【 2009 年度 授業概要】
科   目 数値解析 ( Numerical Analysis )
担当教員 山本 和男 准教授
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III )
学習・
教育目標
A2(20%) A3(80%)
JABEE
基準1(1)
(c),(d)1
授業の概要
と方針
情報技術の著しい発展によって,あらゆる分野で誰でもが手軽にコンピュータを活用することができる状況になってきた.電気工学の分野では,各種機器やシステムの設計,評価,環境への影響などが頻繁に数値解析される.数値解析によって数学的思考法に対するより深い洞察が得られることが多く,この講義では,電気工学において重要と思われる,種々の数学的主題に対する数値解析の基本的な手法と技術の習得を目的としている.



1 【A3】  コンピュータ内部での数の表現法と丸め誤差について説明ができる.
2 【A3】  連立1次方程式を数値的に解くことができる.
3 【A3】  非線形方程式を数値的に解くことができる.
4 【A3】  微分および積分を数値的に計算することができる.
5 【A3】  フーリエ変換を数値的に求めることができる.
6 【A2】  常微分方程式を数値的に解くことができる.
7 【A3】  補間法および最小2乗法によって数値的に補間・近似ができる.
8 【A2】  偏微分方程式を数値的に解くことができる.
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1 コンピュータ内部での数の表現法と丸め誤差,演算にともなう桁落ちや情報落ちに対する理解度ついて主に前期定期試験とレポートで評価する.
2 連立1次方程式の数値解法である,緩和法,掃き出し法,ガウス・ザイデル法に対する理解度ついて主に前期定期試験とレポートで評価する.
3 非線形方程式の数値解法である,はさみうち法およびニュートン法に対する理解度について主に前期定期試験とレポートで評価する.
4 差分近似の基づく数値微分,ならびに,台形則およびシンプソン則に基づく数値積分に対する理解度について主に前期定期試験とレポートで評価する.
5 フーリエ変換における,離散フーリエ変換および高速フーリエ変換に対する理解度について主に前期定期試験とレポートで評価する.
6 常微分方程式の数値解法である,テイラー法,オイラー法,ルンゲ・クッタ法に対する理解度について主に後期定期試験とレポートで評価する.
7 最小2乗法による近似および多項式補間,スプライン補間に対する理解度について主に後期定期試験とレポートで評価する.
8 偏微分方程式の差分表現,および楕円型,放物型,双曲型方程式の数値解法アルゴリズムに対する理解度ついて主に後期定期試験とレポートで評価する.
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成績は,試験40% レポート60% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.ただし,試験およびレポートはそれぞれの平均で評価する.
テキスト 「NUMERICAL RECIPES in C [日本語版] 」:W. H. Press et al.(技術評論社)
参考書 「C言語プログラミングレッスン(入門編)」:結城浩(Soft Bank)
「やさしいC」:高橋麻奈(Soft Bank)
「数値解析入門」:片岡勲他(コロナ社)
「電気・電子工学のための数値計算入門」:橋本修著(総合電子出版社)
「数値解析」:クライツイッグ著,田村義保訳(倍風館)
関連科目 「数学I」(1〜3学年),「数学II」(2学年),「情報処理」(1〜2学年),「実験実習」(2〜5学年),「卒業研究」(5学年)
履修上の
注意事項
数値解析では,微分,積分,連立方程式,微分方程式などを数値的に解くための手法を学ぶ.数学I,IIでの履修内容に対する深い理解が必要であるとともに,特に実践的なプログラミングを多く取り入れていくので,プログラミングの知識を備えていることが望ましい.

【授業計画( 数値解析 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンスおよびプログラミングの基礎
1年間の授業計画および授業方法,評価方法について説明する.数値計算やプログラミングなど数値解析について概説する.
2 コンピュータ内部の数の表現と丸め誤差
コンピュータ内部での数の表現法や演算を説明し,演算にともなう誤差,計算精度,桁落ち,情報落ちについて解説する.
3 連立1次方程式(1)(緩和法)
連立1次方程式の数値解法の一つである,緩和法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
4 連立1次方程式(2)(掃き出し法)
掃き出し法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
5 連立1次方程式(3)(ガウス・ザイデル法)
ガウス・ザイデル法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
6 非線形方程式の解法(1)(はさみうち法)
代数方程式,超越方程式などの非線形方程式は,コンピュータを用いた数値計算によって容易に解くことができる.そのための一つの手法である,はさみうち法について解説し,コーディング演習を行う.
7 非線形方程式の解法(2)(ニュートン法)
1次元ニュートン法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
8 復習
2回目から7回目の内容について復習を行う.
9 差分と数値微分
微分に対する有限差分近似について解説し,演習を行う.
10 数値積分(1)(台形則)
数値積分法の一つである,台形則のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
11 数値積分(2)(シンプソン則)
シンプソン則に基づく数値積分公式について解説し,コーディング演習を行う.
12 フーリエ変換(1)
数値的フーリエ解析について解説する.
13 フーリエ変換(2)
離散フーリエ変換について解説し,演習を行う.
14 フーリエ変換(3)
高速フーリエ変換のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
15 常微分方程式(1)(テイラー法)
常微分方程式の数値的解法の一つである,テイラー法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
16 常微分方程式(2)(オイラー法,修正オイラー法)
オイラー法および修正オイラー法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
17 常微分方程式(3)(ルンゲ・クッタ法)
ルンゲ・クッタ法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
18 連立微分方程式
連立微分方程式の数値的解法の一つである,オイラー法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
19 高階微分方程式
高階微分方程式に対するオイラー法およびルンゲ・クッタ法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
20 補間と近似(1)(最小2乗法)
最小2乗法に基づくデータの処理方法について解説し,コーディング演習を行う.
21 補間と近似(2)(多項式補間法)
ラグランジュ多項式を用いた補間法について解説し,コーディング演習を行う.
22 補間と近似(3)(スプライン補間法)
スプライン補間法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.
23 復習
9回目から22回目までの内容について復習を行う.
24 偏微分方程式
偏微分方程式について概説する.
25 偏微分方程式の差分化
変数分離法に基づく偏微分方程式の解法について解説するとともに,テイラー展開に基づく差分化について解説し,演習を行う.
26 楕円型偏微分方程式(ラプラス方程式)
楕円型方程式の典型である,2次元ラプラス方程式の差分化とその数値計算法について解説し,コーディング演習を行う.
27 放物型偏微分方程式(熱伝導方程式)
放物型方程式の典型である,1次元熱伝導方程式の差分化とその数値計算法について解説し,コーディング演習を行う.
28 双曲型偏微分方程式(波動方程式)
双曲型方程式の典型である,1次元波動方程式の差分化とその数値計算法について解説し,コーディング演習を行う.
29 有限要素法(1)
有限要素法について概説する.
30 有限要素法(2)
ガラーキン法に基づく有限要素法のアルゴリズムについて解説し,コーディング演習を行う.


前期定期試験および後期定期試験を実施する.