科 目 | 応用数学I ( Applied Mathematics I ) | |||
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担当教員 | 小林 滋 | |||
対象学年等 | 機械工学科・4年C組・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
A1(100%) | (c),(d)1 | |||
授業の概要 と方針 |
科学技術分野で応用する場合の基礎に用いる複素関数として正則関数や複素積分,ラプラス変換,フーリエ級数の基礎を学ばせる。 | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A1】 複素数や複素関数について,その表記法,加減乗除,n乗根,分数関数や指数関数等の基本関数を理解,演算ができ,複素数を複素平面上に表すことができる。 | 2 | 【A1】 複素関数の極限,正則関数の判別法やその微分法,また媒介変数法やコーシーの積分定理および積分表示の定理を用いた複素積分計算ができる。 | 3 | 【A1】 複素数の数列,級数や複素関数のテイラー展開やローラン展開等の展開や,留数や留数定理を用いた積分計算ができる。 | 4 | 【A1】 ラプラス変換の基本を理解し,たたみ込みを含む基本的な関数のラプラス変換,逆ラプラス変換ができる。また応用して常微分方程式を解ける。 | 5 | 【A1】 フーリエ級数について,周期関数を級数に展開できるとともに,その級数の収束値を求めることができる。 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 複素数や複素関数について理解しているか,また複素数を複素平面上に表すことができるか,複素関数の極限や微分が理解できているか中間試験で評価する。 | |
2 | 媒介変数法やコーシーの積分定理および積分表示の定理を用いた複素積分の演算ができるか,また複素数の数列,級数を理解しているか定期試験で評価する。 | |||
3 | 複素関数のテイラー展開やローラン展開等の展開や,留数や留数定理を用いた積分等を理解し,演算ができるか中間試験で評価する。 | |||
4 | 基本的な関数のラプラス変換,逆ラプラス変換ができるか,また,これらを常微分方程式や積分方程式の解法に用い解けるか中間試験と期末試験にまたがり評価する。 | |||
5 | フーリエ級数について,周期2πの周期関数を級数に展開できるとともに,その級数の収束値を求めることができるか定期試験にて評価する。 | |||
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総 合 評 価 |
成績は,試験90% レポート10% として評価する. | |||
テキスト | 「応用数学」:田河 生長ほか著(大日本図書) |
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参考書 | 「詳解 関数論演習」:小松勇作他著(共立出版) |
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関連科目 | 数学1,数学2,自動制御,振動工学,システム工学等,シミュレーション工学 | |||
履修上の 注意事項 |
本教科は3年生までの数学1,数学2を基礎とした発展科目である。また本科の専門教科で受講する自動制御や振動工学,システム工学等や,専攻科1年でのシミュレーション工学等多くの科目で使用する数学の基礎科目である。 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 複素数と複素平面 |
複素数の構成,複素平面,複素数の絶対値と偏角,複素数の極形式表示を理解する。 | |
2 | 複素数の四則演算とn乗根 |
複素数の四則演算について,複素平面上の性質も含め理解,計算できるようにする。またn乗根を計算する。 | |
3 | 複素関数とその性質 |
一次分数関数を主として取り上げ,複素関数の定義域のとりうる範囲を理解すると共に,定義域のある図形が関数により,どのような図形になるか算出する。 | |
4 | 複素関数の極限値と導関数 |
複素関数の極限値の考え方を理解すると共に極限値を計算する。また陽に複素変数が表される複素関数の導関数の算出法を理解し,計算する。 | |
5 | 正則関数 |
