【 2006 年度 授業概要】
科   目 応用物理 ( Applied Physics )
担当教員 熊野 智之,小林 滋
対象学年等 機械工学科・4年D組・後期・必修・1単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A2(100%) (c),(d)1
授業の概要
と方針
原子核の性質や核反応についての現象を把握し,核変換に伴って得られるエネルギーと放射線(原子力)を制御された状態で利用する技術や,核エネルギー利用の基本的な事柄を理解させる。



1 【A2】  原子,分子の概念が理解でき,Bohrの仮説と実際のスペクトルの関係が理解できる。
2 【A2】  量子力学の基本的な事柄が理解できる。
3 【A2】  核の崩壊の法則が理解できる。
4 【A2】  放射線と物質との相互作用(特にコンプトン散乱)が理解できる。
5 【A2】  核反応,核分裂,核融合の概念が理解できる。
6 【A2】  原子炉の構成や中性子のサイクル,原子力推進について理解する。
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1 原子,分子,原子核の構成やエネルギー状態,Bohrの仮説の意味と元素の発するスペクトルとの関係などについて理解できているかを中間試験および課題で評価する。
2 不確定性の原理やシュレディンガーの方程式の成り立ちを理解しているかを中間試験および課題で評価する。
3 原子核の崩壊の法則について二段階の崩壊まで理解しているかを中間試験および課題で評価する。
4 α,β,γ各放射線と物質との相互作用について電離作用などとの関係を理解しているか,また,コンプトン散乱についての式の導出ができるか定期試験および課題で評価する。
5 種々の核反応,核分裂,核融合の起こる状況を理解しているか定期試験および課題で評価する。
6 原子炉の構成や中性子の増倍係数,減速材と中性子の衝突回数などの式を理解しているか,原子力推進についての知識を習得しているかを定期試験および課題で評価する。
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.
テキスト 「高専の応用物理」:小暮陽三編(森北出版)
プリント
参考書 「物理学(三訂版)」小出昭一郎(裳華房)
関連科目 3年応用物理,専攻科レーザー工学
履修上の
注意事項
3年の応用物理をよく理解し,履修すること。

【授業計画( 応用物理 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 原子と分子
X線回折は原子・分子の存在を明らかにする。原子の大きさや質量について述べる。
2 原子構造(〜Bohrの仮説)
原子模型の歴史的発展を考察し,Bohrの仮説を検証する。また,元素の発するスペクトルとの関係についても説明する。
3 量子力学の基礎
物質波の概念,不確定性の原理,シュレディンガーの波動方程式について述べる。
4 原子核の構造
原子核を構成する核子についてその核力の性質について説明する。
5 原子核の質量(ワイゼッカーの式)
核子あたりの結合エネルギーについて述べ,そのエネルギーがどのような要素からなっているかを考え,ワイゼッカーの式を導出する。
6 原子核の崩壊
原子核の崩壊の法則を導き,二段階の崩壊についても考察する。
7 放射線と物質との相互作用
α,β,γ各放射線の特徴と物質との相互作用を説明する。特にγ線のコンプトン散乱について詳細に述べる。
8 中間試験
中間試験までの授業の内容を中心に出題する。
9 中間試験回答,原子核反応
原子核反応の種々の型(複合核の崩壊)について説明する。
10 核分裂,核融合
核分裂,核融合がなぜ起きるかを結合エネルギーから説明し,その際に放出されるエネルギーについて述べる。
11 原子力の応用
原子炉として熱エネルギー,中性子の利用,アイソトープ利用などの平和利用について述べる。
12 原子炉の構成
原子炉を構成する核燃料,減速材,制御材,遮蔽材,構造材などについて述べる。
13 系が無限大のときの増倍係数
中性子のサイクルで,系が無限大のときの増倍係数を求める。また,実行増倍係数を求め,臨界条件について述べる。
14 速中性子の減速
重心系により速中性子の減速を考え,減速材への衝突回数を計算する。
15 原子力推進
原子力船をはじめとする原子力推進の可能性を述べる。


中間試験および定期試験を実施する.