【 2012 年度 授業概要】
科   目 電気磁気学II ( Electromagnetics II )
担当教員 森田 二朗 教授
対象学年等 電気工学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A2(100%)
授業の概要
と方針
電気磁気学のうち,磁性体,電磁界分野を担当し,講義および演習を行う.この分野では,電流によって作られる磁界発生の現象(アンペアの法則,ビオサバールの法則),電磁誘導現象を理解させることがメインとなる.理解を深めるためにレポート,小テスト(授業中の演習も含む)をできるだけ行う.演習の解答は,黒板を使って解答者本人に説明させることにより,プレゼンテーション能力も養う.



1 【A2】 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係を理解できる.磁気におけるガウスの法則が理解できる.
2 【A2】 アンペアの法則が理解できる.無限長の電線電流によって作られる磁束密度(B)の計算,円環ソレノイドの磁束密度(B)が理解できる.
3 【A2】 ビオ・サバールの法則が理解できる.有限長の電線電流,ループ状電流によって作られる磁束密度(B)が理解できる.
4 【A2】 磁気回路への変換理論が理解できる.またヒステリシス特性をもった磁性体の磁束密度(B)と磁界(H)の関係が理解できる.
5 【A2】 磁界中の電流に作用する力が理解できる.電磁誘導現象が理解できる.
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1 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係の理解の程度確認のために演習回答方式によるプレゼンテーション(小テスト含む)と前期中間試験での設問で評価する.試験の基本問題の80%以上を合格の目安とする.
2 アンペアの法則の理解程度,無限長の電線電流によって作られるBの計算,円環ソレノイドのBの理解の程度のいづれも課題レポートと前期中間試験の設問によって評価する.試験の基本問題の80%以上を合格の目安とする.
3 ビオ・サバールの法則の理解程度,有限長の電線電流,ループ状電流によって作られるBの理解程度のいづれも課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する.試験の基本問題の80%以上を合格の目安とする.
4 磁気回路への変換理論の理解の程度,ヒステリシス特性をもった磁性体のBとHの関係が理解程度のいづれも課題レポートと後期中間試験の設問によって評価する.試験の基本問題の80%以上を合格の目安とする.
5 磁界中の電流に作用する力の理解程度,電磁誘導現象の理解程度のいずれも課題レポートと後期定期試験の設問によって評価する.試験の基本問題の80%以上を合格の目安とする.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.レポート評価の中には小テスト,プレゼンテーションも含む.
テキスト 「電気学会大学講座 電気磁気学」:山田直平,桂井誠共著(電気学会)
「詳解 電気磁気学例題演習」:山口勝也著(コロナ社)
参考書 「電磁気学」:多田泰芳,柴田尚志共著(コロナ社)
「電磁気学」:卯本重郎著(昭晃堂)
「電磁気学」:石井良博著(コロナ社)
「電気磁気学」:安達三郎,大貫繁雄共著(森北出版)
関連科目 電気磁気学I,III,電気回路I,II,電気計測
履修上の
注意事項
電気磁気学の静電気を扱う電気磁気学Iと同時進行なので,電界と磁界とが混同しないよう注意が必要.4年生での電磁波,境界値問題を扱う電気磁気学IIIはIとIIの物理現象の理解が必要.2,3年生の電気回路I,IIとも電流を扱う時の説明で必要.3年生の電気計測はさぐりコイルによる漏れ磁束計測の測定の部分での磁束密度で扱う.

【授業計画( 電気磁気学II )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 日常生活の中の電気磁気学の法則
日常生活で扱っている磁石の話や誘導雷などの話を中心に,これから学ぼうとする電磁界の物理現象を定性的に解説する.
2 モーターの回転に関する定性的な解説
モーターの回転現象を小学校の時代に作ったことのある3極モータのデモを展示して,なぜ回転するのかを定性的に解説する.
3 直流と交流の違いの講義
2年生で扱った交流回路における記号法のjωLとか1/jωCなどの理屈を微分や積分表示での数式で表されること.電気磁気学では,その数式を物理現象から導出していることを解説する.
4 電流による磁束密度の発生,アンペアの法則
電流が流れると右ねじ回転軸方向に磁束密度が発生する.この強度はアンペアの周回積分の法則に従い,距離と電流の大きさによって決まることを解説する.
