【 2012 年度 授業概要】
科   目 コンピュータ工学 ( Computer Engineering )
担当教員 堀 桂太郎 非常勤講師
対象学年等 電子工学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A3(100%)
授業の概要
と方針
マイクロコンピュータの構成や動作原理,内蔵された機能を用いて各種の入出力制御を行う方法について解説する.そして,アセンブラ言語を用いた制御プログラムについて学習する.また,マイクロコンピュータを構成するためのディジタル回路の基礎についても学習する.



1 【A3】 マイクロプロセッサの発展と構成,ノイマン型コンピュータの構成と動作,マイクロコンピュータを用いた制御装置の実例,組込みシステムの基礎,基数変換などのデータ表現について理解する.
2 【A3】 組合せ回路の基礎や演算回路,順序回路の基礎,ディジタルICについて理解する.
3 【A3】 基礎的なディジタル回路を設計できるようにする.また,マイクロコンピュータにおけるトラブルの発生原因と対処法について理解する.
4 【A3】 メモリの構成や動作原理を理解する.また,RISCとCISC,ハーバードアーキテクチャの特徴などについて理解し,サブルーチンの動作やフローチャートについて理解する.
5 【A3】 マイクロコンピュータに内蔵されたタイマ機能,割込み機能の概要について理解する.
6 【A3】 アセンブラ言語の概要や命令の動作を理解し,設計した制御用回路を動作させるプログラム開発ができるようになる.
7 【A3】 マイクロコンピュータを用いて,LEDやスイッチ回路を制御し,データの入出力が行えるようになる.また,大電流を流す回路を制御するためのドライブ回路について理解する.
8 【A3】 マイクロコンピュータを用いてDCモータやパルスモータを制御する方法を理解する.
9 【A3】 マイクロコンピュータに内蔵された割込み機能の使用法を理解する.
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1 マイクロプロセッサの発展やノイマン型コンピュータの特徴,マイクロコンピュータを用いた制御装置,組込みシステムについて説明できるか, 基数変換や補数などの扱いができるかを前期中間試験で評価する.
2 基本ゲートやフリップフロップ,ブール代数の諸定理,カルノー図,並列加算回路の原理,ディジタルICの特徴について説明できるか,またTTLとCMOSについて理解しているかを前期中間試験で評価する.
3 ディジタルICを用いた早押し判定回路,電子サイコロ回路などの設計ができるか,チャタリングなどのトラブルについて理解しているか,プルアップ抵抗などについて説明できるかを前期定期試験で評価する.
4 SRAM,DRAM,フラッシュメモリ,RISCとCISC,ハーバードアーキテクチャの構成や動作原理を説明できるか,サブルーチンの動作を説明できるか,フローチャートを読み取れるかを前期定期試験で評価する.
5 マイクロコンピュータに内蔵されたタイマ機能のカウント仕様やプリスケーラ,割込み機能のNMI,MIなどについて説明できるかを後期中間試験で評価する.
6 命令セット,命令の構成,疑似命令と機械語命令などについて説明できるか,動作周波数や命令実行時間を計算できるか, 実験用回路の設計やプログラム開発環境の説明ができるかを後期中間試験で評価する.
7 LED回路やスイッチ回路を設計し,制御用プログラムが記述できるか,タイマルーチンによる制御時間を設定できるか,トランジスタやリレーをドライバとして用いる回路を設計できるかを後期定期試験で評価する.
8 ドライバICやPWMを用いてDCモータの回転制御を行う回路を設計し,プログラムが記述できるか,パルスモータの制御方法として,各種相励磁の原理と特徴が説明できるかを後期定期試験で評価する.
9 マイクロコンピュータに内蔵された割込み機能の原理や使用法を説明できるか,割込み制御を行う回路を設計し,プログラムが記述できるかを後期定期試験で評価する.
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成績は,試験100% として評価する.成績は,中間試験(前期,後期)と定期試験(前期,後期)の合計4回の試験の平均点とする.平均点は,100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「図解PICマイコン実習」:堀桂太郎(森北出版)
適時プリントなどの資料を配付する.
参考書 「ディジタル電子回路の基礎」:堀桂太郎(東京電機大学出版局)
「H8マイコン入門」:堀桂太郎(東京電機大学出版局)
「図解コンピュータアーキテクチャ入門 第2版」:堀桂太郎(森北出版)
関連科目 本科D2の「論理回路」,D3の「電子工学実験実習」(マイクロコンピュータの基礎実験)及び(PICの実験)
履修上の
注意事項
D2「論理回路」を復習しておくこと.可能であれば,開発ソフトウェアをインストールしたパソコンとマイクロコンピュータ制御回路を各自で用意して,動作確認を行いながら学習するとよい.

