【 2010 年度 授業概要】
科   目 フーリエ変換技術 ( Fourier Transformation Technique )
担当教員 松田 忠重 教授
対象学年等 電気電子工学専攻・1年・後期・選択・2単位
学習・
教育目標
A1(50%) A4-AE1(50%)
JABEE
基準1(1)
(c),(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
本科4学年の応用数学の中の1分野でたたみこみ,フーリエ級数を学ぶ.それに引き続いてこの授業ではフーリエ変換,離散フーリエ変換を学ぶ.学生は講義期間の中間時期から課題で離散高速フーリエ変換(FFT)を行い,実際に具体例で離散フーリエ変換,逆離散フーリエ変換することでフーリエ変換に馴れてもらう.また,学生が簡単なディジタル・フィルタも作成し,それを具体例に試用してもらう.



1 【A1】 単純な数学関数のフーリエ変換が計算でき,フーリエ変換の性質を説明できる.
2 【A1】 簡単なたたみこみが積分によってもまた,フーリエ変換,逆フーリエ変換によっても計算でき,たたみこみの性質を説明できる.
3 【A4-AE1】 AD変換,DA変換の数学および特性が説明できる.
4 【A4-AE1】 FFTプログラムを用いて任意波形の離散フーリエ変換,逆離散フーリエ変換ができる.
5 【A4-AE1】 FFTプログラムを用いてたたみこみができる.
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1 単純な数学関数のフーリエ変換が計算でき,フーリエ変換の性質を説明できることを,中間試験で60%以上正解を合格として評価する.
2 簡単なたたみこみが計算でき,たたみこみの性質を説明できることを,定期試験で60%以上正解を合格として評価する.
3 AD変換,DA変換の数学および特性が説明できることを,定期試験で60%以上正解を合格として評価する.
4 FFTプログラムを用いて具体的な波形(正弦波,矩形波,減衰指数関数)の離散フーリエ変換,逆離散フーリエ変換ができることを2つのレポートで60%以上正解を合格として評価する.
5 FFTプログラムを具体的な標本(正弦波と単発矩形波,周期矩形波と単発矩形波,周期矩形波と減衰指数関数)を用いてたたみこみができることをレポートで60%以上正解を合格として評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.試験成績は,中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト プリント
参考書 「やさしいフーリエ変換」松尾 博(森北出版社)
「高速フーリエ変換」E.Oran Brighham著(科学技術社)
「ディジタル・フィルタ」R.W.Hamming著(科学技術社)
関連科目 応用物理I,応用物理II,電気計測,応用数学,通信工学,制御工学
履修上の
注意事項
複素関数の微積分が理解できていること,およびフーリエ級数が理解できていることが大切である. 計測,通信,制御などの基礎数学の一部であるのでよく内容を理解してほしい.

【授業計画( フーリエ変換技術 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 デルタ関数
ディラックのデルタ関数,一般デルタ関数の定義と性質を学ぶ.
2 フーリエ変換の定義
フーリエ変換の定義をする.逆フーリエ変換がある条件で成立することを学ぶ.いろいろな定義をコピーして配布する.いくつかの数学関数をフーリエ変換する.
3 演習
いくつかの数学関数のフーリエ変換を行う.具体例における逆フーリエ変換の実際の計算は自由課題とする.
4 デルタ関数とフーリエ変換
回転関数のフーリエ変換を学ぶ.また,デルタ関数列(離散化関数)を紹介しそのフーリエ変換を紹介する.デルタ関数列シミュレーションのレポート課題を出す.
5 フーリエ変換の性質1
対称性,実数関数のフーリエ変換とパワースペクトル,を学ぶ.代表的なフーリエ変換対の表とフーリエ変換の代表的性質の表を渡す.
6 フーリエ変換の性質2
時間軸の伸縮とフーリエ変換,時間軸上の移動則,周波数軸上の移動則などを学ぶ.時間軸上の移動則を用いて,周期関数のフーリエ変換から周期関数のフーリエ級数を導く.フーリエ変換対の表とフーリエ変換の性質の表を使うことで解けるレポート課題を出す.
7 中間試験
1回から6回の範囲が試験範囲になる
8 試験問題解説フーリエ変換の性質3
試験問題解説をする.導関数のフーリエ変換と対象関数の条件(有界な台)について学ぶ.
9 フーリエ変換の性質4
積分のフーリエ変換を学ぶ.パーセバルの定理を学ぶ.
10 離散フーリエ変換
離散フーリエ変換の定義,逆離散フーリエ変換を学ぶ.離散フーリエ変換の性質を学ぶ.FFTプログラムの使い方を学ぶ.レポート課題(簡単な例で離散フーリエ変換を手計算する.FFTプログラムを使う)を出す.
11 たたみこみ
たたみこみの定義とそのフーリエ変換を学ぶ.レポート課題(FFTプログラムで簡単なLPフィルタをかける).レポート課題(FFTプログラムを使って標本に関するパーセバルの定理を確認する).レポート課題(打切られた正弦波の離散フーリエ変換).
12 線形システムのフーリエ変換
線形システムの出力は線形システムのインパルス応答と入力とのたたみこみであることを学ぶ.レポート課題(FFTプログラムで簡単なBPフィルタをかける).
13 いろいろな線形システムとフーリエ変換
フィルタ,微分,積分を行う線形システムの例を学ぶ.また窓関数について学ぶ.
14 標本化された関数
離散化関数で関数を離散化して表現する数学関数を学ぶ.また,それを用いて標本化定理を理解できるようにする.
15 AD変換,DA変換と離散化
AD変換によって行われる実際の標本化の数学を学ぶ.またDA変換によって行われる実際の再現の数学と性質について学ぶ.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 後期中間試験および後期定期試験を実施する.