科 目 | 化学工学I ( Chemical Engineering I ) | |||
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担当教員 | 牧野 貴至,杉 廣志 | |||
対象学年等 | 応用化学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
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授業の概要 と方針 |
化学工学の基礎として単位系,物質の状態と物性,物質収支,エネルギー収支,流動操作,拡散単位操作(蒸留,吸収,抽出)について学ぶ。 | |||
到 達 目 標 |
1 | SI単位系の理解と活用。従来の単位系との関連の理解と単位換算の計算。 | 2 | 化学工学の基礎となる原理,法則の理解。特に実在気体のPVT計算。 | 3 | ベルヌイの式の理解と算出。流体の摩擦損失に関する理解と算出。 | 4 | 気液平衡関係の表示法の理解とその計算法の習得 | 5 | 段塔の構造の理解とマッケーブシール法による理論段数の決定ができる。 | 6 | 充填塔を用いたガス吸収操作法の理解とその高さを算出できる。 | 7 | 液液平衡関係の理解と各種抽出法の図解法ができる。 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 絶対単位系と重力単位系の違いを認識させ,その元での絶対単位系からSI単位系への発展を理解させる。その換算について中間試験で評価する。 | |
2 | 純物質の状態図から3曲線がクラジウスの式で表せることを認識させ,特に蒸気圧曲線に関して,アントワンの式の導出を認識させる。Z線図を用いての算出を理解させる。中間試験で評価。 | |||
3 | 流体の有する機械的エネルギーの収支式としてのベルヌイの式を理解させる。また各種流量測定器の原理を理解させる。ファニングの式による摩擦損失を理解させる。定期試験で評価。 | |||
4 | 2成分系の気液平衡関係の表示法としてx-yグラフとt-x-yグラフの意味を理解する。また理想系の気液平衡計算法,特に沸点計算法を修得する。中間試験で評価。 | |||
5 | 蒸留塔の代表的な装置である段塔の構造の理解とマッケーブシール法による理論段数の決定法を修得する。中間試験で評価。 | |||
6 | 吸収塔の代表的な装置である充填塔の構造の理解とその高さをHTUとNTUを用いて算出する方法を修得する。定期試験で評価。 | |||
7 | 3成分系の液液平衡関係の表示法の理解とそれを用いた各種抽出計算(単抽出,多回抽出,向流多段抽出)の図解法を修得する。定期試験で評価。 | |||
8 | ||||
9 | ||||
10 | ||||
総 合 評 価 |
成績は,試験80%,レポート10%,演習10%として評価する。なお,試験成績は,中間試験と定期試験の平均点とする。100点満点で55点以上 を合格とする。 | |||
テキスト | 「入門化学工学」:小島和夫ら(培風館) |
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参考書 | 「化学工学概論」:大竹伝雄(丸善) |
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関連科目 | 物理化学,化学工学量論 | |||
履修上の 注意事項 |
物理化学の熱力学分野の理解が前提。 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 化学工学とは・単位操作の組み合わせ,絶対単位系・重力単位系について |
単位操作の組み合わせによる化学工場の理解。化学工学について | |
2 | SI単位系について,大気圧・圧力について |
SI単位系の歴史,背景について。気圧の生じる原因についての理解。相対圧と絶対圧の違いについての理解。 | |
3 | 物質の3態変化・状態図について |
気体,液体,固体の相変化について。融解曲線,蒸気圧曲線,昇華圧曲線についての理解。クラジュース・クラペイロンの式の理解。超臨界状態の理解。水の状態図の理解。特に水の状態図における大気圧下について。 | |
4 | 物質の状態と物性(蒸気圧曲線),気体状態式・実在気体・z線図 |
クラジュース・クラペイロンの式から温度対蒸気圧関係式ワントワンの式の導出。理想気体について。実在気体についてのファンデルワールスの式,z線図による実在気体のP-v-T関係の求め方について。z線図を用いた実在気体の温度,圧力から体積の計算演習。 | |
