科 目 | 電気回路I ( Electric Circuit I ) | |||
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担当教員 | 北村 洋 | |||
対象学年等 | 電気工学科・2年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
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授業の概要 と方針 |
まず,直流回路との違い,すなわち変動する電圧に伴って変化する抵抗成分(リアクタンス,インピーダンス)および電圧と電流間に発生する位相差等の作用を理解する。そのために,物理的な意味に重点を置き,初歩の数学の知識があれば理解できるような講義内容とする。 | |||
到 達 目 標 |
1 | 直流と交流の違いおよび交流の性質を理解する。 | 2 | 交流を数式およびベクトルで表現でき,その意味を理解できる。 | 3 | 抵抗,インダクタンスおよびキャパシタンスの働きを理解し,これらを含む回路の計算が出来る。 | 4 | 交流電力について,皮相電力,有効電力,無効電力および力率を理解できる。 | 5 | 複素平面を利用したベクトルによる回路の計算が出来る。 | 6 | 授業中に出された演習問題について解答できる。 | 7 | 与えられた課題等に的確に答えられる。 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 交流は大きさと方向が変化すること,すなわち周波数および周期の概念が理解できているかを前期中間試験及びレポートで評価する。 | |
2 | 電圧,電流を初歩的な三角関数およびベクトルを用いて表現できるか,前期中間試験及びレポートで評価する。 | |||
3 | 周波数によって変化する誘導リアクタンス,容量リアクタンスおよびインピーダンスの理解度を前期定期試験及びレポートで評価する。 | |||
4 | 負荷に供給されたエネルギーを有効に利用する方法について,理解できているかを前期定期試験及びレポートで評価する。 | |||
5 | 複素平面を理解し,複素数を利用しての回路計算ができるかを後期中間試験及びレポートで評価する。 | |||
6 | 出された演習問題を黒板上に解答し,その過程が説明できるかどうかをプレゼンテーションすることで評価する。 | |||
7 | 定期的に出された課題をレポートにまとめて提出された内容について評価する。 | |||
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総 合 評 価 |
成績は,試験80% レポート10% プレゼンテーション10% として評価する。到達目標1〜5の中間試験と定期試験80%,到達目標6の演習問題の解答および説明を10%,到達目標1〜5,7のレポートの提出を10%で評価する。100点満点で60以上を合格とする。 | |||
テキスト | 「交流理論」:東京電機大学編(東京電機大学出版局),プリント |
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参考書 | 「交流理論」:電気学会 「基本を学ぶ電気と回路」:小林 敏志,坪井 望 共著(森北出版株式会社) |
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関連科目 | 数学,基礎電気工学,電気数学,電気回路II,電気磁気学I | |||
履修上の 注意事項 |
暗記に頼らず,出来うる限り理解するように努め,疑問があれば積極的に質問する。関連科目の「数学」の三角関数の計算および微分・積分の計算が出来,また,ベクトルおよび複素数の計算が出来ることが必要である。 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 直流と交流の違い |
直流は電圧は大きさも方向も変化せず,回路素子の抵抗も一定である。しかし,交流は電圧の大きさと方向が時間と共に変化する。また,交流の抵抗として作用する誘導リアクタンス,容量リアクタンスおよびインピーダンスも時間と共に変化する。これらについて説明する。 | |
2 | 正弦波交流起電力の発生原理 |
フレミングの右手の法則による交流発電機について,簡単に説明する。 | |
3 | 正弦波交流起電力の性質とその表現式 |
周波数,周期および位相の概念を解説し,三角関数での表現式について説明する。 | |
4 | 正弦波交流起電力の大きさの表わし方 |
瞬時値,最大値,実効値および平均値について説明する。 | |
5 | 正弦波交流のベクトルでの表現法 |
回転ベクトルおよび静止ベクトルでの表現法について説明する。 | |
6 | 正弦波交流の合成 |
2つ以上の正弦波交流を図形的あるいはベクトル的に合成する方法について,説明する。 | |
7 | 演習問題 |
項目1〜6までの内容について,演習問題を解くことにより理解を深める。 | |
8 | 中間試験 |
1〜7までの内容についての試験を行う。 | |
9 | 中間試験の解答および解説 |
実施した試験の解答,解説を行い,復習すべき点等を指示する。 | |
10 | 抵抗と自己インダクタンスの直列回路 |
交流特有の抵抗成分であるインダクタンスがどのような働きをするかを説明する。 | |
11 | 抵抗とキャパシタンスの直列回路 |
同じく,交流特有の抵抗成分であるキャパシタンスがどのような働きをするかを説明する。 | |
12 | 抵抗,自己インダクタンスおよびキャパシタンスの直列回路 |
インダクタンスとキャパシタンスの性質,働きの違いについて説明する。 | |
13 | インピーダンスおよび直列共振回路 |
それぞれ性質の違う抵抗,インダクタンスおよびキャパシタンスを合成した全体の合成抵抗としてのインピーダンスについて説明する。また,正反対の性質を持つインダクタンスとキャパシタンスの大きさが等しくなった場合に生じる現象を説明する。 | |
14 | 交流電力 |
瞬時電力,皮相電力,有効電力,無効電力および力率について説明する。 | |
15 | 演習問題 |
項目10〜14までの内容について,演習問題を解くことにより,理解を深める。 | |
16 | インピーダンスの直列回路 |
直列に接続された,複数のインピーダンスの合成方法について説明する。 | |
17 | インピーダンスの並列回路 |
並列に接続された,複数のインピーダンスの合成方法について説明する。 | |
18 | 演習問題 |
項目16,17の内容について,演習問題を解くことにより理解を深める。 | |
19 | ベクトルの記号式表現法とjオペレータ |
ベクトルを複素平面上で表現する方法および虚数単位 jの働き について説明する。 | |
20 | 複素数の性質 |
複素数の持つ種々の性質について説明する。 | |
21 | 複素数の和と差および積と商 |
複素数の計算方法について説明する。 | |
22 | ベクトルの和と差および積と商および極座標表示 |
複素平面上でのベクトルの合成方法を説明し,また極座標を利用する事により,指数関数を用いた計算方法について説明する。 | |
23 | 演習問題 |
項目16〜22までの演習問題を解くことにより,理解を深める。 | |
24 | 中間試験 |
16〜20までの内容についての試験を行う。 | |
25 | 中間試験の解答および解説 |
実施した試験の解答,解説を行い,復習すべき点等を指示する。 | |
26 | インピーダンスとアドミッタンス |
インピーダンスとアドミッタンスとの関係を説明し,アドミッタンスを用いた計算方法について説明する。 | |
27 | 直列および並列インピーダンスの合成 |
複素平面上でのベクトルを用いたインピーダンスの合成方法について説明する。 | |
28 | 交流回路におけるキルヒホッフの法則 |
直流回路と同様にインピーダンスあるいはアドミッタンスを使うことにより,交流回路に対してもキルヒホッフの法則が利用できることを説明する。 | |
29 | 電力の記号式計算法 |
複素数を用いた交流電力の計算方法について説明する。 | |
30 | 演習問題 |
項目25〜29までの内容について,演習問題を解くことにより,理解を深める。 | |
備 考 |
中間試験および定期試験を実施する。 |