科 目 | 放電現象 ( Phenomena of Electric Discharge ) | |||
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担当教員 | 北村 洋 | |||
対象学年等 | 電気工学科・4年・後期・選択・1単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
A4-1(100%) | (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g) | |||
授業の概要 と方針 |
通常,すべての物質は気体,液体および固体の状態になっており,電気的には導体と不導体に分けられる。しかし,絶縁物といわれているものでも,高電界が加えられると電流が流れるようになる。このように高電界を加えると現れる物理現象,すなわち光と音を伴う放電現象が代表的なものである。まず,気体の放電現象を理解し,さらに液体や固体も気体と同様の放電現象が生じることを理解することを目的とする。 | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-1】 気体中の荷電粒子の発生と消失の機構が理解できる。 | 2 | 【A4-1】 気体の部分破壊および絶縁破壊現象が理解できる。 | 3 | 【A4-1】 電界,電極の形状などが放電現象に及ぼす影響を理解できる。 | 4 | 【A4-1】 液体の絶縁破壊現象について理解できる。 | 5 | 【A4-1】 固体の絶縁破壊現象について理解できる。 | 6 | 【A4-1】 複合絶縁体の絶縁破壊現象が理解できる。 | 7 | 【A4-1】 雷現象発生の種々の機構が理解できる。 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | α作用,γ作用および拡散,再結合および電子付着などの機構が理解できているかどうかを試験等で評価する。 | |
2 | 部分放電,火花放電および全路破壊現象が理解できているかを試験等で評価する。 | |||
3 | 電界の違いや電極形状の違いが放電現象にどのような影響を与えるかを理解できているかを試験等で評価する。 | |||
4 | 液体中においても,気体中と同様に放電現象が発生するが,その機構について理解できているかを試験等で評価する。 | |||
5 | 固体内部で発生する放電現象について理解できているかを試験等で評価する。 | |||
6 | 複合絶縁体の各部分の電界分布やその境界で発生する放電現象について理解できているかを試験等で評価する。 | |||
7 | 自然界に発生する放電現象としての雷現象について,雷雲の発生過程および雷雲内での電荷生成機構,分離機構について理解できているかを試験等で評価する。 | |||
8 | ||||
9 | ||||
10 | ||||
総 合 評 価 |
成績は,試験90% レポート10% として評価する.到達目標1〜7の試験成績を90%および適宜,出題したテーマに対するレポートの内容について10%で評価する。 | |||
テキスト | プリント 板書 |
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参考書 | 新版 高電圧工学:河野 照哉 著(朝倉書店) 基礎 高電圧工学:赤崎 正則 著(昭晃堂) |
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関連科目 | 電磁気学,高電圧工学,静電気応用工学,プラズマ工学 | |||
履修上の 注意事項 |
基礎的には,電磁気学の電界,誘電体の性質および荷電粒子の働きを理解している必要がある。さらに,高電圧工学,静電気応用工学,プラズマ工学に関連していくので,基本的な知識を養っておく必要がある。 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 荷電粒子の発生機構 |
電子の衝突電離現象(α作用)およびイオン等の2次電子生成作用(γ作用)による荷電粒子発生機構について説明する。 | |
2 | 荷電粒子の消失機構 |
発生した荷電粒子が拡散,再結合および電子付着によって消失していく機構について説明する。 | |
3 | タウンゼント理論,パッシェンの法則 |
気体の絶縁破壊の機構を最初に理論的に解明したのは,イギリスのタウンゼントである。彼は低気圧気体中の平等電界での電流の式を導いた。このタウンゼントの式の分母をゼロとおく条件から,火花電圧に関するパッシェンの法則が導かれる。 | |
4 | ストリーマ理論 |
線状の放電が発生するようになると,タウンゼント理論が適用できなくなる。この欠点を是正したものがストリーマ理論である。その中で代表的なミークの理論について説明する。 | |
5 | コロナ放電 |
正負コロナ放電の発生過程,発生機構および性質について説明する。 | |
6 | 各種電極間での放電特性1 |
平行平板電極に代表される,平等電界下での放電特性について説明する。 | |
7 | 各種電極間での放電特性2 |
針ー平板電極に代表される不平等電界下での放電特性について説明する。 | |
8 | 中間試験 |
項目1〜7までの内容についての試験を行う。 | |
9 | 中間試験の解答および解説 |
実施した中間試験の解答および解説を行い,注意すべき点等を指摘する。 | |
10 | 固体絶縁物の絶縁破壊 |
固体絶縁物の絶縁破壊現象は複雑で破壊機構も試料の微視的および巨視的構造によって異なる。いくつかの基本的な破壊機構について説明する。 | |
11 | 液体絶縁物の絶縁破壊 |
液体絶縁物の絶縁耐力は一般に気体と固体の中間にある。純粋な液体の破壊電圧は固体に近いが,不純物の混入や実験条件で大幅に変化することについて説明する。 | |
12 | 複合絶縁体の絶縁破壊 |
電気機器の絶縁は単一の物質である場合はまれで,気体,液体または固体の組み合わせで構成されることが多い。これらの組み合わせと絶縁破壊現象について説明する。 | |
13 | 沿面放電 |
2層誘電体の境界面に発生する放電現象および放電電荷図形,リヒテンベルク図形について説明する。 | |
14 | 雷放電1 |
雷雲の発生する気象学的機構および雷雲内での電荷の分離機構について説明する。 | |
15 | 雷放電2 |
雲内放電,雲間放電および対地放電(雷放電)のそれぞれの放電過程について説明する。 | |
備 考 |
中間試験および定期試験を実施する.中間試験を実施する。定期試験を実施する。 |