【 2011 年度 授業概要】
科   目 環境化学 ( Environmental Chemistry )
担当教員 根津 豊彦 教授
対象学年等 応用化学科・5年・前期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・
教育目標
A4-C2(50%) D1(50%)
JABEE
基準1(1)
(b),(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
工業技術の進歩は我々の生活に多大な貢献をもたらしてきたが,一方では地球を構成している物質系のバランスを崩す結果ともなった.その影響は地域的のみならず地球規模へと拡大している.また合成化学物質や非意図的に生成した化学物質による生態や健康に対する影響も重大な問題となっている.本講義では,これら環境問題についての実態とそれらのもたらす影響について正しく理解することにより,原因と対策について考察する.また環境に対する技術者の任務を考える.



1 【D1】 過去に発生した公害問題事例を学びそのもたらした影響について理解する.
2 【A4-C2】 わが国における大気,水質環境中の汚染物質濃度の現状と発生要因,対策について理解する.
3 【A4-C2】 地球規模で環境影響を及ぼす代表的な汚染物質の汚染メカニズムについて理解する.
4 【D1】 合成化学物質,非意図的生成化学物質による健康影響について理解する.
5 【D1】 環境に対する技術者の任務を考える.
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1 過去に発生した公害問題とそのもたらした影響についての理解について,中間試験およびレポートで評価する.
2 わが国における大気,水質環境中の汚染物質濃度の現状と環境基準値達成率.汚染物質の発生要因とその対策方法についての理解を中間試験で評価する.
3 二酸化炭素等の地球温暖化物質による大気の温暖化機構,オゾン層破壊の機構,酸性降下物の生成機構等についての理解を中間試験で評価する.
4 外因性内分泌攪乱化学物質として掲げられいる有機塩素化合物の実態,非意図的生成物質であるダイオキシン類の発生対策及び健康影響についての理解を定期試験で評価する.
5 環境保全について,技術者としてまた環境の中の一員として,自分たちの役割に関する考えをまとめ,レポートにより評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.試験成績は,中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「環境科学」 金原粲 監修(実教出版)
「プリント」
参考書 「環境 循環型社会白書」(環境省 編)
関連科目 分析化学,無機化学,有機化学
履修上の
注意事項
分析化学I,II,無機化学I,IIをしっかりと履修しておくことが望ましい.環境問題に関するメディア情報に対して常に関心を持ってほしい.

【授業計画( 環境化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 概要
環境化学の全般的な概要について述べる.人間と環境との関わりについて述べる.
2 わが国における公害問題の歴史(大気汚染,水質汚染)
我が国で発生した公害事件について知る.公害事件の発生原因,そのもたらした影響について学ぶ.
3 大気環境(大気汚染物質,日本の大気汚染の現状)
大気汚染物質として問題となる化学物質,大気環境基準,日本における大気汚染物質濃度の現状と推移と今後の予測について学ぶ.
4 大気環境(光化学オキシダント,浮遊粒子状物質,酸性降下物)
光化学オキシダントの生成メカニズムについて学習する.光化学オキシダントは,浮遊粒子状物質や酸性降下物の生成と密接な関係を持っている.これらの現況と影響について学習する.
5 地球規模での汚染(地球温暖化)
二酸化炭素等の地球温暖化ガスによる「温暖化」のメカニズムとエコロジー効果について学ぶ.二酸化炭素以外の地球温暖化ガスの環境濃度推移について学習する.
6 地球規模での汚染(オゾン層の破壊とハロゲン化物との関係)
地球の対流圏,成層圏の役割およびフロン分解の影響と障害について学習する.
7 水環境
汚染物質と排出源.日本における汚染の現状,排水処理法と水資源の利用について学習する.
8 中間試験
1〜7回までの範囲で中間試験を実施する.
9 中間試験の解説.生活環境中の毒性化学物質(ダイオキシン類)
中間試験の解説を実施する.廃棄物焼却処理とダイオキシン類の発生機構,排出抑制対策,毒性,環境中の存在状況について学習する.
10 生活環境中の毒性化学物質(内分泌攪乱化学物質,ディーゼル排気粒子)
内分泌攪乱化学物質の種類,影響について学ぶ.粒子状汚染物質として有害性の高いディーゼル排気粒子の性状,健康影響,対策について学ぶ.
11 焼却・埋め立て処分場の問題
一般廃棄物,産業廃棄物の処理方法,資源有効利用について学ぶ.
12 環境関連法令,循環型社会の形成
環境基本法と関連する環境法規について知識を得る.循環型社会に向けた取り組みについて学ぶ.
13 環境マネージメントシステム
環境マネージメントシステム(ISO 14000)について学習する.また実験室における化学物質管理について学ぶ.
14 測定値の信頼性
環境測定方法における問題点.分析値の信頼性確保のための取り組みと,評価について学習する.
15 環境問題を考えるフィールドワーク,総括と演習
エコロジーの未来の展望を検討し我々の任務を考える.本講義の総括と演習を行う.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 前期中間試験および前期定期試験を実施する.また宿題,レポートを課す.