| 科 目 | 電子回路II ( Electronic Circuit II ) | |||
|---|---|---|---|---|
| 担当教員 | 小矢 美晴 准教授 | |||
| 対象学年等 | 電子工学科・5年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III ) | |||
| 学習・ 教育目標 |
A4-D1(100%) | |||
| JABEE 基準1(1) |
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g) | |||
| 授業の概要 と方針 |
エレクトロニクスの技術革新は広範かつ急速である.しかし基礎となるべきことを十分理解しておくことにより,新しい素子・回路・技術に対処することが可能である.本教科では電子回路Iに引き続き,電子回路の基本的な考え方と設計手法を身につけさせる. | |||
| 到 達 目 標 |
1 | 【A4-D1】 A級電力増幅回路,B級電力増幅回路について理解できる. | 2 | 【A4-D1】 差動増幅回路が理解でき,基本的な設計ができる. | 3 | 【A4-D1】 演算増幅器を用いた演算回路の設計ができる. | 4 | 【A4-D1】 発振回路の発振条件を導出できる. | 5 | 【A4-D1】 振幅変調回路と復調回路の動作原理が理解できる. | 6 | 【A4-D1】 周波数変調回路と復調回路の動作原理が理解できる. | 7 | 【A4-D1】 直流安定化電源の動作原理が理解できる. | 8 | 9 | 10 |
| 評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | A級電力増幅回路,B級電力増幅回路について理解しているかをレポートと前期中間試験で評価する. | |
| 2 | 差動増幅回路が理解できており,基本的な設計ができることをレポートと前期定期試験で評価する. | |||
| 3 | 演算増幅器を用いた演算回路の設計ができるかをレポートと前期定期試験で評価する. | |||
| 4 | 発振回路の発振条件を導出できるかをレポートと後期中間試験で評価する. | |||
| 5 | 振幅変調回路と復調回路の動作原理が理解できるかをレポートと後期定期試験で評価する. | |||
| 6 | 周波数変調回路と復調回路の動作原理が理解できるかをレポートと後期定期試験で評価する. | |||
| 7 | 直流安定化電源の動作原理が理解できるかを後期定期試験で評価する. | |||
| 8 | ||||
| 9 | ||||
| 10 | ||||
| 総 合 評 価 |
成績は,試験90% レポート10% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする. | |||
| テキスト | 「アナログ電子回路」大類重範(日本理工出版会) |
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| 参考書 | 「演習 電子回路」桜庭一郎,佐々木正規(森北出版) 「テーマ別 電子回路例題と演習」島田一雄,南任靖雄(工学図書) 「アナログ電子回路」藤井信生(昭晃堂) |
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| 関連科目 | 電気回路I,電気回路II,電子デバイス,電子回路I | |||
| 履修上の 注意事項 |
電気回路I,電気回路II,電子デバイス,電子回路Iの内容を修得していることを前提とする. | |||
| 回 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
|---|---|
| 1 | 電力増幅回路(1) |
| トランジスタの代表的な大信号増幅回路であるA級電力増幅回路がる. | |
| 2 | 電力増幅回路(2) |
| 大信号増幅回路にはB級プッシュプル電力増幅回路もある.B級プッシュプル電力増幅回路は電力効率は良いがクロスオーバひずみが生じる. | |
| 3 | LC並列共振回路 |
| 特定の周波数のみを増幅する回路 | |
| 4 | 単同調増幅回路 |
| 1組の共振回路を負荷にもつ周波数選択増幅回路 | |
| 5 | 複同調増幅回路 |
| 2組の共振回路を負荷にもつ周波数選択増幅回路 | |
| 6 | 差動増幅回路 |
| 差動増幅回路は特性のそろった二個のトランジスタのエミッタを結合した増幅回路であり,大容量のコンデンサを使用することなく直流から信号を増幅できるという特徴がある. | |
| 7 | 理想演算増幅器とその等価回路 |
| 演算増幅器は別名オペアンプとも呼ばれ,入力インピーダンスと差動利得が非常に大きい差動増幅回路である.理想演算増幅器はナレータ・ノレータモデルで表現できる. | |
