【 2007 年度 授業概要】
科   目 応用無機化学II ( Applied Inorganic Chemistry II )
担当教員 松本 久司
対象学年等 応用化学科・5年・前期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A-4-2(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
1〜4年で学習した応用化学の知識を活かし,化学工業で不可欠な基礎部門の学習を中心に進めるが,最近大きく発展をとげているファインセラミックス分野も導入し,その理論と実際とを講義する。



1 化学工業で不可欠な基礎部門に当たる分野の概要を理解できる。
2 海水からの製塩,海水の淡水化,電解ソーダ等の製造原理,製造技術の歴史,工業的価値等を理解できる。これらに関係する計算問題が的確に解ける。
3 炭酸ソーダの製造に関して,製造プロセス,装置材料,環境対策等について理解できる。
4 古典的セラミックス,ニューセラミックスの製造技術に関する内容が理解できる。
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1 化学工業の基礎部分での分類が理解し,説明できるか。また,その分野ごとの概要を理解し,説明できるかを中間試験および関連するレポートの内容で評価する。
2 到達目標2の事項について,理解でき,説明できるかを中間試験とレポートの内容で評価する。
3 炭酸ソーダ製造プロセス,装置材料,環境対策を理解でき,説明できるかを定期試験とレポートの内容で評価する。
4 陶磁器,セメント,ガラス製造技術やこれらの基礎理論が理解でき,説明できるかを定期試験と関連するレポートで評価する。
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成績は,試験80% レポート10% 授業中の演習10% として評価する。100点満点で,60点以上を合格とする。
テキスト 「無機工業化学 第2版」:塩川二朗他編集(化学同人出版)
プリント
参考書 「工業化学」:(化学同人出版)
「無機工業化学」:(東京化学同人出版)
関連科目 材料化学(C5),物理化学(C3,C4),分析化学(C2,C3)
履修上の
注意事項
上記の関連科目を充分理解しておくことが望ましい。

【授業計画( 応用無機化学II )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 我が国における海水からの製塩の概要(1)
まず,塩の輸入の実情,用途を解説する。次に,わが国における製塩法の概要を解説する。海水成分の演習。
2 我が国における海水からの製塩の概要(2)
イオン交換膜電気透析法の中で,採かん工程とせんごう工程の理論と実際を解説する。
3 海水からの製塩の演習
にがり工業の解説をする。塩の分離の演習を行なう。
4 海水の淡水化技術について(1)
淡水化の種類や歴史的な意味とその実際の概要を解説する。
5 海水の淡水化技術について(2)
淡水化の種類や歴史的な意味とその実際の概要を解説する。簡単な演習を行なう。
6 電解ソーダ法の概要と電解ソーダ法基礎理論(1)
電解ソーダは食塩から水酸化ナトリウムの合成法で,歴史的には隔膜法,水銀法,イオン交換膜法があるが,概要を解説し,電気分解の基礎理論を説明する。
7 電解ソーダ法基礎理論(2)
基礎理論のうち,平衡電位と電解層の電圧の計算法を解説する。簡単な演習を行なう。
8 中間試験
第1週から第7週までの内容で中間試験を実施する。
9 中間試験解答,アンモニアソーダ法と塩安ソーダ法の概要
中間試験の解答を行なう。食塩から炭酸ナトリウムを工業的に製造する場合ソルベー法が著名であるが,この方法がアンモニアソーダ法と呼ばれる経緯やその後発展的に生まれた塩安ソーダ法について,特徴などを含めての概要を解説する。
10 アンモニアソーダ法と塩安ソーダ法の基礎理論(1)
アンモニアソーダ法では,食塩水にアンモニアや炭酸ガスを吸収させ,重曹を生成する。重曹をか焼して目的物を得る。この反応と操作を立体組成図や平衡図を使って解説する。原料についてや装置上の解説をする。
11 アンモニアソーダ法と塩安ソーダ法の基礎理論(2)
塩安ソーダがアンモニアソーダ法の改良方法であること。反応や操作上での技術的な工夫点を中心に解説する。
12 セラミックの概要
セラミックス工業は原料がケイ酸塩やシリカが主流の時代(セメント,ガラス,耐火物,陶磁器など)から新たな分野(酸化物,窒化物,炭化物)へと発展し,より付加価値の高い精密な製品を生み出した。その概要を解説する。
13 セメント,耐火物,ガラス工業について(1)
セラミックス工業がいわゆる窯業と呼ばれた時代の主な製品(セメント,ガラス,耐火物など)をとり上げて解説する。主な原料の実態について解説する。
14 セメント,耐火物,ガラス工業について(2)
セラミックス工業がいわゆる窯業と呼ばれた時代の主な製品(セメント,ガラス,耐火物など)をとり上げて解説する。主な原料の実態について解説する。
15 ファインセラミックスの概要と実際
ファインセラミックスと先の伝統的セラミックス違いを解説する。違いの中から生まれた製品(高純度アルミナなど酸化物や非酸化物,複合酸化物など)を具体的にとりあげて,解説する。


中間試験および定期試験を実施する。