【 2011 年度 授業概要】
科   目 コンピュータアーキテクチャ ( Computer Architecture )
担当教員 尾山 匡浩 講師
対象学年等 電子工学科・5年・後期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・
教育目標
A4-D4(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
コンピュータサイエンスを知るための基本は,コンピュータそのものを理解することである.コンピュータシステムを構成するハードウェア構造と動作を中心に,基本原理や考え方を体系的に理解することを目的とする.



1 【A4-D4】 現在のコンピュータのほとんどはノイマン型コンピュータである.これの基本構造が理解できる.
2 【A4-D4】 データフローや命令フロー,ロード命令やストア命令等の命令の種類,命令セットアーキテクチャが理解できる.
3 【A4-D4】 命令実行の高速化に貢献するパイプライン処理,仮想メモリ,キャッシュメモリが理解できる.
4 【A4-D4】 大規模計算を高速化することが可能な並列処理について理解することができる.
5 【A4-D4】 ノイマン型コンピュータから次世代コンピュータである非ノイマン型コンピュータへの流れを理解できる.
6  
7  
8  
9  
10  












1 ノイマン型コンピュータの構造や,コンピュータ内部で行われる数値表現,文字コード表現,加減算,乗算,除算について理解できているかレポート及び中間試験で評価する.
2 データフローや命令フロー,各種命令,命令セットアーキテクチャを理解し,プロセッサを設計することができるかをレポート及び中間試験で評価する.
3 命令実行の高速化に貢献する各項目について理解できているかをレポート及び定期試験で評価する.
4 大規模計算が可能な並列処理についてその原理や種類,性能評価等が理解できているかをレポート及び定期試験で評価する.
5 次世代コンピュータの構造を理解できているかをレポート及び定期試験で評価する.
6  
7  
8  
9  
10  




成績は,試験85% レポート15% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「コンピュータアーキテクチャ」:曽和将容(コロナ社)
参考書 「論理回路の基礎」:田丸啓吉(工学図書)
「マイクロコンピュータの基礎」:森下巌(昭晃堂)
「コンピュータアーキテクチャ」:坂井修一(コロナ社)
「図解コンピュータアーキテクチャ入門」:堀桂太郎(森北出版)
関連科目 論理回路,コンピュータ工学
履修上の
注意事項
D2「論理回路」,D3「コンピュータ工学」の内容を十分復習しておくことが必要である.

【授業計画( コンピュータアーキテクチャ )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション,コンピュータの歴史
本講義の進め方について説明する.また,コンピュータの歴史を踏まえ,現在のコンピュータの原型であるノイマン型コンピュータについて講義する.
2 復習(数値表現,文字コード表現,加減算,乗算,除算)
論理回路やコンピュータ工学で学んだ内容である,数値表現,文字コード表現を復習する.さらに,加減算,乗算,除算についても演習を通して復習する.
3 計算モデルとプログラムモデル
データフロー,シリアルプログラム,プログラムカウンタ,命令間の従属性,レジスタ/スタック/キュー計算モデルについて講義する.
4 プログラムの基礎
コンピュータの概念を基に,ロード命令やストア命令等の命令の種類について講義する.また,サブルーチン処理や割り込み処理についても理解を深めてもらう.
5 命令セットアーキテクチャ
命令の表現形式,命令セット,命令のメモリアドレス指定方法を通して命令セットアーキテクチャについての講義を行う.また.RISCとCISCについても講義する.
6 プロセッサの設計
第3〜5週の内容を基にプロセッサを設計する過程を講義する.
7 演習問題
第1週〜第6週までの内容の演習問題を行う.
8 中間試験
第1週〜第7週の内容に関する中間試験
9 中間試験の解説とパイプライン処理の概要
中間試験の解説を行う.また,命令実行の高速化であるパイプライン処理の概要について説明する.
10 パイプライン処理
パイプライン処理における問題点と解決方法,性能評価の方法について講義する.
11 仮想メモリ
仮想メモリアーキテクチャについて講義する.仮想空間と物理メモリとのデータの転送方式およびそれぞれのアドレスを対応させるマッピング方式について理解を深めてもらう.
12 キャッシュメモリ
高速な記憶装置であるキャッシュメモリの構造,原理を講義する.また,キャッシュメモリの性能を表す式についても理解を深めてもらう.
13 スーパスカラプロセッサ
マイクロプロセッサの高速化手法の1つであるスーパスカラプロセッサについて講義する.これは,プロセッサの中に複数の処理系統を用意し,複数の命令を並列に処理するものである.
14 並列処理
大規模計算が可能な並列処理についての講義を行う. 並列処理の原理,種類,性能評価等に関して理解を深めてもらう.
15 次世代コンピュータの概要
次世代コンピュータとして期待されている量子コンピュータやニューロコンピュータ,光コンピュータ等について触れる.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 後期中間試験および後期定期試験を実施する.