【 2014 年度 授業概要】
科   目 無機合成化学 ( Synthetic Inorganic Chemistry )
担当教員 宮下 芳太郎 教授
対象学年等 応用化学専攻・1年・前期・選択・2単位
学習・
教育目標
A4-AC2(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
無機物質の合成では,共有結合だけでなくイオン結合や配位結合が重要であり,扱う元素の種類も周期表の全体にわたる.また,立体化学の複雑さから,分離操作や選択的合成が必要となることも多い.この多様性に富む無機合成について,液相合成法をはじめとする各種合成法の原理,短所,応用例を講義する.錯体生成反応を理解するために必要な結合理論や,無機物質の潜在危険性についても触れる.



1 【A4-AC2】 気相合成法および固相合成法の特徴が理解できる.
2 【A4-AC2】 液相合成法に関して,析出反応や加水分解・縮重合反応などの特徴が理解できる.
3 【A4-AC2】 無機物質の潜在危険性とその安全な取扱い方が理解できる.
4 【A4-AC2】 錯体の結合理論が理解できる.
5 【A4-AC2】 錯体の構造と立体化学,立体選択性が理解できる.
6 【A4-AC2】 置換活性錯体と置換不活性錯体における生成反応の違いが理解できる.
7 【A4-AC2】 幾何異性体・光学異性体の分離・分割法が理解できる.
8 【A4-AC2】 錯体の構造決定や物性評価の方法が理解できる.
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1 気相合成法および固相合成法の特徴について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
2 液相合成法に関して,析出反応や加水分解・縮重合反応などの特徴について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
3 無機物質の潜在危険性とその安全な取扱い方について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
4 錯体の結合理論について理解し,説明できるかを,中間・定期試験で評価する.
5 錯体の構造と立体化学,立体選択性について理解し,説明できるかを,中間・定期試験およびレポートで評価する.
6 置換活性錯体と置換不活性錯体における生成反応の違いについて理解し,説明できるかを,定期試験で評価する.
7 幾何異性体・光学異性体の分離・分割法について理解し,説明できるかを,定期試験で評価する.
8 錯体の構造決定や物性評価の方法について理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 講義資料(プリント)
参考書 「溶液を場とする無機合成」:永長久彦著(培風館)
「第5版実験化学講座23−無機化合物」:日本化学会編(丸善)
「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」:基礎錯体工学研究会編(講談社)
「金属錯体の構造と性質」:三吉克彦著(岩波書店)
「無機化学命名法−IUPAC2005年勧告−」:N.G.Connellyら共著,日本化学会化合物命名法委員会訳(東京化学同人)
関連科目 本科C2の「無機化学I」「分析化学I」「応用化学実験I」,本科C3の「無機化学II」「分析化学II」,本科C5の「材料化学」
履修上の
注意事項
上記関連科目を十分に理解した上で履修することが望ましい.

【授業計画( 無機合成化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 緒論,気相合成法,固相合成法
無機合成化学の全般的な概要について述べる.液相合成法以外の合成法である気相合成法および固相合成法について述べる.
2 析出反応(1)
液相合成法のひとつである沈殿法に関して,水酸化物や硫化物を例に挙げ説明する.
3 析出反応(2),加水分解・重縮合反応
均一沈殿法および共沈殿法について説明する.加水分解を伴う重縮合反応を制御するゾル-ゲル法について述べる.
4 水熱合成法,その他の液相合成法
高温・高圧下の水が反応に関与する水熱合成法について述べる.その他の液相合成法である溶融法,単結晶合成法などについて述べる.
5 無機化合物の潜在危険性と安全管理
無機化合物の潜在的な危険性について述べた後,それらを安全に取り扱う方法を説明する.
6 錯体化学概論
錯体の構造や命名法について述べる.
7 錯体の結合理論
原子価結合理論,結晶場理論,分子軌道理論について説明する.
8 中間試験
中間試験を行う.
9 中間試験解答,配位立体化学(1)
中間試験の解答を行う.錯体の立体構造について対称性の観点から説明する.
10 配位立体化学(2),錯体生成反応(1)
錯体の立体構造について異性体の観点から説明する.錯体の合成設計に関して,置換活性錯体と置換不活性錯体とに分類して説明する.
11 錯体生成反応(2)
置換不活性錯体であるCo(III)錯体の直接合成法と誘導合成法について説明する.
12 錯体の分離・精製と立体選択性
生成した幾何異性体や光学異性体を分離・分割する方法について説明する.
13 錯体の合成操作
典型的な錯体の合成操作例を紹介する.
14 錯体の構造決定と物性評価
合成した錯体におけるキャラクタリゼーションの方法について述べる.
15 無機合成化学トピックス
無機合成化学に関する最近のトピックスを紹介する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 前期中間試験および前期定期試験を実施する.授業時間内には配布プリントの内容すべてに触れることはできないので,自習すること.