【授業計画( コンピュータ工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 マイクロコンピュータとは
マイクロプロセッサの発展と構成,ノイマン型コンピュータの構成と動作,マイクロコンピュータの実例について学習する.
2 マイクロコンピュータ制御の概要
マイクロコンピュータを用いた制御装置の実例,組込みシステムの基礎について学習する.
3 マイクロコンピュータでのデータ表現
2進数,10進数,16進数の基数変換や補数などのデータ表現について学習する.
4 組合せ回路の基礎
AND,OR,NOT回路などの基本ゲートの動作を確認し,論理式を簡単化する方法として,ブール代数の諸定理やカルノー図について学習する.
5 演算回路
並列加算回路の原理やキャリールックアヘッド型による高速加算のしくみについて学習する.
6 順序回路の基礎
データを記憶するレジスタ回路の構成法や各種フリップフロップ回路の動作や特性方程式について学習する.
7 ディジタルIC
基本ゲートの電子回路やスレッショルド電圧,ファンアウト,オープンドレーン型などについて学習する.また,TTLとCMOSの違いについても学習する.
8 中間試験
1週から7週までに学んだ内容についての筆記試験を行う.
9 中間試験の解答およびディジタル回路の設計1
中間試験の解答の後,ディジタルICを用いた得点表示回路,早押し判定回路の設計について学習する.
10 ディジタル回路の設計2
ディジタルICを用いた電子サイコロ回路の設計について学習する.
11 マイクロコンピュータにおけるトラブルの実例
チャタリング,ハザードなどのトラブルの原因と対処法について学習する.また,プルアップ抵抗,プルダウン抵抗の使い方についても学習する.
12 メモリ
ICメモリの基礎として,SRAM,DRAM,フラッシュメモリの構成や動作原理について学習する.
13 フローチャート
マイクロコンピュータでプログラムを開発する際に用いるフローチャートの書き方や読み方について学習する.
14 マイクロコンピュータの構成
RISCとCISC,ハーバードアーキテクチャの特徴などについて学習する.また,マイクロコンピュータの実例を用いて,その構成や動作についても学習する.
15 サブルーチンの動作
スタックやスタックポインタの働きと関連付けしながら,サブルーチンの動作について学習する.
16 前期定期試験の解答およびタイマ機能
前期定期試験の解答の後,マイクロコンピュータに内蔵されたタイマ機能の構成や動作について学習する.
17 割込み
マイクロコンピュータに内蔵されたNMI,MIなどの割込み機能の概要について学習する.
18 アセンブラ言語の概要
マイクロコンピュータの命令セット,命令の構成,疑似命令と機械語命令などについて学習する.
19 命令の動作
マイクロコンピュータの主要な機械語命令について学習する.また,動作周波数と命令実行時間についても学習する.
20 プログラム開発
マイクロコンピュータに内蔵されたROMにプログラムを実装するまでの手順について学習する.
21 制御用回路の設計
マイクロコンピュータを用いた制御を行うための実験用回路の設計について学習する.
22 開発ツールの操作
マイクロコンピュータ用のプログラムを開発するために用いるソフトウェアやプログラムを書き込むライタ装置などの使用法について学習する.
23 中間試験
16週から22週までに学んだ内容についての筆記試験を行う.
24 中間試験の解答およびLED制御の基礎
中間試験の解答の後,マイクロコンピュータを用いたLEDの点灯制御回路やプログラムについて学習する.また,タイマサブルーチンのネストによる制御時間の設定法についても学習する.
25 LED制御の応用
マイクロコンピュータを用いたLEDのより高度な点灯制御として,ローテイト命令を使った制御法について学習する.
26 スイッチ入力制御
マイクロコンピュータを用いて,外部スイッチからデータを入力する回路やプログラムについて学習する.
27 リレーの制御
マイクロコンピュータからの出力信号によって,大きな電流を流す回路を制御するために,トランジスタやリレーをドライバとして用いる方法について学習する.
28 DCモータの制御
マイクロコンピュータからの出力信号によって,ドライバICやPWMを用いてDCモータの回転制御を行う方法について学習する.
29 パルスモータの制御
パルスモータの制御方法として,1相励磁,2相励磁,1−2相励磁の原理と特徴について学習する.また,パルスモータの制御の回転制御を行う回路やプログラムについても学習する.
30 割込み制御
マイクロコンピュータに内蔵された割込み機能の原理や使用法について学習する.また,割込み制御を行う回路やプログラムについても学習する.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.