【 2008 年度 授業概要】
科   目 人文科学特講 ( Human Science )
担当教員 今里 典子 准教授
対象学年等 全学科・5年・通年・選択・2単位 ( 学修単位I )
学習・
教育目標
C3(80%) D2(20%)
JABEE
基準1(1)
(a),(b)
授業の概要
と方針
理論言語学の基礎的な概念や考え方を学び,それに基づいて行った手話の分析結果と,習得・失語症の状況など多角的な視点からのデータに基づき,手話が言語であることを認識する.同時に手話話者である聾者の情報保障手段の紹介と,実際のコミュニケーションを通じて,言語としての手話についてさらに理解を深める.講義内容を理解するために必要な基本的「日本手話(JSL)表現」を習得する.



1 【C3】  理論言語学の概念や分析の方法を理解し,手話言語分析に応用できる.
2 【C3】  手話言語分析に必要な,基本的な日本手話(JSL)表現を理解し,基本的なコミュニケーションができる.
3 【D2】  聾者について正しく理解し,特に情報保障の問題について説明することができる.
4  
5  
6  
7  
8  
9  
10  












1 理論言語学の概念や分析方法の理解,及び手話分析への応用ができているかどうかを定期試験およびレポートによって評価する.
2 基本的な手話表現を習得しているかどうかを,定期試験およびレポートによって評価する.
3 聾者についての正しい知識,情報保障の問題について理解しているかどうかを,定期試験およびレポートによって評価する.
4  
5  
6  
7  
8  
9  
10  




成績は,試験50% レポート50% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト ノート講義(適宜プリントを配布)
参考書 「手は脳について何を語るか」:H. Poizner他著・石坂郁代他訳(新曜社)
「類別詞の対照」:西光義弘・水口志乃扶編(くろしお出版)
関連科目 なし
履修上の
注意事項
講義を理解するために必ず手話表現を習得する必要がある.

【授業計画( 人文科学特講 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション
授業の進め方や評価方法などの説明.手話を学習するに当たっての注意事項について説明.手話に関するアンケートの実施.
2 言語学概論・世界の言語
アンケート結果を公開・世界の言語(音声言語)状況の紹介.+指文字1+日本手話(以下JSL)の挨拶
3 言語学概論・言語の定義
言語学の基本的な考え方の概説を受け,言語とは何か,その基本的な特徴について学習する.+指文字2+JSL表現1
4 言語学概論・発生と聞こえのメカニズム
人間の発声と聞こえのメカニズムについて学習する.+指文字3+JSL表現2
5 言語学概論・NVC
ノンバーバルコミュニケーションの様々な表現手段と「手話言語」の区別と関係について学習する.+指文字4+JSL表現3
6 手話言語学入門・手話の発生
手話言語の発生過程について学習する.+指文字5+JSL表現4
7 手話言語学入門・手話の習得
手話言語の習得・学習過程について学習する.+指文字6+JSL表現5
8 手話言語学入門・調査
手話言語について知識を深めるための「調査方法」に従い,調査する.
9 手話言語学・音韻論
手話の音韻体系を,JSL語彙の分析演習を通して学習する.+JSL表現7
10 手話言語学・形態論
手話の形態:JSL語彙の語形成のルールを,実際の単語を分析することで理解する.+JSL表現8
11 手話言語学・統語論(1)
手話の形態・統語: JSLの「類辞」を取り上げ現象を観察したうえで,音声日本語の文法と比較し,区別できるようにする.+JSL表現9
12 手話言語学・統語論(2)
手話の統語:JSLと日本語の語順を比較し,2つが別の言語であることを理解する.+JSL表現10
13 レポート発表会&ディスカッション(1)
学生がレポートの内容を発表し,内容について他の学生と質疑応答・議論を行う.
14 レポート発表会&ディスカッション(2)
学生がレポートの内容を発表し,内容について他の学生と質疑応答・議論を行う.
15 手話表現
前期に習得した手話表現を使って会話の訓練を行う.
16 手話学応用・手話失語
手話失語の症例から,手話が脳内でどのようにプロセスされていると考えるのが妥当なのかを理解する.+手話読み取り
17 手話学応用・聾学校教育(1)
JSLによる講演「聾学校について」に参加し,質疑応答を行う.
18 手話学応用・聾学校教育(2)
2つの異なる方法で行う聾教育の比較から,聾学校の現在について理解する.+手話読み取り
19 手話学応用・情報保障の技術(1)
JSLによる講演「聾者をサポートする技術」に参加し,質疑応答を行う.
20 手話学応用・情報保障の技術(2)
補聴器・人口内耳について学習する.+手話読み取り
21 手話学応用・情報保障のシステム
JSLによる講演「聾者の生活について」に参加し,質疑応答を行う.
22 手話学応用・情報保障と文化
「聾者」を描いた映画やドラマから聾者の生活について観察した上で,情報保障としての手話の役割を理解する.
23 手話学応用・表現演習
手話による実際のコミュニケーションに備えて,表現を整理し,演習する.
24 手話コミュニケーション(1)
図書館の資料を利用して,与えられた内容を手話で表現し,伝達することで,手話表現能力を身につける.
25 手話コミュニケーション(2)
図書館の資料を利用して,自由な内容を手話で表現・伝達・読み取り・応答を行うことで手話で基本的な会話ができる力を養う.
26 手話コミュニケーション(3)
図書館の資料を利用して,自由な内容を手話で表現・伝達・読み取り・応答を行うことで手話で基本的な会話ができる力を養う.
27 手話コミュニケーション(4)
JSL母語話者である聾者と,図書館において実際にJSLによって会話を行う.
28 手話研究基礎(1)
与えられた内容語について,JSL会話の中でどのように使用するのかを,JSL母語話者にJSLで質問し,その語彙の意味を記述する.
29 手話研究基礎(2)
与えられた機能語について,JSL会話の中でどのように使用するのかを,JSL母語話者にJSLで質問し,その語彙の意味を記述する.
30 まとめ
学習内容の理解度を確認し整理する.


中間試験および定期試験は実施しない.後期定期試験を実施する.(前期はレポートのみで評価する)