【 2014 年度 授業概要】
科   目 現代思想文化論 ( A Study of Modern Thinking and Culture )
担当教員 手代木 陽 教授
対象学年等 全専攻・1年・前期・必修・2単位
学習・
教育目標
D2(100%)
JABEE
基準1(1)
(a)
授業の概要
と方針
グローバル化の進行に伴い,アメリカをはじめとする西欧自由主義諸国の政治経済のシステムの支配が全世界に拡大する一方で,国家,民族,宗教,文化間においてこれまでにない新たな対立や格差が生じている.こうした対立や格差を解消するためには「地球全体」という視点が不可欠であるが,「地球全体」がいかなる全体であるかは必ずしも明らかではない.本講義では様々な倫理的対立の諸問題を取り上げながら,「地球全体」という視点をどこに見出すべきかを探求する.



1 【D2】 グローバル化の問題の解決には「地球全体」という視点が不可欠であることを,様々な倫理的対立の諸問題を通して理解する.
2 【D2】 グローバル化の諸問題について,「地球全体」という視点に立って自分の意見を矛盾なく展開できる.
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1 グローバル化の問題を「地球全体」という視点から正しく理解できているか,定期試験で評価する.
2 グローバル化の諸問題について,「地球全体」という視点に立って自分の意見を矛盾なく展開できるか,定期試験および毎回授業で課すレポートで評価する.
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成績は,試験50% レポート50% として評価する.毎回授業の最後に提出する小レポートの評価を重視する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト ノート講義
参考書 プリント資料
関連科目 応用倫理学
履修上の
注意事項
なし

【授業計画( 現代思想文化論 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 グローバル・エシックスとは?
グローバル化の諸問題を概観し,それに対するグローバル・エシックスのアプローチについて解説する.
2 市場社会と倫理
市場社会の倫理である功利主義について,「暴走電車の倫理」を取り上げながら批判的に検討する.
3 グローバル化と平等(1)
マイノリティを優遇する「アファーマティブ・アクション」の是非について検討する.
4 グローバル化と平等(2)
先進国には途上国を援助する義務があるか,P.シンガーの倫理観を手掛かりに検討する.
5 グローバル化と戦争(1)
正義のための戦争は許されるか,M.ウォルツァーの「正戦論」について検討する.
6 グローバル化と戦争(2)
永遠平和の実現の可能性を模索したカントの平和論の現代的意義について考える.
7 グローバル化と異文化理解(1)
異文化理解の可能性について,C.テイラーの多文化主義について解説する.
8 グローバル化と異文化理解(2)
捕鯨問題を巡る欧米と日本の対立を倫理的に考察する.
9 グローバル化と生命倫理(1)
代理出産や卵子提供などの生殖補助医療技術をビジネスとして行うことに是非について考える.
10 グローバル化と生命倫理(2)
「人間の尊厳」が医療技術の倫理的基礎として有効であるか,日本とドイツの見解の差異を通して考える.
11 グローバル化と生命倫理(3)
肉体の「治療」ではなく,「改善」や「増強」を目的とするエンハンスメントの是非について考える.
12 グローバル化と環境倫理(1)
市場社会のシステムで地峡温暖化問題を解決できるか,排出権取引の是非をめぐる議論を通して検討する.
13 グローバル化と環境倫理(2)
「人類全体」の存続という視点から環境保護の義務を主張するH.ヨナスの世代間倫理について検討する.
14 グローバル化と環境倫理(3)
人間と自然の「和解」という視点に立つマイヤー=アービッヒの環境倫理について検討する.
15 まとめ
これまでの講義を踏まえて,グローバル化の問題を解決するために「地球全体」という視点をどこに見出すべきか,各自の意見をまとめる.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 前期定期試験を実施する.