5 アンペアの法則を適用した演習I
無限長電線を例に取り,1本だけの場合,平行に配置した場合に同方向,異方向での電線間の磁束密度を求める方法を解説する.
6 アンペアの法則を適用した演習II
同軸ケーブルに往復電流を流した場合,空心円筒導線に電流を流した場合,2本の電線が並行配置でない場合のそれぞれの磁束密度を求める方法を解説する.
7 アンペアの法則を適用した演習III
環状ソレノイド,無限長ソレノイド内の磁束密度の求める方法を解説する.
8 中間試験
中間試験
9 試験の解答,復習
中間試験の解答を行い,同試験範囲の復習を行う.
10 磁性体の物性
磁化の定義,常磁性,反磁性,強磁性の材料特性を解説する.また材料別にに磁化率の大きさを比較しながら解説する.
11 強磁性体を含めたアンペアの法則の展開
強磁性体では,磁束密度と磁界とは比例関係とはならない.一般にヒステリシス特性をもち,磁界を高くしても磁束密度は飽和するような関係となる.このような関係のなかでのアンペアの法則を適用した場合の例をあげて解説する.
12 磁気回路の講義と演習
空隙をもった環状ソレノイドを例にあげ,アンペアの法則を適用したとき,電気回路からの類推によって構成される磁気回路の構成を解説する.
13 磁束密度におけるガウスの法則の講義と演習
磁束密度におけるガウスの法則を解説し,静電界分野でのガウスの法則と比較した例をあげて解説する.
14 アンペアの法則の復習と演習
前期の範囲で解説したアンペアの法則の総復習の反復演習を行い,解答説明を黒板を使ったプレゼンテーションする.
15 強磁性体を含めた磁気回路の演習
前期の範囲の内容のうち,強磁性体を含めた磁気回路の反復演習を行い,解答説明を黒板を使ったプレゼンテーションする.
16 試験の解答,復習
前期定期試験の解答を行い,同試験範囲の復習を行う.
17 ビオ・サバールの法則
ビオ・サバールの法則を使った直線有限長電線電流から作られる磁束密度の計算方法を解説する.
18 有限直線電流によって作られる磁界の演習
前週に引き続き,直方体3辺に電流が流れた場合,指定座標位置での磁束密度の計算方法を解説する.
19 ループ状電流によって作られる磁界の演習
ループ状電線に電流を流した場合,ループ中心から任意の点の磁束密度を求める方法を解説する.応用として,ヘルムホルツコイルの原理も解説する.
20 ビオ・サバールの法則を適用した演習I
ビオ・サバールの法則を適用した演習問題を行い,解答説明を黒板を使ったプレゼンテーションする.
21 ビオ・サバールの法則を適用した演習II
前週に引き続き,ビオ・サバールの法則を適用した演習問題を行い,解答説明を黒板を使ったプレゼンテーションする.
22 磁界中の電流に作用する力
一定方向の磁束密度中に電線を配置し,電流を流すと電磁力が発生する現象を定量的に理解するためにベクトル表示で解説する.
23 中間試験
中間試験
24 試験の解答,復習
中間試験の解答を行い,同試験範囲の復習を行う.
25 磁界中の荷電粒子に作用する力
クーロン力,ローレンツ力の解説,一様磁界中を電荷q,質量mの粒子が円運動しているときの力の大きさ,円軌道の半径を求める方法を解説する.
26 電磁誘導の法則
一様な磁束密度中を導体棒が一定速度で移動する場合,導体の両端で電圧が発生する現象を解説する.単極誘導についても解説する.
27 電磁誘導の法則の演習
電磁誘導の法則に関する演習問題を行い,解答説明を黒板を使ったプレゼンテーションする.
28 周波数と表皮効果の講義
周波数の異なる交流電流を円柱状の電線に流した場合,周波数が高いほど電流密度は表面付近が高くなる表皮効果の現象を解説する.
29 渦電流とIHクッキングヒータ
時間的に変化する磁束を導体に加えたときに電磁誘導の現象によって,導体内部に渦状の電流が発生する現象を解説する.この渦電流を利用したIHクッキングヒータの発熱原理を解説する.
30 電磁誘導の法則の微分形
電磁誘導の法則の微分形に変換する方法を解説し,マクスウェル方程式の残りの3つについても解説する.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.