【 2006 年度 授業概要】
科   目 固体デバイス工学 ( Solid-state Devices )
担当教員 西 敬生
対象学年等 電子工学科・5年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-2(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
半導体固有の物性や,半導体集積回路の原理,製造方法,DRAM等への応用を通し,その機能性を理解することを目指す。集積回路が先端技術の粋の集積であることを知るとともに,いかなる経過でそれらの高度技術が実現されたのかを紹介する。また新聞等の切り抜きをスクラップし最新技術に関する興味を増進させることを目指す。



1 【A4-2】  現在の半導体産業を取り巻く状況について,紹介できる。
2 【A4-2】  モノリシックICの構造や製造方法を簡単に紹介できる。
3 【A4-2】  モノリシックICの製造技術に関して簡単に紹介できる。
4 【A4-2】  IC上で受動素子やダイオード,トランジスタなどをどのように実現するか簡単に説明できる。
5 【A4-2】  インバータやNAND,NORなどをMOSFETを用いて表現できる。
6 【A4-2】  DRAMを中心とした半導体メモリやデバイスの原理を紹介できる。
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1 半導体企業の名前や売り上げランキングなどに関して授業中の小テストや前期中間試験で問う。
2 モノリシックICの構造や製造方法に関する問題を前期中間試験において出すことで評価する。
3 ウェーハ,酸化,リソグラフィ,拡散などの製造技術に関して前期定期試験で説明させることで評価する。
4 IC上で受動素子やダイオード,トランジスタなどをどのように実現するか,授業中の小テストやレポート,前期定期試験および後期中間試験でそれぞれに関する問題を出し,評価する。
5 授業中の小テストや後期定期試験において真理値表や論理記号から,MOSFETを使って種々の論理回路を表現させる問題を出すことで評価する。
6 種々のデバイスに関する動作原理をレポートや後期定期試験において構造や用いられる技術に関して問い,評価する。
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成績は,試験90% レポート5% 小テスト5% として評価する.授業中の小テストが時間の関係で行えない場合,レポートを提出してもらう。
テキスト 「改訂 集積回路工学(1)」:柳井久義,永田穣(コロナ社)
参考書 「演習 集積回路工学」:永田穣,川邊潮(コロナ社)
「半導体・ICのすべて」:菊地正典,高山洋一郎,鈴木俊一(電波新聞社)
「集積回路設計の基礎」:佐野芳昭,中野富男,水戸野克治(森北出版)
関連科目 半導体工学(4年),応用物理(4年),電気材料(4年)
履修上の
注意事項
 

【授業計画( 固体デバイス工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンス,半導体業界について
この授業の1年間の内容を説明するとともに,半導体業界に関して最新のランキングなどを示しながら紹介する。
2 半導体業界について
前回の続きでこの業界の現状,日本企業の立場などについて述べる。
3 集積回路の歴史と本質,生まれる必然性
今回から半導体モノリシック集積回路に関する技術や理論が授業内容となる。まず集積回路が生まれた経緯や必然性など,歴史や本質について解説する。
4 モノリシックICの構造
一つの石を意味するモノリシック。モノリシックICとは一つの石の上に回路が集積されているという意味である。このICの構造概要について,バイポーラトランジスタやMOSトランジスタの場合を例に挙げ,解説する。
5 モノリシックICの製造方法概要,バイポーラICプロセス
ウェーハと呼ばれる単結晶基板から前工程の処理が行われてICのチップができあがる。この工程概要を説明するとともに,pn接合分離型を採用するバイポーラICの構造やプロセス概要について説明する。
6 モノリシックICの製造方法概要,MOSICプロセス
MOSICに関する構造やプロセス概要を説明する。特に,バイポーラICとの比較を行い,マスク枚数などについて検証する。
7 アイソレーションとプレーナ構造
ICの中で使われる回路素子は一つの石上で形成されるため,抵抗やコンデンサなどは個別部品の特性と異なる。まずはこのIC上に素子を形成するプレーナ技術と,素子同士を分離するためのアイソレーションについて説明する。
8 中間試験
集積回路の歴史や現在の状況に関する問題と,モノリシックICの製造プロセスに関する問題を出す。
9 試験解答,モノリシックICの製造技術I
試験解答の解説。モノリシックICの基板材料であるSi単結晶ウェーハの製造技術について解説する。
10 モノリシックICの製造技術II
ウェーハ上に形成する酸化膜の製造技術に関して解説を行う。
11 モノリシックICの製造技術III
ホトリソグラフィ技術に関して解説する。レジスト加工技術や精度に関して言及する。
12 モノリシックICの製造技術IV
熱拡散とイオン打ち込み技術に関して解説する。
13 モノリシックICの製造技術V
これまでの製造技術に関してまとめるとともにその他のIC製造技術に関して解説する。
14 モノリシックICの構成素子:抵抗I
モノリシック抵抗に関して,構造と特性や精度に関して解説する。
15 モノリシックICの構成素子:抵抗II
前回に引き続いてモノリシック抵抗に関して解説する。
16 試験解答,モノリシックMOS
試験解答の解説。モノリシックICのMOSトランジスタの構造と特性について解説する。
17 MOSトランジスタのパターン設計とホトマスクI
MOSトランジスタのパターン設計とホトマスクや,自己整合構造などに関して解説する。
18 MOSトランジスタのパターン設計とホトマスクII
前回の続きでホトマスクを見てトランジスタのどの部分が形成されるのかを判別できるように構造図とホトマスクから構造フローを読みとる。
19 バイポーラトランジスタの設計I
バイポーラトランジスタの設計に関して不純物濃度分布などから解説していく。
20 バイポーラトランジスタの設計II
前回の続きでマスクパターンなどから製造工程を追っていく。
21 モノリシックダイオード
IC上ではバイポーラトランジスタを利用してダイオードを実現している。このことについていくつかのパターンを示しながら解説していく。
22 論理回路の実現I
トランジスタを用いた論理回路の実現方法を,演習をしながら解説していく。
23 中間試験
トランジスタのパターン設計に関する問題やトランジスタを用いた論理回路の実現に関する問題を出す。
24 試験解答,論理回路の実現II
試験解答の解説を行う。また前々回にふれられなかった,TTL基本回路について解説する。
25 論理回路の実現III
前回からの続きでTTLやその他の論理回路を実現する基本回路について解説する。
26 メモリの分類,SRAM
半導体メモリに関する位置づけとSRAMの動作原理について解説する。
27 SRAM,不揮発性メモリ
前回の続きでSRAMについて解説するとともに種々の不揮発性メモリの動作原理に関して,解説する。
28 不揮発性メモリ
前回の続きで不揮発性メモリに関して解説を行う。最新の話題なども取り扱う。
29 ダイナミックメモリI
代表的なICであるDRAMについてメモリセル構造の歴史や動作原理について解説する。
30 ダイナミックメモリII
前回の続きでDRAMの製造方法や特性に関して述べる。


中間試験および定期試験を実施する.