【 2014 年度 授業概要】
科   目 電気化学 ( Electrochemistry )
担当教員 安田 佳祐 講師
対象学年等 応用化学専攻・2年・前期・選択・2単位
学習・
教育目標
A4-AC3(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
電池や電気分解を中心に各種電気化学反応の特徴と応用分野における役割を述べる.電気化学がエネルギー貯蔵,エネルギー変換,無機合成,表面処理,電子工学,環境化学などと密接な関連を持ち,それぞれの分野で重要な役割を果たしていることを講義する.また,その他電気化学に関連する新しい機能性材料および先端技術についても述べる.



1 【A4-AC3】 電子伝導性,イオン伝導性,起電力,電極電位,電極反応速度などの電気化学の基礎が理解できる.
2 【A4-AC3】 サイクリックボルタンメトリーなどの電気化学計測技術が理解できる.
3 【A4-AC3】 一次電池・二次電池・燃料電池・太陽電池の原理および特徴が理解できる.
4 【A4-AC3】 表面処理などへの電気化学の応用が理解できる.
5 【A4-AC3】 エネルギー・環境問題と電気化学の関連性が理解できる.
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1 電子伝導性,イオン伝導性,起電力,電極電位,電極反応速度などの電気化学の基礎について理解し,説明できるかを前期レポートおよび前期中間試験で評価する.
2 電気化学計測法の原理と用途について理解し,説明できるかを前期レポートおよび前期中間試験で評価する.
3 一次電池・二次電池・燃料電池・太陽電池の原理,エネルギー密度,出力・寿命特性について理解し,説明できるかを前期レポートおよび前期定期試験で評価する.
4 表面処理における反応,生産性について理解し,説明できるかを前期レポートおよび前期定期試験で評価する.
5 エネルギー・環境問題への電気化学の貢献について理解し,説明できるかを前期レポートおよび前期定期試験で評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「電気化学概論」:松田 好晴・岩倉 千秋 共著(丸善)
参考書 「電気化学」:渡辺 正・金村 聖志・益田 秀樹・渡辺 正義 共著(丸善)
「基礎からわかる電気化学」:泉 生一郎・石川 正司・片倉 勝己・青井 芳史・長尾 恭考 共著(森北出版)
「ベーシック 電気化学」:大堺 利行・加納 健司・桑畑 進 共著(化学同人)
関連科目 C2無機化学I,C2分析化学I,C3無機化学II,C3分析化学II,C4物理化学I,C5エネルギー工学,AC1無機合成化学
履修上の
注意事項
上記科目を十分に理解した上で履修することが望ましい.

【授業計画( 電気化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電気化学の歴史と応用分野
「動物電気説」の発見を端緒として誕生した電気化学の発展の過程と応用分野の広がりについて解説する.
2 電気化学系の姿
電気分解を中心として,電極と電解質の界面の構造・電気二重層の形成・電位の分布について触れた後,水素や酸素の発生の経路について解説する.また,電気量,電気化学当量,ファラデーの法則について解説する.
3 電解質
物質の導電率を電子伝導体とイオン伝導体を比較しながら解説する.
4 電池の起電力と電極電位
物質の電子の授受のし易さの表し方および標準電極電位の決め方について解説する.電池の起電力について解説した後,電極と電解質の界面に生ずる電位の温度依存性や物質の濃度依存性について解説する.
5 電極反応速度(1)
電位が決める反応速度(電流)について解説する.また,電位,過電圧と電流の関係について解説する.
6 電極反応速度(2)
物質輸送が決める反応速度(電流)について解説する.また,電位,過電圧と電流の関係について解説する.
7 電気化学計測
濃度や温度などの化学量や物理量を電圧,電流,抵抗に変化して計測する技術について,電気化学の観点から解説する.
8 中間試験
第1週から第7週までの内容で中間試験を行う.
9 中間試験の解答,電池の歴史と一次電池
中間試験の解答を行う.物質の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器としての電池の特徴について解説する.また,ボルタ電池以来現在までに発明された電池の歴史と,乾電池のような充放電の繰り返しができない一次電池について解説する.
10 二次電池
自動車で使われている鉛蓄電池や携帯電話のリチウムイオン電池を中心とした充電して再使用できる二次電池について解説する.
11 燃料電池
電極に活物質(反応物)を連続的に供給し,反応生成物を連続的に取り除くことで,安定して電流を取り出すことのできる燃料電池の特長,研究開発の歴史,実用化の現状,将来の展望について解説する.
12 光電気化学
半導体に光が当たった時の起電力の発生について解説する.また,その原理に基づく太陽電池の構成とその技術動向を解説する.
13 めっき・表面加工
水溶液中の金属イオンのカソード還元により金属薄膜を形成せる電気メッキについて解説する.また,外部電源を用いず還元剤のアノード酸化反応を利用する無電解メッキについて解説する.
14 腐食・防食
金属の腐食機構とその防食方法について解説する.
15 エネルギー・環境問題と電気化学
エネルギー変換,エネルギー貯蔵,排水処理,排ガス処理,環境浄化などの生活・地球環境と電気化学の関連について解説する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 前期中間試験および前期定期試験を実施する.