| 8 | 演算増幅器の二次的パラメータ |
| 演算増幅器の二次的パラメータとしてはオフセットやスルーレートがある. | |
| 9 | 中間試験 |
| (中間試験を実施する) | |
| 10 | 中間試験の返却と解説,演算増幅器の基本回路(前半) |
| 演算増幅器の基本回路には反転増幅回路と非反転増幅回路がある. | |
| 11 | 演算増幅器の基本回路(後半) |
| 演算増幅器を用いた増幅回路の利得と帯域幅には積が一定という関係がある. | |
| 12 | 演算増幅器の線形演算回路への応用 |
| 演算増幅器を用いることにより,加算,減算,積分などの線形演算を実行する回路を容易に実現できる. | |
| 13 | 演算増幅器の非線形演算回路への応用 |
| 演算増幅器を用いることにより,対数変換,指数変換,波形変換などの非線形演算を実行する回路を実現できる. | |
| 14 | 発振回路の発振条件 |
| 発振回路は正帰還回路のループ利得を1以上にすれば得られる.この条件は発振周波数を決定する周波数条件と,その周波数で実際に発振現象が起こるかどうかを決定する電力条件に分けることができる. | |
| 15 | 低周波RC発振回路 |
| 低周波発振回路の帰還回路はRとCで実現されることが多い.代表的な回路としてウィーンブリッジ発振回路,RC移相形発振回路などがある. | |
| 16 | 定期試験の返却と解説,高周波LC発振回路(前半) |
| 高周波発振回路の帰還回路はLとCで実現されることが多い. | |
| 17 | 高周波LC発振回路(後半),水晶発振回路 |
| 高周波発振回路の代表例として,同調形発振回路,コルピッツ発振回路,ハートレー発振回路,水晶発振回路などがある. | |
| 18 | 電圧制御発振回路とPLL |
| 電圧で周波数を制御できる発振回路を電圧制御発振回路と呼ぶ.また,PLLは位相同期ループとも呼ばれ,発振器の発振周波数を基準周波数に一致させる回路である.PLLの応用として周波数シンセサイザがある. | |
| 19 | 振幅変調と振幅変調回路 |
| 情報を正弦波の振幅に乗せる変調を振幅変調と呼ぶ.振幅変調の深さを表す指標として変調度がある.振幅変調を行う回路には平衡変調回路やトランジスタの非線形性による振幅変調回路がある. | |
| 20 | 振幅変調波の復調回路 |
| 振幅変調波の復調回路には包絡線検波回路やPLLによる振幅変調回路がある. | |
| 21 | 周波数変調と周波数変調回路 |
| 情報を正弦波の周波数に乗せる変調を周波数変調と呼ぶ.周波数変調の深さを表す指標として変調指数がある.周波数変調を行う回路にはリアクタンストランジスタによる周波数変調回路や可変容量ダイオードによる周波数変調回路がある. | |
| 22 | 周波数変調波の復調回路 |
| 周波数変調波の復調回路にはスロープ検波回路,ピークディファレンシャル検波回路,PLLによる復調回路などがある. | |
| 23 | 中間試験 |
| (中間試験を実施する) | |
| 24 | 中間試験の返却と解説,整流 |
| 交流を直流に変換する回路を整流回路と呼ぶ.通常の整流回路は電源変圧器,整流器,平滑回路からなる.整流回路の重要な性能として,脈動率,電圧変動率,整流効率がある. | |
| 25 | 単相半波整流回路,単相全波整流回路 |
| 単相半波整流回路は簡単な構成で実現されるが,整流効率が低く,脈動率も悪い.単相全波整流回路はやや複雑な構成となるが,整流効率,脈動率ともにすぐれている. | |
| 26 | 倍電圧整流回路 |
| 倍電圧整流回路は整流器を通じてコンデンサを充放電することによって交流電圧の振幅よりも高い直流電圧を取り出すことができる. | |
| 27 | 平滑回路とその解析(前半) |
| 整流器の出力には脈動分が含まれるが,これを除去するために使われる回路を平滑回路と呼ぶ.平滑回路を含めた整流回路の解析は整流素子の非線形性のため難しい.そこで適当な近似を用いて解析を行う.もっとも簡単な平滑回路としてコンデンサフィルタとインダクタンスフィルタがある. | |
| 28 | 平滑回路とその解析(後半) |
| コンデンサフィルタとインダクタンスフィルタを組み合わせた平滑回路としてLCフィルタがある. | |
| 29 | 直流安定化電源回路 |
| 負荷にかかる直流電圧あるいは電流は整流回路の入力交流電圧,負荷の変動によって変化する.精密な電子回路の直流電源としては常に一定の直流電圧あるいは直流電流を取り出せることが必要であり,そのためにいろいろな定電圧回路・定電流回路が用いられる. | |
| 30 | 総合演習 |
| 総合的な演習を行う. | |
| 備 考 |
本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. |