【 2006 年度 授業概要】
科   目 電気磁気学特論 ( Advanced Electromagnetism )
担当教員 正木 智洋
対象学年等 電子工学科・5年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-1(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
電磁気学は目新しい数学的概念が現れることもあり苦手とする学生が多い。しかし,ここで用いる数学的手法は少し慣れればそう難しいものではない。また,簡単な計算ですませるためには,物理的状況を的確に把握し,どのように基本法則をあてはめて考えていくべきかを見きわめることが重要である。本授業ではその辺に重点を置き,登場する法則・式については必ず物理的理解が出来るように進めていく。毎授業,演習は必ず行う。



1 【A4-1】  静電場・静磁場における基本法則を理解し,問題に応じてそれらを適用できる。
2 【A4-1】  時間変化する電場・磁場における基本法則を理解し,問題に応じてそれらを適用できる。
3 【A4-1】  一般的なMaxwell方程式を書くことができ,各式の物理的意味を説明することができる。
4 【A4-1】  電磁ポテンシャルを導入してMaxwell方程式を変形することができる。
5 【A4-1】  電磁波の性質について理解し,説明することができる。
6 【A4-1】  ローレンツ変換について理解し,問題に応じてそれを適用できる。
7 【A4-1】  自分の考えを式以外に言葉でもきちんと説明できる。
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1 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
2 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
3 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
4 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
5 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
6 適宜出すレポート(全4回)と中間・定期試験(全4回)で評価する。
7 各個人のレポート(全4回)の解答を見て評価する。
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.なお,試験は4回の試験(前期中間,前期定期,後期中間,後期定期)の平均点で評価する。レポートは指示した問題を解いて提出したもの(全4回)を評価します。
テキスト 「電磁気学の考え方 物理の考え方2」;砂川重信(岩波書店)
参考書 「電磁気学演習 物理テキストシリーズ5」:砂川重信(岩波書店)
「相対性理論の考え方 物理の考え方5」:砂川重信(岩波書店)
関連科目 D3「電気磁気学」,D4「応用数学」
履修上の
注意事項
分からないことは気軽に質問して欲しい。復習をするように心がけること。

【授業計画( 電気磁気学特論 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電磁気学とはどんな学問か
電場・磁場の考え方について説明を行い,場の概念について触れる。また場の考え方において万有引力に代表される遠隔作用の力と近接作用としてクーロン力との違いを解説する。
2 近接作用と静電場1(静電場)
点電荷の作る静電場について考察する。
3 近接作用と静電場2(ガウスの法則)
ある電荷が作る静電場とその電荷の関係を積分・微分型のガウスの法則で表せることを説明する。電荷が空間的対称性を持つときの電場をガウスの法則を用いて求める。
4 近接作用と静電場3(静電ポテンシャル)
クーロン力は保存力の一種であることから,力のポテンシャル(静電ポテンシャル)が存在することを説明する。また電場と静電ポテンシャルの関係を理解する。
5 近接作用と静電場4(ポアッソンの方程式)
静電場と静電ポテンシャルの関係式,微分型のガウスの法則から得られる方程式について説明する。また電気双極子の作る静電ポテンシャル,静電場について考察する。
6 近接作用と静電場5(静電場のエネルギー)
コンデンサーとそれに蓄えられるエネルギー(静電エネルギー)について解説し,コンデンサー以外での系での静電場のエネルギーについて考察する。
7 定常電流(定常電流,オームの法則)
積分・微分型の定常電流の保存則,オームの法則について説明する。
8 中間試験
第1〜7週までの範囲の内容についての理解度を測るための試験を行う。
9 中間試験の解答・解説
中間試験の解答・解説を行い,理解度の低い単元については別問題で解説を行う。
10 静磁場1(磁場に関するガウスの法則)
磁場の源,電流による磁場について説明する。また磁場に対するガウスの法則について考察する。
11 静磁場2(積分・微分型のアンペールの法則)
静磁場を決定する基本法則であるアンペールの法則について説明する。
12 静磁場3(ビオ・サバールの法則)
磁場に関するガウス,アンペールの法則より,ビオ・サバールの法則を導出する。
13 電流にはたらく磁場の力1(アンペールの力)
一様な静磁場とその中を流れる電流との間に働く力(アンペールの力)について説明する。
14 電流にはたらく磁場の力2(ローレンツの力)
電場,磁場ないにある荷電粒子にはたらく力(ローレンツ力)について説明する。また一様な静磁場内での荷電粒子の円運動について考察する。
15 演習(第1〜14週の復習)
第1〜14週までの範囲の内容について復習として演習を行う。
16 電流にはたらく磁場の力3(磁化に作用する力)
磁気双極子・閉電流(円形電流)との関係,磁化間の力について説明する。
17 時間的に変動する電場と磁場1(電荷保存則,変位電流)
定常・変位電流である時の電荷の時間変化について,また同じ状況でのガウス,アンペールの法則についてそれぞれ考察する。
18 時間的に変動する電場と磁場2(ファラデーの電磁誘導の法則)
コイルの近くの磁場が時間変化する時のコイルに起こる現象,一様磁場内をコイル(導体)が移動する時に起こる現象について説明する。
19 電磁気学の基本法則1(マクスウェル方程式)
静磁場・静電場の際に得られる式と磁場・電場ともに時間変化する際に得られる式との違いを復習を兼ねてまとめ,そこから一般的な基本法則であるマクスウェル方程式の考察を行う。また電磁場と電磁波について説明する。
20 電磁気学の基本法則2(エネルギー保存則)
マクスウェル方程式で記述される電磁場と,荷電粒子とから構成されている体系のエネルギー保存則について考察する。
21 電磁気学の基本法則2(エネルギー保存則)
電磁ポテンシャルを導入することによってマクスウェル方程式が違う表現で表される事を説明する。
22 電磁波1(自由空間内の電磁波の波動方程式,電磁波)
自由空間内でのマクスウェル方程式から電場・磁場に関する波動方程式を求める。またその解から,電磁波の性質について説明する。
23 中間試験
第16〜22週までの範囲の内容についての理解度を測るための試験を行う。
24 中間試験の解答・解説
中間試験の解答・解説を行い,理解度の低い単元については別問題で解説を行う。
25 電磁波の放射1(遅延ポテンシャル,電気双極子近似)
電磁波の放射について考察する。
26 電磁波の放射2(荷電粒子の放射する電磁波)
荷電粒子から放射される電磁波について考察する。
27 特殊相対論1(相対性原理,Lorentz変換)
特殊相対性理論は電磁気学と密接な関係がある。後の授業のために,ここでは特殊相対論における時間と空間について解説する。
28 特殊相対論2(電流・電荷密度の変換性)
ローレンツ変換の下での電荷量の不変性,電荷保存則の共変性について示す。
29 特殊相対論3(Maxwell方程式の共変性)
ローレンツ変換によるマクスウェル方程式の共変性を具体的に示す。
30 演習(1年間の復習)
電気磁気学特論の1年間の総復習として演習を行う。


中間試験および定期試験を実施する.