領域や微分可能の定義について理解し,コーシーリーマンの関係式から正則であるか判定を行うと共に,導関数を計算する。 | |
6 | 指数関数と三角関数 |
複素関数としての指数関数および三角関数について,その性質や計算法を理解する。 | |
7 | 調和関数と正則関数による写像 |
ラプラスの微分方程式や調和関数について理解する。また正則関数の等角性を用いて定義域の図形が関数によりどのような図形に変換されるか算出する。 | |
8 | 中間試験 |
1回目から7回目の授業内容から出題する。 | |
9 | 複素積分 |
複素数の積分における積分路について理解する。また複素数の媒介変数を用いた表現を用いることにより複素積分を計算する。 | |
10 | 複素積分の性質 |
複素積分を行うときに用いることができる法則を学習する。複素数の不定積分を理解し計算する。 | |
11 | コーシーの積分定理 |
コーシーの積分定理を理解し,この定理を用いて複素積分を計算する。 | |
12 | コーシーの積分定理の応用 |
前週の内容を応用,発展させることで,より複雑な複素積分が解けることを学習する。13 | |
13 | コーシーの積分表示 |
コーシーの積分表示を理解し,この定理を用いて複素積分を計算する。 | |
14 | 複素数の数列 |
複素数数列の極限値の性質や収束,発散の判定法を学習し,また収束時はその極限値を算出する。 | |
15 | 級数と収束半径 |
前週の発展として,複素数の数列をたし合わせた無限級数について,その発散,収束の判定法を学習すると共に収束時はその極限値を算出する。また,べき級数と収束半径について学習する。 | |
16 | テイラー展開 |
複素関数について,どの領域においてテイラー展開可能かを判定,またその収束半径を求めると共に,テイラー展開を計算する。 | |
17 | ローラン展開 |
複素関数について,どの領域においてテイラー展開できずローラン展開しなければならないかを判定,またその領域を求めると共に,展開を計算する。 | |
18 | 孤立特異点と留数 |
ローラン展開の孤立特異点の係数から発展させ,極の位数の見分け方を学習すると共に,留数の計算を行う。 | |
19 | 留数定理と実積分 |
複素積分を留数定理を用いて算出する方法を学習すると共に,発展させて,実数を積分定数とするある種の定積分の値を求めることができることを学習する。 | |
20 | ラプラス変換の定義と例 |
ラプラス変換の基本として,その演算内容と物理的意味について概説すると共に,その定義式からf(t)=1,f(t)=t等についてラプラス変換を算出する。 | |
21 | ラプラス変換の性質 |
ラプラス変換の線形成,相似性,像関数の移動法則,原関数の移動法則,原関数の微分・積分法則,像関数の微分法則等について例を交えながら説明する。 | |
22 | 基本関数のラプラス変換 |
前週に引き続き,基本的なラプラス変換を導きだし,一般的な基本関数が変換できるようにする。 | |
23 | 中間試験 |
後期の中間試験までに授業した内容を中心に出題する。 | |
24 | たたみこみとラプラス変換 |
合成積についてその定義式や性質,またたたみこみのラプラス変換の性質について学習する。 | |
25 | 原関数と像関数の対応と逆ラプラス変換 |
原関数と像関数の1対1になる関係をもちいてラプラス変換と逆ラプラス変換との関係を明らかにすると共に逆ラプラス変換の計算を行う。 | |
26 | ラプラス変換の常微分方程式への応用 |
常微分方程式をラプラス変換と逆ラプラス変換を用いて解く方法を学習する。初期値や境界条件がいろいろな場合についての解法も学習する。 | |
27 | 周期関数のラプラス変換 |
周期性を持つラプラス変換について,その解法を学習する。 | |
28 | フーリエ級数の定義と例 |
周期2πの周期関数をフーリエ級数に変換する方法を学習する。また奇関数や偶関数のフーリエ変換についても学び,級数を算出する。 | |
29 | フーリエ級数の収束 |
連続関数や不連続関数のフーリエ級数がそれぞれどのような値に収束するか学習する。 | |
30 | 一般周期関数からフーリエ変換へ |
周期2πの周期関数のフーリエ級数から,一般的な周期,複素形のもの,周期性を持たないものへと,フーリエ級数を一般化して発展させるか,またラプラス変換との関係を概説する。 | |
備 考 |
中間試験および定期試験を実施する. |