【 2008 年度 授業概要】
科   目 国語 ( Japanese Language and Literature )
担当教員 吉川 敏郎 教授
対象学年等 電子工学科・2年・通年・必修・3単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
B1(100%)
授業の概要
と方針
前年度に引き続き,国語総合の教科書を中心に,読解・理解・表現の領域において国語の基礎的・基本的な能力の養成に努めるとともに,語彙力の一層の充実と読解能力の深化と発展を目指して指導する.それを通して,言語文化に対する関心を深めるとともに,現実に即した言語感覚を磨けることを目指して授業を展開していく.



1 【B1】  多くの語彙を身につけ,適切に使い分けることができる.
2 【B1】  目的に応じて文章を正確に理解する能力を養う.
3 【B1】  様々な表現技法を理解できるようにする.
4 【B1】  古文・漢文などの内容を理解し,作者の主張が読み取れるようにする.
5 【B1】  日本文化や伝統に対する理解を,深めるようにする.
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1 使用頻度の高い常用漢字を,読み・書くことができるか,教材に用いられた言葉の意味を理解し正しく使うことができるかを,4回の試験で評価する.
2 評論文や随想文の作者の主張が確実に把握できているか,小説に登場する人物の心理や生き方を正確に理解できているかどうかを,4回の試験で評価する.
3 詩・漢詩,短歌・俳句に関する表現上のきまりなどが身につき,作者の心情や作り上げた世界を正確に鑑賞できるかどうか,4回の試験で評価する.
4 古語や漢語の意味が理解でき,文脈に沿って作者の主張が理解できているかどうか,4回の試験で評価する.
5 古文・漢文の作品の歴史的背景や文学史的位置づけを理解し,本文の読解を通して,古代人の物の考え方や価値観が理解できたかを4回の試験で評価する.
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成績は,試験100% として評価する.中間試験と定期試験の平均を試験成績とし,100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「高校生の国語総合」(明治書院)
参考書 「現代国語例解辞典」(小学館)
関連科目 1年 国語 3年 国語
履修上の
注意事項
無し

【授業計画( 国語 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 随想文を読む・軍記物語を読む.
「人間の哀しさ」を全文通読する.難解な漢字の読みの指導と主な漢字の習得を指示する.難解な言葉の意味を説明する.「祇園精舎」を読み,成立年代,時代背景,作者,琵琶法師の果たした役割等について解説する.
2 随想文を読む・軍記物語を読む.
作品の展開にしたがって,個々の文の指示内容,表現上の特徴等を設問形式で学生に習熟させる.「祇園精舎」に描かれた,様々な人物について解説する.
3 随想文を読む・軍記物語を読む.
作品の要旨を理解させ,筆者の主張を読み取るとともに「哀しさ」の持つ意味を考えさせる.「祇園精舎」に用いられている難解な古語の意味を習得させるとともに,語り物特有の文体を解説する.
4 小説を読む・軍記物語を読む.
「新聞少年の歌」の全文を通読する.難解な漢字の読みの指導と主な漢字の習得を指示する.難解な言葉の意味を説明する.「宇治川の先陣」を全文通読する.難解な古語について説明する.
5 小説を読む・軍記物語を読む.
小説全体の文章構成を理解させる.小説の筋の展開を把握させ,主人公の果たす役割を理解させる.「軍記物語」の合戦描写に焦点を当て,登場人物がどのように描かれているかを読み取らせる.
6 小説を読む・軍記物語を読む.
小説の主人公の描写や生き方から,心の動きが読み取れるように指導する.「宇治川の先陣」全体の大意をつかみ,当時の武士たちの考え方を理解する.
7 小説を読む・軍記物語を読む.
この小説を通して,人の生き方や作者の考えを的確に把握できるようにする.古文を正確に現代語訳させるとともに,「祇園精舎」「宇治川の先陣」を通して読み取られる,作者の世界観について考えさせる.
8 中間試験
1週目から7週目までの内容について行う.
9 前期中間試験の答案解説.詩を鑑賞する・古典の和歌を鑑賞する.
詩「奈々子に」の音読を通して,詩の韻律を実感させる.詩が作られた背景や「親の思い」などについて説明する.「万葉集」の成立事情・時代背景と歌風の特徴などを説明し,教材に取り上げられた歌人の解説をする.
10 詩を鑑賞する・古典の和歌を鑑賞する.
詩固有の言語表現について解説する.「万葉集」から教材に取り上げられた和歌の,難解な語句について解説する.
11 詩を鑑賞する・古典の和歌を鑑賞する.
詩的言語の理解を通して創造力を養うとともに,詩人の語ろうとしていることを理解させる.「万葉集」から教材に取り上げられた和歌に関する,文法的な事項や表現技法について解説する.
12 評論を読む・古典の和歌を鑑賞する.
「コインは円形である」という評論文を全文通読する.難解な漢字の読みの指導と主な漢字の習得を指示する.難解な言葉の意味を説明する.「万葉集」から教材に取り上げられた和歌の歌意を現代語に訳させる.
