【 2012 年度 授業概要】
科   目 応用数学II ( Applied Mathematics II )
担当教員 中村 佳敬 講師
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III )
学習・
教育目標
A1(100%)
JABEE
基準1(1)
(c),(d)1
授業の概要
と方針
応用数学IIは電磁気学,電気回路,制御工学などを学習するための基礎となる数学であることを念頭に置いて授業を行う.理解を深めるため,演習を重視した内容とし,電気工学に関する課題や演習を出来るだけ多く取り入れた内容とする.



1 【A1】 単純な波形のラプラス変換が計算できる,ラプラス変換の基本的性質を説明できる.
2 【A1】 簡単なたたみこみ計算ができる.
3 【A1】 ラプラス変換を使って簡単な常微分方程式が解け,ラプラス変換を使って簡単な系の伝達関数の説明ができる.
4 【A1】 単純な波形をフーリエ級数にすることができ,フーリエ級数の基本的性質が説明できる.
5 【A1】 単純な波形を複素フーリエ級数に展開できる.複素フーリエ係数を出すことができる.
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1 単純な波形のラプラス変換が計算できる,ラプラス変換の基本的性質を説明できることを応用数学基礎力試験と前期中間試験,レポートで60%正解を合格として評価する.
2 簡単なたたみこみ計算ができることを前期定期試験で60%正解を合格として評価する.
3 ラプラス変換を使って簡単な常微分方程式が解け,ラプラス変換を使って簡単な系の伝達関数の説明ができることを前期定期試験とレポートで60%正解を合格として評価する.
4 単純な波形をフーリエ級数に展開でき,フーリエ級数の基本的性質が説明できることを後期中間試験と授業内の演習で,フーリエ級数で合成できることをレポートで60%正解を合格として評価する.
5 単純な波形を複素フーリエ級数に展開できること,複素フーリエ係数を出すことができることを後期定期試験で60%正解を合格として評価する.
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成績は,試験85% レポート5% 応用数学基礎力試験10% として評価する.成績は,中間・定期試験85% 応用数学基礎力試験10% レポート5% として評価する.試験成績は中間試験と定期試験の平均値を採用する.試験成績85点,応用数学基礎力試験10点とレポート評価点5点の100点満点で評価し60点以上で合格とする.
テキスト 「応用数学」:田河他著(大日本図書出版社)
参考書 「解析学概論」:矢野健太郎,石原繁(裳華房)
「応用解析学入門」:白井宏著(コロナ社)
「現代 基礎電気数学」:卯本重郎(オーム社)
「やさしいフーリエ変換」:松尾博著(森北出版社)
関連科目 電磁気学,電気回路,制御工学,数値解析
履修上の
注意事項
本科目は専門科目の基礎科目です.本科目の受講には特に,微分,積分また微分方程式の知識が必要です.このため,3年までの数学I,II,また電気数学の学習をしっかりしておくことが重要です.

