【 2008 年度 授業概要】
科   目 有機金属化学 ( Organometallic Chemistry )
担当教員 大淵 真一 教授
対象学年等 応用化学専攻・1年・後期・選択・2単位
学習・
教育目標
A4-1(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
無機および有機錯体についての一般的基礎理論(歴史・命名法・結合の概念・電子構造・立体構造)について述べる.さらに,有機合成化学あるいは化学工業における有機金属錯体の役割を具体的な反応例を挙げて述べる.



1 【A4-1】  錯体の構造が理解でき,その名称が記述できる.
2 【A4-1】  錯体の結合理論を原子価結合理論,結晶場理論,分子軌道理論のそれぞれを用いて説明できる.
3 【A4-1】  有機金属錯体の基本反応が電子論で理解できる.
4 【A4-1】  化学工業における,触媒としての錯体の役割と反応機構が理解できる.
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1 錯体の構造が理解でき,その名称が記述できるかをレポートと後期中間試験で評価する.
2 錯体の結合理論(原子価結合理論,結晶場理論,分子軌道理論)の違いが理解でき説明できるかをレポートと後期中間試験で評価する.
3 有機金属錯体の基本反応が記述でき,電子論で説明できるかを後期定期試験で評価する.
4 化学工業における,触媒としての錯体の役割と反応機構が理解でき,記述できるかを後期定期試験で評価する.
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成績は,試験90% レポート10% として評価する.到達目標1,2についての中間試験を45%で評価する.到達目標1,2についてのレポート点10%で評価する.到達目標3,4についての試験45%で評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「有機金属化学−その多様性と意外性−」:小宮三四郎・碇屋隆雄(裳華房)
参考書 「化学選書錯体化学(改訂版)」:山崎一雄・池田龍一・吉川雄三・中村大雄(裳華房)
「化学選書有機金属化学−基礎と応用−」:山本明夫(裳華房)
関連科目 C2有機化学,C3有機化学,C4有機合成化学,C2無機化学,C3無機化学
履修上の
注意事項
上記科目を十分に理解した上で履修することが望ましい.

【授業計画( 有機金属化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 無機・有機金属錯体[I]
無機錯体および有機金属錯体について,その発見に至る経緯と構造を解説する.
2 無機・有機金属錯体[II]
無機錯体および有機金属錯体について,配位数の概念,命名法を解説する.
3 配位結合理論[I]
錯体中の配位結合について電子対反発則および原子価結合理論を用いて解説する.
4 配位結合理論[II]
錯体中の配位結合について結晶場理論を用いて解説する.
5 配位結合理論[III]
錯体中の配位結合について分子軌道理論を用いて解説する.
6 配位立体化学(対称性・異性体)
錯体の立体構造を分子の対称要素と対称操作を用いて解説する.
7 無機錯体の置換反応と安定度
無機錯体における置換反応と錯体の安定度について解説する.
8 中間試験
錯体の構造と命名が記述できるかを試験する.錯体の結合理論が理解できているかを試験する.
9 中間試験の解答.有機金属錯体の結合と合成
中間試験の解答を解説する.有機金属錯体におけるM-C結合(COとの結合,オレフィンとの結合)について解説する.典型元素,遷移元素を用いた有機金属錯体の合成法について解説する
10 有機金属錯体の基本反応[I]
有機金属錯体における配位子置換反応,酸化的付加反応,還元的脱離反応について解説する.
11 有機金属錯体の基本反応[II]
有機金属錯体における挿入反応と脱離反応について解説する.
12 有機合成と有機金属錯体(C-C結合生成・CO化反応)
ニッケル錯体触媒,パラジウム錯体触媒によるC-C結合生成反応について解説する.ロジウム触媒によるオレフィンの水素化と異性化反応について解説する.アリルハライドへのCO挿入反応について解説する.
13 化学工業における有機金属錯体[I]
アルケン類の水素化におけるWillkinson触媒の作用,ポリエチレン合成におけるTiegler-Natta触媒の作用,ヒドロホルミル化反応におけるCo触媒の作用について解説する.
14 化学工業における有機金属錯体[II]
Hoecst-Wacker法におけるPd触媒の作用,Monsanto法におけるRh触媒の作用について解説する.
15 化学工業における有機金属錯体[III]
不斉異性化反応におけるRh-BINAP触媒(野依触媒)の作用,アルケンの不斉ジヒドロキシル化反応(Sharpless酸化)におけるOs触媒の作用について解説する.


後期中間試験および後期定期試験を実施する.