【 2009 年度 授業概要】
科   目 人文科学特講 ( Human Science )
担当教員 (前期)今里 典子 准教授,(後期)米澤 優 非常勤講師
対象学年等 全学科・5年・通年・選択・2単位 ( 学修単位I )
学習・
教育目標
C3(80%) D2(20%)
JABEE
基準1(1)
(a),(b)
授業の概要
と方針
「言語学」という学問における基礎的な概念や考え方を学び,言語とは何か,ということを考察し,理解する講義である.前期は,日本固有の第3の言語,日本手話(JSL)にターゲットを絞り,多角的な視点からのデータに基づき理解を深める.基本的な手話表現も習得する.後期は,身近な日英語や世界の言語を対象に,幅広く言語の魅力に迫る.



1 【C3】  JSLが言語であることを言語学的・論理的に説明できる.
2 【C3】  基本的なJSLを使って簡単なコミュニケーションができる.
3 【D2】  聾者についての基礎的な知識を習得する.
4 【C3】  日・英語の音韻,形態,意味,文法などについて基本的な概念を理解できる.
5 【C3】  世界の言語について,形態的分類,基本語順と特性などについて理解できる.
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1 JSLが言語であることを言語学的・論理的に説明できるかを,定期試験により評価する.
2 基本的なJSLを使って簡単なコミュニケーションができるかを,定期試験により評価する.
3 聾者についての基礎的な知識を習得できたかを,定期試験により評価する.
4 日・英語の音韻,形態,意味,文法などについて理解できているか,定期試験により評価する.
5 世界の言語について,形態的分類や基本語順と特性などについて理解できているか,定期試験により評価する.
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成績は,試験100% として評価する.なお,100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト プリント・ノート講義
参考書 「世界の言語と日本語」:角田太作(くろしお出版)
「日英語対照による英語学概論」:西光義弘編(くろしお出版)
関連科目 なし
履修上の
注意事項
前期分の授業は手話表現を習得する必要がある.また9月の授業分を7月中に行う.詳細は授業中に指示する.

【授業計画( 人文科学特講 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション
授業の進め方や評価方法など,シラバスの解説を行う.また日本手話(以下JSL)という言語を学習するに当たっての注意事項について説明.手話に関するアンケートの実施.
2 手話の基本
アンケート結果の解説.指文字と手話の違いについて学習する. +指文字1+JSL(挨拶)
3 発声と聞こえのメカニズム
人間の発声と聞こえのメカニズムについて学習する. +指文字2+JSL(表現1)
4 聾者について
聾者の定義,聞こえの障害について学習する. +指文字3+JSL(表現2)
5 手話言語学入門: 音韻
JSLの音韻体系について,語彙の分析演習を通して学習する. +指文字4+JSL(表現3)
6 手話言語学入門: 形態・統語
JSLの語形成のルールについて解説する.また類辞を取り上げその現象を観察した上で,音声日本語の文法と比較する. +指文字5+JSL(表現4)
7 手話表現学習 
JSLで簡単な文章表現を作る.自己紹介文
8 手話表現復習 
JSLの基本文章の演習を行う
9 手話の発生・習得
最も新しい手話言語の成立過程について学習し,手話言語発生のプロセスを学習する. +JSL(表現5)
10 手話失語
手話失語の症例から,手話が脳内でどのようにプロセスされていると考えるのが妥当なのかを理解する. +JSL(表現6)
11 聾教育と情報保障
聾教育の歴史と現状について学習する.また聾者の日常的情報保障について学習する. +JSL(表現7)
12 手話学習まとめと演習
JSLの基本文章の演習を行う.動詞表現部分(テンスやアスペクト,一致の問題)に注目して学習する.
13 手話研究基礎 1
聾者の現状について正しい理解を得るため紹介された参考文献に従って調査 1
14 手話研究基礎 2
聾者の現状について正しい理解を得るため紹介された参考文献に従って調査 2
15 手話研究基礎 3
聾者の現状について正しい理解を得るための調査についての報告作成
16 イントロダクション+世界の言語
これ以降の授業でどのようなことを学ぶのか,概要を説明する.また,世界の言語について,言語の数,言語のグループ(語族・語派,形態的分類)などを学習する.
17 言語の定義
言語とは何か,例えば,チンパンジーの鳴き声は言語と言えるのかを考える.また,言語の特性について学習する.
18 音声学
発声と調音,母音・子音の記述様式を学習し,日本語の五十音図について考える.
19 音韻論1
音素について学習し,日英語の音韻体系を考える.
20 音韻論2
音節・モーラという言語単位,アクセントについて学習し,日英語の違いを確認する.
21 形態論1
日英語の例から,語の特徴,形態素という言語単位について学習する.
22 形態論2
日英語の例から,新語が作り出されるプロセスについて学習する.
23 形態論3
日英語の例から,派生語・複合語の主要部について学習する.
24 意味論1
日英語の例から,語と語の意味関係(意味の類似・対立,慣用句・連語)について学習する.
25 意味論2
比喩について学習し,比喩を使って日本語の慣用句・多義語について考える.
26 文法1
世界の言語の基本語順にはどのようなものがあるか学習し,日本語の基本語順を考える.
27 文法2
日英語の例から,主語について考える.また,日本語の「は」と「が」の用法も見る.
28 文法3
日本語のテンス・アスペクトについて学習し,その他の言語のテンス・アスペクトについても見る.
29 語用論
日本語の例から,文法的に正しくても,ときに不適切な文になってしまうのはなぜかを考える.
30 まとめと評価
学習内容の理解度を確認し,整理する.


前期定期試験および後期定期試験を実施する.