【授業計画( 応用数学II )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンスと応用数学基礎力試験
1年間の授業計画の説明,授業に対する諸注意.応用数学履修に必要な数学的基礎力を試験で評価する.
2 ラプラス変換の定義,ラプラス変換の例
変換とはどのようなものか,次にラプラス変換とはどのようなものかなどの定義を学ぶ.ラプラス変換をいくつかの例で実際行う.学生は,部分積分の計算,極限における計算ができる必要がある,(この時点では複素微分,複素積分をまだ学んでいない)ことに注意.
3 基本的性質,例題問題1
ラプラス変換に関する線形性,原関数の原点移動のラプラス変換に関する性質を学ぶ.それに関する例題問題を解く.
4 基本的性質,例題問題2
像関数の原点移動の性質を学ぶ.原関数の微分積分のラプラス変換に関する性質を学ぶ.例として簡単なR,Cの電気回路の微分方程式のラプラス変換を行う.ラプラス変換を行う問題のレポート課題をだす.
5 演習
ラプラス変換の基本的性質の内容を演習で行う.
6 たたみこみ,例題問題
たたみこみとは何か学ぶ,たたみこみの定義とそのラプラス変換を学ぶ.例題問題する.
7 演習
たたみこみ計算とたたみこみのラプラス変換に関して演習する.
8 中間試験
1回から7回目までが試験範囲.どのような方法を用いてもよいので,簡単な関数のラプラス変換ができることを評価する.基本的なラプラス変換の性質が理解できていることを評価する.
9 中間試験問題解説,逆ラプラス変換
中間試験問題解説する.ラプラス像関数から原関数を求める(変換表の像関数にあるような部分分数にして原関数を求める)方法を学ぶ.
10 逆ラプラス変換,例題問題
例題,問題で逆ラプラス変換を行う.たたみこみをその定義の積分から求める方法とラプラス変換,逆変換で求める方法を学ぶ.
11 演習
学生は演習で次を行う.ラプラス像関数から原関数を求める.たたみこみをその定義の積分から求める方法とラプラス変換,逆変換で求める.
12 常微分方程式解法への応用,例題問題
常微分方程式をラプラス変換すると未知関数の像関数は代数で求まることを学ぶ.未知関数は,その結果を逆ラプラス変換することより求まることを学ぶ.
13 演習
教科書の常微分方程式の問題をラプラス変換を用いて解く.
14 デルタ関数と系の伝達関数,例題問題
デルタ関数について学ぶ.インパルス応答と伝達関数を学ぶ.微分方程式の解のうち外力による項は,外力とインパルス応答とのたたみこみであることを学ぶ.
15 演習
教科書内外の常微分方程式の問題をラプラス変換またはたたみこみを用いて解く.系の伝達関数を求める.
16 前期定期試験問題解説,フーリエ級数の定義
前期定期試験問題解説する.フーリエ変換とはどのようなものか学ぶ,フーリエ級数の定義を学ぶ.
17 フーリエ級数展開の例
簡単な例(矩形波)でフーリエ係数を求め,それでフーリエ合成を近似して黒板にグラフ表示して見せる.
18 フーリエ級数展開と合成の例レポート課題について
簡単な例でフーリエ係数を求め,それでフーリエ合成を近似して黒板にグラフ表示して見せる.その級数はフリーソフトを使ってパソコンで簡単に近似合成できるのでそれをレポート課題とする.
19 フーリエ級数の性質
レポート課題解説する.原関数が偶関数の場合,奇関数の場合のフーリエ級数,原関数の導関数のフーリエ級数を学ぶ.例を用いてそのフーリエ級数を求める
20 例題問題,演習,レポート課題
その他の簡単な例でフーリエ係数を求める.その級数はフリーソフトを使ってパソコンで簡単に近似合成できるのでそれらのいくつかを2番目のレポート課題とする.
21 フーリエ級数の性質
レポート課題の解説をする.フーリエ級数の収束について紹介.ある種の級数が原関数とフーリエ級数の関係から求まることを学ぶ.パーセバルの定理を学ぶ.時間軸周波数軸でのエネルギー密度の分布の関係を学ぶ.線スペクトラムとは何か学ぶ.歪み率について学ぶ.
22 演習
ここまでのフーリエ級数の内容で演習をする.
23 中間試験
16回目から22回目までが試験範囲.簡単な関数のフーリエ級数を求めることができるか,またある種の級数が原関数とフーリエ級数の関係から求めることができるか試験で評価する.パーセバルの定理,歪み率が理解されているか試験で評価する.
24 中間試験問題解説,複素フーリエ級数
中間試験問題解説をする.複素フーリエ級数の定義を学ぶ.簡単な例を複素フーリエ級数に展開する.
25 例題問題
手本として典型的な例を複素フーリエ級数に展開して見せる.
26 演習
簡単な例を複素フーリエ級数に展開させる.
27 偏微分方程式解法への応用
フーリエ級数で偏微分方程式(熱伝導方程式)を解く方法を学ぶ.
28 フーリエ変換,フーリエ変換の例
フーリエ変換定義を学び,逆フーリエ変換が成立することを紹介する.
29 フーリエ変換の性質
いくつかの簡単な例でフーリエ変換を行う,2,3のフーリエ変換の性質(移動則,微分則)について学ぶ.パーセバルの定理を学ぶ.時間軸周波数軸でのエネルギー密度の分布の関係を学ぶ.連続スペクトラムとは何か学ぶ.
30 演習
教科書内外の問題でフーリエ変換を行う.


本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.