【 2008 年度 授業概要】
科   目 無機合成化学 ( Synthetic Inorganic Chemistry )
担当教員 宮下 芳太郎 准教授
対象学年等 応用化学専攻・1年・前期・選択・2単位
学習・
教育目標
A4-2(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
無機化学物質の各種合成法の原理,短所,応用例を講義する.更にその実施例を理解するため,最新の文献の講読を行う.



1 【A4-2】  PVD,CVDなどの気相合成法,沈殿法,ゾル-ゲル法などの液相合成法,燃焼合成,高圧合成などの固相合成法の特徴が理解できる.
2 【A4-2】  無機材料合成の基礎となる相平衡が理解できる.
3 【A4-2】  単核錯体および多核錯体の合成法が理解できる.
4 【A4-2】  無機化合物の潜在危険性を理解し,それらを安全に取り扱う方法が理解できる.
5 【A4-2】  無機合成を用いた最新の文献で,その趣旨を理解しレポートにまとめられる.また,内容について分かりやすくプレゼンテーションができる.
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1 PVD,CVDなどの気相合成法,沈殿法,ゾル-ゲル法などの液相合成法,燃焼合成,高圧合成などの固相合成法の特徴についての理解度を定期試験およびレポートで評価する.
2 セラミックスにおける相平衡に関する理解度を定期試験およびレポートで評価する.
3 単核錯体および多核錯体の合成法に関する理解度を定期試験およびレポートで評価する.
4 無機化合物の潜在危険性および取り扱い方に関する理解度を定期試験およびレポートで評価する.
5 最新の文献を購読し,概要についてプレゼンテーションの練習を行う.また,レポートにまとめることによって無機合成化学の理解度を評価する.
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成績は,試験70% レポート20% プレゼンテーション10% として評価する.備考:試験は到達目標1,2,3,4について,レポートは到達目標1,2,3,4,5について実施.プレゼンテーションは到達目標5について実施し評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 講義資料(プリント)
参考書 「第5版実験化学講座23−無機化合物」:日本化学会編(丸善出版)
「第4版実験化学講座16−無機化合物」:日本化学会編(丸善出版)
「溶液を場とする無機合成」:永長久彦他著(培風館)
「セラミックスの科学(第二版)」:柳田博明/永井正幸著(技報堂出版)
関連科目 本科C2の「無機化学I」,本科C3の「無機化学II」,本科C4の「応用無機化学I」,本科C5の「応用無機化学II」
履修上の
注意事項
無機合成化学では,無機化合物の各種合成法について学習するので,それらの化合物の基本的な性質を学習する無機化学および応用無機化学をよく理解しておくことが必要である.

【授業計画( 無機合成化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 緒論
無機合成化学の全般的な概要について述べる.
2 気相合成法
気相合成法に関して,物理的方法であるPVD(Physical vapor deposition)および化学的方法であるCVD(Chemical vapor deposition)について述べる.
3 液相合成法(沈殿法)
溶媒の中に溶解している溶質を沈殿粒子として取り出す合成法である沈殿法について述べる.単成分物質および2種類以上の金属イオンからなる物質の合成について説明する.
4 液相合成法(ゾル-ゲル法,水熱合成法)
金属アルコキシドのような金属有機化合物または無機の金属化合物を含む溶液から出発して材料をつくる液相低温合成法であるゾル-ゲル法および密閉容器中で水の存在する100℃以上の高温高圧下で起こる水熱反応について述べる.
5 無機合成の実施例(文献購読)
無機合成の実施例について,雑誌にある総説を用いて議論する.テーマ毎に分担を決め,プレゼンテーションの練習を行う.
6 固相合成法
固体反応の特徴について述べた後,高い反応熱を放出する化合物の合成に用いられる燃焼合成および超高圧技術を利用した高圧合成について説明する.
7 セラミックスの合成
気相,液相,固相からのセラミックスの合成について述べる.相の安定性と自由エネルギー,相律,状態図から分かることについて述べる.
8 固気反応合成法
固相と気相の反応を経由した合成法である固気反応合成法について述べる.
9 単結晶合成法
X線構造解析などに用いられる単結晶の合成法について述べる.
10 錯体の合成(単核錯体)
金属イオンとそれに結合した配位子の複合体である錯体について述べた後,基本的な単核錯体の合成法を紹介する.
11 錯体の合成(多核錯体)
複数の金属イオンからなる多核錯体の合成法を紹介する.
12 無機化合物の潜在危険性と安全管理
無機化合物の潜在的な危険性について述べた後,それらを安全に取り扱う方法を解説する.
13 無機合成の実施例(最新の文献講読)
最近の無機合成を行って発表された英文の論文の講読を行う.各自概要についてのレポートを書くとともに,グループによるプレゼンテーションの練習を行う.
14 無機合成の実施例(最新の文献講読)
最近の無機合成を行って発表された英文の論文の講読を行う.各自概要についてのレポートを書くとともに,グループによるプレゼンテーションの練習を行う.
15 無機合成の実施例(最新の文献講読)
第13週,第14週で行った講読結果についてのレポートを完成させるため,講読結果についての討議を行う.


前期定期試験を実施する.