【 2007 年度 授業概要】
科   目 流れ学 ( Hydraulics )
担当教員 林 公祐
対象学年等 機械システム工学専攻・2年・前期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A-4-2(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
複素ポテンシャルおよび等角写像による2次元非圧縮非粘性流れの解法を述べる。これらの解法を用いて非圧縮非粘性流れの解を得る能力を身に付けるために演習を行う。非粘性流体中を運動する物体に抗力が働かない問題,すなわちダランベールの背理を述べ,粘性を導入してナビエ‐ストークス方程式を導出する。単純な内部流れに対するナビエ‐ストークス方程式の解法を説明し,演習を通して粘性流体の流れを理解する。



1 【A-4-2】  非圧縮非粘性流れが速度ポテンシャルおよび流れ関数により表わされることを理解し,また複素関数を応用して種々の非圧縮非粘性流れを記述し,理解できる。
2 【A-4-2】  連続の式およびナビエ‐ストークス方程式を導出でき,その式を解いて基本的な粘性流れの解を得られる。
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1 2次元非圧縮非粘性流れについて,速度ポテンシャル・流れ関数・複素ポテンシャル・等角写像を理解し,これらを用いて基本的な流れを求めることができるかを,レポート,小テストおよび定期試験で評価する。
2 連続の式およびナビエ‐ストークス方程式を理解し,かつこれらを解いて内部流れに対する解を得ることができるかを,レポート,小テストおよび定期試験で評価する。
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成績は,試験80% レポート10% 小テスト10% として評価する。100点満点で60点以上を合格とする。
テキスト 「SI版流体力学(基礎と演習)」:中村克孝ほか(パワー社)
参考書 「流体力学」今井功(岩波書店)
「わかりたい人の流体工学(I)(II)」:深野徹(裳華房)
関連科目 本科M4DC,M5DCの「流体工学」
履修上の
注意事項
本科M4DC,M5DCの「流体工学」を受講しておくことが望ましい。

【授業計画( 流れ学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 流体に関する基礎事項の復習・確認(1)
本科流体工学で講義した内容を復習をする。密度,粘度などの基本用語の意味,連続の式,運動量の法則などの復習・確認を行う。
2 流体に関する基礎事項の復習・確認(2)
ベルヌーイの式の意味とその応用法,流体中の物体に働く抗力・揚力について復習する。
3 非圧縮非粘性流体の二次元流れ
非圧縮非粘性流体の二次元流れを表わす速度ポテンシャルおよび流れ関数について説明する。これら関数がラプラス方程式およびコーシー・リーマンの微分方程式を満足することを説明する。
4 2次元ポテンシャル流れ(1)
循環と渦度について述べる。速度ポテンシャル・流れ関数・循環により,種々の基本的な2次元ポテンシャル流れが表わされることを説明する。
5 2次元ポテンシャル流れ(2)
前回に引き続き,2次元ポテンシャル流れについて述べる。完全流体では一様流中に置かれた円柱に抗力が働かないこと,すなわちダランベールの背理を説明する。また,これまでの内容をまとめ,理解を深める。
6 複素ポテンシャル(1)
複素関数の基礎を復習した後,複素ポテンシャルを導入する。単純な流れを例に,複素ポテンシャルが表わす流れを説明する。
7 複素ポテンシャル(2)
引き続き複素ポテンシャルにより表わされるポテンシャル流れを説明する。複素ポテンシャル・複素速度・速度ポテンシャル・流れ関数の関係をまとめ,理解を深める。
8 等角写像
等角写像の概念およびその2次元ポテンシャル流れへの応用について述べる。ジューコフスキー変換により種々の翼形周りの流れが得られることを説明する。
9 非圧縮非粘性流れの理解度の確認
これまでに述べた非圧縮非粘性流体に関して確認試験を行い,理解度を評価する。
10 連続の式とオイラーの運動方程式
連続の式とオイラーの運動方程式,実質微分について述べ,ナビエ‐ストークス方程式導入の準備をする。
11 ナビエ‐ストークス方程式(1)
流体要素に働く粘性応力について説明する。オイラーの運動方程式に粘性応力を導入し,ナビエ‐ストークス方程式を導く。
12 ナビエ‐ストークス方程式(2)
ナビエ‐ストークス方程式を円柱座標系で書き下す。ハーゲン‐ポアズイユの流れを,ナビエ‐ストークス方程式を解いて求める。
13 ナビエ‐ストークス方程式(3)
これまでに述べた非圧縮粘性流体に関して確認試験を行い,理解度を評価する。
14 添字記法による基礎方程式の記述
流体の諸方程式を扱うのに有用な添字記法を導入し,連続の式およびナビエ‐ストークス方程式がどのように書かれるかを説明する。
15 エネルギーの式
熱力学の法則を復習した後,エネルギーの式について述べる。熱力学の法則とエネルギーの式が整合していることを理解する。


中間試験は実施しない。定期試験を実施する。