13 評論を読む・古典の和歌を鑑賞する.
評論文全体の文章構成を理解させる.評論文特有の明快な論理の展開と表現を解説する.「古今集」の成立事情・時代背景と歌風の特徴などを説明し,教材に取り上げられた歌人の解説をする.
14 評論を読む・古典の和歌を鑑賞する.
筆者の科学的な考察の姿勢を説明し,それをいかに表現しているかを様々な設問を通して理解させる.「古今集」から教材に取り上げられた和歌に関する,文法的な事項や表現技法について解説する.
15 評論を読む・古典の和歌を鑑賞する.
筆者の物事の本質に迫る思考のあり方を,様々な設問を課することを通して,理解を深める.教材で取り上げられた和歌の歌意を現代語に訳させ,「万葉集」「古今和歌集」の鑑賞を通して,古代人のものの考え方や感性に触れる.
16 前期末試験の答案解説.近代小説を味わう・漢文で逸話を読む.
「清兵衛と瓢箪」の全文を通読する.作者の他の作品にに関する知識や文学史的位置付けについて説明する.逸話「苛政猛於虎也」を通読し,全文を書き下し文に改めさせる.
17 近代小説を味わう・漢文で逸話を読む.
「清兵衛と瓢箪」に用いられた,近代特有の難解な語句について解説する.「清兵衛と瓢箪」の短編小説固有の構成について理解させる.「苛政猛於虎也」に用いられた難解な語句や表現技法について解説する.
18 近代小説を味わう・漢文で逸話を読む.
「清兵衛と瓢箪」の展開にしたがって,個々の文の指示内容や,表現上の特徴等を様々な設問形式を通して理解させる.「苛政猛於虎也」を全文現代語訳させ,当時の中国の人々の政治感覚を学ばせる.
19 近代小説を味わう・唐詩を読む.
「清兵衛と瓢箪」の構成や筋の展開を設問形式で把握させ,登場人物の置かれている状況を性格に理解させる.教材として取り上げられた,「唐詩」を全文通読させ,書き下し文に改めさせる.
20 近代小説を味わう・唐詩を読む.
「清兵衛と瓢箪」登場人物の描写や発言から,心の動きが読み取れるように指導するとともに,当時の庶民の生活ぶりを理解させる.唐詩固有の形式や表現技巧を解説する.
21 近代小説を味わう・唐詩を読む.
「清兵衛と瓢箪」の登場人物の生き方を追体験することを通して,「清兵衛」の心情をより具体的に把握させる.教材として取り上げられた「唐詩」の難解な語句について解説する.
22 近代小説を味わう・唐詩を読む.
この小説を通して,作者が述べたかったことを理解させるとともに,学生自身の生き方を考えさせる.「唐詩」を全文現代語に改め,鑑賞することにより,唐代の中国人の自然観や人生観に触れる.
23 中間試験
16週から22週までの内容について行う.
24 後期中間試験の答案解説.評論文を読む・「奥の細道」を読む
「不安をより強く生きる力とするために」を全文通読する.難解な漢字の読みの指導と主な漢字の習得を指示する.難解な言葉の意味を説明する.江戸時代に書かれた「俳文」について解説する.「奥の細道」の「旅立ち」を通読する.
25 評論文を読む・「奥の細道」を読む.
評論文全体の構成について理解を深めさせる.作品の展開にしたがって,個々の指示内容,表現上の特徴等を設問形式で答えさせ,内容理解の手助けとする.「奥の細道」の作者松尾芭蕉の他作品の紹介と文学史の上で果たした役割等を解説する.
26 評論文を読む・「奥の細道」を読む.
評論文の要旨を理解させ,筆者の主張を正確に読み取れるように解説する.「旅立ち」に用いられた,江戸時代の古語の意味や用法について説明する.
27 評論文を読む・「奥の細道」を読む.
評論文の読解を通して,作者の述べる「不安」の持つ意味を考えさせ,視点を変えてものを考えることの重要性を理解させる.「奥の細道」の「旅立ち」に書かれている俳句の,表現技法や句意について解説する.
28 俳句を鑑賞する・「奥の細道」を読む.
近現代俳句を集めた「峪深し」の中で,主要な歌人と作品を抜粋して,歌人の文学史的位置付け・作歌事情・時代背景について解説する.「奥の細道」の「平泉」に用いられた,難解な古語の意味や用法を解説する.
29 俳句を鑑賞する・「奥の細道」を読む.
「峪深し」に取り上げられた主要な俳句について,俳句固有の修辞を解説し,江戸時代の俳句との違いを理解させる. 「奥の細道」の「平泉」を全文現代語訳させ,紀行文とその中に詠まれた俳句との関連を考えさせる.
30 俳句を鑑賞する・「奥の細道」を読む.
「峪深し」に用いられた語句の解説を通して,俳句に描かれた世界を鑑賞させる.「奥の細道」全体に流れる,松尾芭蕉固有の美意識を紀行文と俳句の鑑賞を通して理解させる.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.