【 2007 年度 授業概要】
科   目 有機機能材料学 ( Organic Functional Material )
担当教員 田中 守,松井 哲治
対象学年等 応用化学専攻・1年・後期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A-4-1(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
前半では,感光性樹脂をはじめ光反応を使った機能材料について,分子軌道論の観点から考察する。後半では,高分子の電気特性(誘電性と導電性)を説明するとともに,その応用例などについて解説する。また分離用高分子材料についても概要を述べる。



1 【A-4-1】  ヤブロンスキーダイアグラムを使って,光反応を理解できること。
2 【A-4-1】  ウッドワード・ホフマン則で光環化,開環反応を理解できる。
3 【A-4-1】  各種感光性樹脂の反応機構を理解できる。
4 【A-4-1】  高分子の誘電性や導電性の原理を説明できる。特に導電性(導電性高分子を含む)についてはエネルギーバンド理論を使って説明できる。また応用例を知る。
5 【A-4-1】  分離用高分子材料などの新素材の概要とその応用例を理解できる。
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1 感光性樹脂の光反応や,増感剤の働きのメカニズムをヤブロンスキーダイアグラムを使って説明できるかを試験で評価する。
2 感光性樹脂やフォトクロミズムで利用されている,光環化,閉環反応の反応機構をウッドワード・ホフマン則から説明できるかを試験で評価する。
3 各種感光性樹脂の反応機構を説明できるかを試験で評価する。
4 高分子の誘電性や導電性の原理を説明できるか,特に導電性についてはエネルギーバンド理論を使って説明できるかを定期試験で評価する。
5 分離用高分子材料などの組成・構造や分離機能について理解できているか,応用例を知っているか定期試験やレポートで評価する。
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成績は,試験80% レポート20% として評価する。100点満点で60点以上を合格とする。
テキスト 「光機能化学」 市村国宏 (産業図書)
「コンパクト高分子化学」 宮下徳治 (三共出版)
参考書 「化学反応と電子の軌道」 福井謙一 (丸善)
「高分子材料最前線」 尾崎邦宏監修 (工業調査会)
関連科目 AC1高分子材料化学,C4高分子化学,C5機能性高分子
履修上の
注意事項
上記の教科も履修することが望ましい。

【授業計画( 有機機能材料学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 光化学の基礎
光化学の概要及び光機能材料の紹介
2 光エネルギーの吸収
フランクコンドン状態及び許容遷移と禁制遷移について説明する。
3 光による励起
ヤブロンスキーダイアグラムの理解及び光励起状態での化学反応について説明する。
4 励起状態での化学反応
光励起状態での物質の化学的性質や錯体形成反応について説明する。
5 エネルギー移動
光増感剤を介した分子の励起及び光電子移動による化学反応について説明する。
6 熱化学反応と光化学反応
ウッドワード・ホフマン反応について説明する。
7 一分子反応
光環化反応,ケトンの光解裂,ジアゾ,アジド化合物の光分解反応を説明する。
8 中間試験
授業内容について筆記試験を行う。
9 高分子材料の電気的特性としての誘電性
高分子材料の誘電性の原理を解説するとともに,その応用例について述べる。
10 高分子材料の電気的特性としての導電性
エネルギーバンドと分子軌道の関係について説明し,エネルギーバンド理論への導入とする。
11 エネルギーバンド理論と導電性
絶縁体・金属・半導体におけるエネルギーバンド理論を用いて導電性の違いを解説する。
12 ポリアセチレンにおける導電性
導電性高分子の代表としてポリアセチレン(PA)を取り上げ,その概要を説明するとともに,ソリトンやポーラロンを用いてその導電性を解説する。
13 導電性高分子とその応用
PAの応用例を説明するとともに,PA以外の導電性高分子についても紹介する。
14 分離機能用高分子(イオン交換樹脂)
分離用高分子材料としてイオン交換樹脂の種類と機能を,またそれ以外の機能性樹脂について解説する。
15 分離機能膜・気体用分離膜・気体分離膜
分離用機能膜(ミクロろ過膜,限外ろ過膜,逆浸透膜,透析膜)の仕組みとその応用例について解説する。気体用分離膜としての酸素富化膜の仕組みとその応用例について解説する。


中間試験および定期試験を実施する。