | クロム族元素(Cr,Mo,W)(2) ,マンガン族元素(Mn,Tc,Re) |
クロム族各元素の反応(特に,酸化還元反応)や性質などについて学習する.マンガン族の通性を理解し,特にマンガンの反応や性質,化合物などについて学習する. | |
21 | 鉄族元素(Fe,Co,Ni)(1) |
鉄族の通性を理解し,鉄の反応や性質,化合物などについて学習する. | |
22 | 鉄族元素(Fe,Co,Ni)(2),白金族元素(Ru,Rh,Pd,Os,Ir,Pt) |
コバルトとニッケルの反応や性質,化合物などについて学習する.白金族元素の反応や性質,化合物などについて学習する. | |
23 | 中間試験 |
第16週から第22週までの内容で中間試験を行う. | |
24 | 中間試験の解答,錯体の立体構造 |
中間試験の解答を行う.金属錯体の配位数と立体構造について説明する. | |
25 | 錯体の命名法,原子価結合法による錯体の電子配置 |
錯体の命名法について説明する.また,原子価結合法による錯体の立体構造を混成軌道を用いて説明する. | |
26 | 錯体の結晶場理論による錯体の色とd電子遷移 |
dーd遷移時における軌道間のエネルギー差と錯体の持つ色の違いとの関係を結晶場理論を用いて説明する. | |
27 | 高スピン型錯体と低スピン型錯体 |
八面体構造を有する高スピン型錯体(外軌道型)と低スピン型錯体(内軌道型)について説明する. | |
28 | 錯体の磁性,放射性崩壊 |
錯体の磁気モーメントを計算し,実測値からスピン数を推定する.そのスピン数から実際の錯体の構造を説明する.また,放射線の種類やその性質について説明し,放射性崩壊による原子番号と質量数変化について説明する. | |
29 | 放射性速度と年代測定 |
放射性壊変速度に関する基本的な事項(壊変定数,半減期)を説明する.また,この関係を用いた年代測定法を学習する. | |
30 | 核の結合エネルギー・放射線化学に関する演習,核の平和利用 |
質量欠損から原子核の結合エネルギーを求める.また,放射線化学に関する演習問題を解く.原子炉における制御方法について学習する. | |
備 考 |
前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. |