【 2012 年度 授業概要】
科   目 分析化学I ( Analytical Chemistry I )
担当教員 松井 哲冶 特任教授
対象学年等 応用化学科・2年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A4-C2(100%)
授業の概要
と方針
前半は,分析化学に関する基本的な事項を学ぶとともに,並行して実施している応用化学実験I(容量分析)との関連を重視して化学量論を中心に学習し,定量的な取り扱いに馴れる.後半は,酸塩基と沈殿平衡に関する基礎理論の習得を目的とし,演習を多用しながら理解を進める.最後に,機器分析のうち熱分析についても学ぶ.



1 【A4-C2】 SI単位系を理解し,数値の丸め方や有効数字の適切な取り扱いができる.
2 【A4-C2】 容量分析に用いる濃度や測容器の基本を理解する.
3 【A4-C2】 酸塩基滴定,酸化還元滴定,キレート滴定,沈殿滴定の原理を知り,濃度や含有率などの計算ができる.
4 【A4-C2】 酸塩基滴定や緩衝液おけるpH計算ができ,滴定曲線が描ける.
5 【A4-C2】 沈殿平衡に関する基礎的事項や沈殿生成に関する諸現象を説明てきる.
6 【A4-C2】 熱分析の原理やそのサーモグラムを解析できる.
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1 SI単位系,数値の丸め方や有効数字の適切な取り扱いができるかを小テストと前期中間試験で評価する.
2 容量分析に用いる濃度や測容器の基本を理解できているかを前期中間試験で評価する.
3 酸塩基滴定,酸化還元滴定,キレート滴定,沈殿滴定の原理を知り,濃度や含有率などの計算ができるかを小テストや前期定期試験,後期中間試験で評価する.
4 酸塩基滴定時のpH計算とpH曲線の作成は後期に課題レポートを求め,その内容で評価する.
5 沈殿平衡に関する基礎的事項や沈殿生成時の諸現象が理解できているかを小テストや後期中間試験,後期定期試験で評価する.
6 熱分析の原理を理解し,そのサーモグラムが解析できるかを後期定期試験で評価する.
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成績は,試験60% レポート20% 小テスト20% として評価する.レポートには課題や各種提出物を含む.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「基礎分析化学」今泉 ほか(化学同人)
「基礎分析化学演習」菅原正雄(三共出版)
「定量分析」[第二版]浅田誠一・内出茂・小林基宏(技報堂出版)
参考書 「分析化学の基礎」 木村優・中島理一郎(裳華房)
「定量分析化学」 河合 ほか(丸善)
「基礎からわかる分析化学」 加藤正直・塚原聡(森北出版)
関連科目 1学年の「化学」(4単位)
履修上の
注意事項
「化学」で分析化学の基礎導入部が行われている.本教科ではこれを受けてより詳細な内容にも触れるが,あくまでも分析化学の基礎に重点を置いた内容であり,さらに3学年の分析化学に繋ぐ.

【授業計画( 分析化学I )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 分析化学ガイダンス,SI単位系
「分析化学」の定義を述べ,その分類や位置付けを説明する.SI単位系(基本単位,誘導単位,位取り接頭辞)について説明する.
2 数値の取り扱い,濃度の表し方(1)
有効数字や測定値の計算法(加減・乗除)や数字の丸め方を知る.各種の濃度を表す単位を学ぶ.
3 濃度の表し方(2),測容器について(1)
各種の濃度を表す単位を学ぶ.容量分析実験に用いる測容器について名称と使用目的からの分類を説明する.
4 演習
単位,数値の取り扱い,濃度に関する演習問題を解き,理解を深める.
5 測容器の公差と補正法
測容器の交差とその補正理論とその法を説明する.
6 容量分析について,酸塩基滴定(1)
容量分析の定義と用語を説明する.酸塩基滴定の原理を説明し,酸塩基の当量についての計算を行う.
7 酸塩基滴定(2),酸化還元滴定(1)
酸塩基滴定指示薬についても学ぶとともに,演習問題を解き理解を深める.次に,酸化還元反応を酸化数の増減と電子の授受により説明する.
8 中間試験
1週目から7週目までの内容で中間試験を行う.
9 中間試験の解答,酸化還元滴定(2)
中間試験の解答を行う.酸化還元滴定を反応の種類よって分類する.酸化還元滴定における当量に関する演習問題を解く.
10 キレート滴定(1)
キレートに関する基礎的事項(配位結合,配位子やキレート)を説明する.
11 キレート滴定(2)
キレート滴定に用いるキレート試薬,緩衝液,金属指示薬などについて解説する.キレート滴定実験例を紹介し,その中で中心金属の定量法を説明する.
12 沈殿滴定(1)
沈殿滴定に関する基礎的事項を説明するとともに,Mohr法の概略を説明する.
13 沈殿滴定(2),分析化学に必要な基礎理論(1)
Volhard法およびFajans法の概略を説明する.分析化学に必要な基礎理論としての化学平衡,質量作用の法則を解説する.
14 分析化学に必要な基礎理論(2)
活量と濃度,水の電離平衡について説明する.
15 分析化学に必要な基礎理論(3)
水素イオン指数(pH)の定義について述べ,その計算を演習問題を解くことによって理解する.
16 試験の解答,酸塩基滴定(中和滴定)理論
定期試験の解答,酸塩基の定義(アレニウス・ブレンステッド・ルイス)を説明する.
17 中和滴定曲線
強酸と強塩基の反応における中和滴定曲線を作成する.これと弱酸と強塩基の反応および強酸と弱塩基の反応における中和滴定曲線と比較して,pH変化の違いを説明する.
18 pH指示薬と変色域,中和滴定に伴うpH変化と指示薬の選択
強酸と強塩基,弱酸と強塩基,強酸と弱塩基,弱酸と弱塩基のそれぞれにおけるpH曲線を示し,それぞれの滴定に用いられる指示薬の妥当性を説明する.
19 弱酸の解離
弱酸の解離平衡から弱酸水溶液のpHや解離度を求める式を誘導し,その演習問題を解く.
20 弱塩基の解離
弱塩基の解離平衡から弱塩基溶液のpHや解離度を求める式を誘導し,その演習問題を解く.
21 緩衝液(1)
緩衝液の定義を説明し,酢酸/酢酸ナトリウム系およびアンモニア/塩化アンモニウム系緩衝液のpHを求める式を誘導する.
22 緩衝液(2),演習
前週の続きと,それに関する演習問題を解き理解を深める.
23 中間試験
16週目から22週目までの内容で中間試験を行う.
24 中間試験の解答,塩の加水分解
中間試験の解答をする.弱酸と強塩基からなる塩,強酸と弱塩基からなる塩の加水分解時の液性とそのpHを求める.
25 沈殿平衡
沈殿平衡に関する基本的事項を説明する.
26 沈殿滴定と溶解度積,分別沈殿
溶解度積を使って沈殿滴定理論を説明する.分別沈殿についてもその分離の理論を述べる.
27 溶解度に及ぼす影響
溶解度に及ぼす各種の影響(塩効果,共通イオン,温度,誘電率)について述べる.
28 沈殿生成と不純物,沈殿洗浄
沈殿生成時における不純化(汚染)の概要について説明する.沈殿を洗浄する際の洗浄液の効果的な使い方について説明する.
29 熱分析(1)
機器分析の定義,熱重量測定(TG),示差熱分析(DTA)の原理と解析法を説明する.
30 熱分析(2),演習
示差走査熱量測定(DSC)の原理と解析法を説明する.熱分析に関する演習問題を解く.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.