5 | 物理的および化学的操作をめぐる物質収支,水・空気の物性について |
蒸留塔における物質収支,二重蒸発缶における溶質を中性物質としての物質収支の計算,燃焼ガスにおける窒素ガスを中性物質としての物質収支の計算について。水と空気の平均分子量や諸物性についての理解。二重蒸発缶における演習,燃焼ガスにおける演習。 | |
6 | 単位操作をめぐる熱収支,蒸発缶の熱収支 |
二重乾式熱交換器における熱収支の計算,水蒸気を熱源としての蒸発缶における熱収支の計算。水の比熱および蒸発潜熱についての理解。二重乾式熱交換器における熱収支の計算演習,水蒸気を熱源としての蒸発缶における熱収支の計算演習 | |
7 | 化学工学の基礎に関するまとめ。 |
単位操作,単位系,物質収支,熱収支のまとめ | |
8 | 中間試験 |
前期前半の試験 | |
9 | 試験の解答,輸送,流動の物質収支輸送・流体の流れ,層流・乱流 |
流体の物質収支,水流連続の式の理解について。流体のレイノルズ数について。流体の流れ方,層流,乱流,中間域とレイノルズ数との関係について。 | |
10 | 流体のエネルギー収支・ベルヌイの式 |
ベルヌイの法則における,位置のエネルギー,運動のエネルギー,圧力のエネルギーの総和の一定について。水深x(m)からの水の飛び出し速度の計算式の導出,および演習。 | |
11 | 摩擦損失・ファニングの式・相当長・相当径 |
実在流体のベルヌイの式との乖離の原因について。ファニングの式による摩擦損失の計算。使用管の材質,管内径,レイノルズ数からの摩擦係数の求め方。直管以外の接続部品を直管とみなして相当長を求める。円管以外の相当径の概念の理解と算出について。 | |
12 | マノメータの原理,オリフィス板による流量の計算,ピトー管による流速の計算 |
マノメータによる差圧の測定,および,関係式について。ベルヌイの式からオリフィス板による流量計算の式の算出,ピトー管による流速計算の式の算出について。オリフィス板による流量計算およびピトー管による流速計算の演習について。 | |
13 | 輸送モデルの所要動力の計算1 |
流体の種類,輸送量,使用管内径,管長,配管内継ぎ手,高低差等による所要動力の計算の過程の理解と算出演習について。 | |
14 | 輸送モデルの所要動力の計算2 |
流体の種類,輸送量,使用管内径,管長,配管内継ぎ手,高低差等による所要動力の計算の過程の理解と算出演習について。 | |
15 | 輸送・流動についてのまとめ |
ベルヌイの式,ファンニングの式,所要動力の計算のまとめ | |
16 | 蒸留操作(気液平衡関係) |
気液平衡関係の表示法と理想溶液のラウール則を理解する。蒸留操作(気液平衡計算) | |
17 | 蒸留操作(気液平衡計算) |
理想溶液の気液平衡計算法の修得と非理想溶液の取扱いについて理解する。 | |
18 | 蒸留操作(単蒸留とフラッシュ蒸留) |
単蒸留とフラッシュ蒸留の物質収支の理解とその図解法について修得する。 | |
19 | 蒸留操作(連続蒸留とその原理) |
連続蒸留の原理と物質収支の理解および操作線の意味を学ぶ。 | |
20 | 蒸留操作(蒸留装置,段塔,充填塔) |
マッケーブシール法による階段作図で理論段数を求める手法の理解とその演習。還流比と理論段数の関係について理解する。 | |
21 | ガス吸収操作(気体の液体にたいする溶解度) |
気体の液体に対する溶解度の表示法と理想溶解度の意味やその限界について理解する。 | |
22 | ガス吸収操作(物質移動速度) |
異相系の物質移動モデルである二重境膜説の考え方の理解とそれを用いた移動速度の算出法の修得。 | |
23 | 中間試験 |
後期前半の試験 | |
24 | ガス吸収操作(段塔による連続ガス吸収) |
段塔を用いた理論段数の図解法による求め方の理解。 | |
25 | ガス吸収操作(充填塔による連続がス吸収) |
充填塔の高さをNTUとHTUを算出することで求める方法について理解する。 | |
26 | 液液抽出操作(液液平衡関係) |
3成分系の液液平衡関係の表示法の修得とその物理化学的意味について理解する。 | |
27 | 液液抽出操作(液液抽出装置) |
液液抽出装置の分類と特徴を理解する。またその操作法についても理解を深める。 | |
28 | 液液抽出操作(単抽出とその計算) |
ミキサーセトラー抽出装置での単抽出の物質収支とその図解法の理解とその演習。 | |
29 | 液液抽出操作(多回抽出とその計算) |
多回抽出の物質収支とその図解法の理解とその演習。 | |
30 | 液液抽出操作(向流多段抽出) |
向流多段抽出の物質収支とその図解法の理解とその演習。 | |
備 考 |
中間試験および定期試験を実施する。 |