【 2008 年度 授業概要】
科   目 卒業研究 ( Graduation Thesis )
担当教員 講義科目担当教員
対象学年等 応用化学科・5年・通年・必修・10単位 ( 学修単位I )
学習・
教育目標
B1(20%) B2(10%) C2(70%)
JABEE
基準1(1)
(d)2-a,(d)2-b,(d)2-c,(e),(f),(g)
授業の概要
と方針
特定のテーマを設定し,授業等で習得した知識と技術を総合して,自主的かつ計画的に指導教官の下で研究を行う.研究を通じて問題への接近の方法を理解し,文献調査や実験,理論的な考察など問題解決の手順を習得して,総合力およびデザイン能力を高める.また研究成果を口頭で発表し論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける.



1 【C2】  研究活動:研究テーマの背景と目標を的確に把握し十分な準備活動を行い,指導教官,共同研究者と連携しながら自主的に研究を遂行できる.
2 【C2】  研究の発展性:得られた研究結果を深く考察し,今後の課題等を示し,研究の発展性を展望することができる.
3 【B1】  発表および報告書:研究の発表方法を工夫し,与えられた時間内に明瞭でわかりやすく発表できる.また.報告書が合理的な構成で研究全体が簡潔・的確にまとめることができる.
4 【B2】  質疑応答:質問の内容を把握し,質問者に的確に回答できる.
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1 研究への取り組み,達成度と卒業研究報告書の内容を評価シートで評価する.
2 研究活動の状況,研究成果と卒業研究報告書の内容を評価シートで評価する.
3 中間および最終発表会,報告書を評価シートで評価する.
4 中間および最終発表会の質疑応答と質問回答書を評価シートで評価する.
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研究活動(C-2)を30%,研究の発展性(C-2)を30%,卒業研究報告書の構成(B-1)を10%,卒業研究発表会の内容(C-2)を10%,その発表(B-1)を10%,質疑応答(B-2)を10%として総合的に優,良,可,不可で評価する.
テキスト 各研究テーマに関する文献,論文等.
参考書 各研究テーマに関する文献,論文等.
関連科目 各研究テーマに関する文献,論文等.
履修上の
注意事項
各専門分野に対する強い興味と未知の分野への探求姿勢が望まれる.

【授業計画( 卒業研究 )】
内容(目標、準備など)
以下の11の分野のなかから一つのテーマを選びその中で1年間教官から指導を受け研究活動をおこなう.

(分野1:小泉)不安定中間体の化学
反応中に発生はするが反応活性なため単離ができない中間体 (不安定中間体) の反応性に関する研究を行っている.
具体的にはビニルカルベノイドとヘテロ原子や炭素多重結合との分子内,分子間の反応を検討し,新規化合物の創製及び反応機構の解明を目的としている.

(分野2:根津)大気環境に関する分析化学
大気環境中に存在する汚染物質測定方法の検討開発やその挙動を解明することにより,環境保全対策に有効となる知見を得ることを目的として研究する.

(分野3:牧野)気体包接化合物の利用を目的とした基礎研究
気体包接化合物が関係するプロセス設計に必要なデータの収集とモデル式の確立を目的として,気体包接化合物を含む多相系平衡関係の測定,気体包接化合物の分光学的評価を行う.

(分野4:宮下)金属錯体の立体選択性に関する基礎研究
金属イオンは多種多様な酸化数や幾何構造を取り得る.光学活性な多座キレート配位子を有する金属錯体を合成し,その立体化学を分光化学的に評価する.錯体の立体選択性に対する金属間相互作用やキラリティーの影響を調査する.

(分野5:田中)液晶ポリウレタンの合成とその性質
側鎖にビフェニル基や芳香族アゾ化合物を含むポリウレタンを新たに合成し,その熱的性質を調べる.ポリウレタン主鎖,側鎖構造及びmesogen単位を種種変えたときの,ポリマーの熱的性質を詳細に調べる.それらのデータを検討し,液晶ポリウレタンの化学構造と液晶性の関係を明らかにする.

(分野6:松井)超臨界水によるプラスチックのケミカルリサイクルに関する研究
近年,地球温暖化などのグローバルな環境悪化が懸念されており,環境に配慮した物質製造プロセスの開発が緊急かつ重要な課題となっている.その中で安全かつ安価で水を優れた反応溶媒として制御できる超臨界水の利用が注目を浴びている.本研究室では超臨界水のもつ優れた特性を廃プラスチックのケミカルリサイクル技術へ応用し,原料モノマーや他の有用な物質へ変換する方法の確立を目指した研究を行っている.

(分野7:杉)化学工学拡散分離操作の基礎と応用に関する研究
化学工学拡散分離操作の基礎と応用に関する研究を行っている.なかでも蒸溜の基礎物性である気液平衡関係の実測,抽出装置の流動特性や物質移動特性の解析,液滴界面を通しての物質移動速度の解析等をテーマとしている.

(分野8:大淵)新規機能性有機化合物および有機金属錯体の合成と応用
分子デバイス(有機EL素子,有機トランジスタ,分子ワイヤー),触媒,医薬品への展開を図るため,新規な機能性有機化合物および有機金属錯体の合成とその応用を研究している.

(分野9:九鬼)光合成色素の励起状態の物理化学
光合成色素の一つカロテノイドの補助集光・光保護作用の機能発現機構を物理化学的視点より研究する.色素蛋白やカロテノイドを単離精製(生化学・有機化学)して種々の分光法を応用(物理化学)したり,理論計算(物理学)を行って,カロテノイドの励起状態の特性を調べ上げ,光合成系での機能発現の機構を考察する.

(分野10:渡辺)分子の内部自由度が反応に与える影響
分子の自由度(並進,回転,振動)により,素反応がどのような影響を受けるか反応速度論と反応動力学の両面から測定および,理論計算による考察を行い,量子論的な反応制御の可能性について考える.

(分野11:下村)マメ科植物-根粒菌共生に関わる遺伝子の検索
植物-微生物間共生のモデルとしてマメ科植物-根粒菌の共生窒素固定を題材とし,共生に関わる遺伝子群の同定,及び機能解析を行うことによって共生窒素固定メカニズムに対する知見を得ることを目的とする.具体的には根粒菌感染後に発現量が変動する植物側の遺伝子を検索し,遺伝子配列,発現部位について解析する.


中間試験および定期試験は実施しない.前期6単位時間,後期14単位時間実施.