【 2006 年度 授業概要】
科   目 電子工学実験実習 ( Laboratory Work in Electronic Engineering )
担当教員 若林 茂,笠井 正三郎
対象学年等 電子工学科・1年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
前期:電子工学で必要となる基本的な測定器についてその取り扱い方を中心に講義と実際に使用しながら学ぶ。また,実験報告書の書き方についてもその意義を説明し,図,表などの書き方を身につける。実験は2人1組で行い皆が測定器の操作方法を身に付ける。後期:電気工学の基礎となる実験と情報基礎の延長となるテーマについて,実験実習を行う。報告書は書き方を身につけるとともに提出期限を守ることの大切さを理解させる。



1 テスターで何がどのように測定できるのか理解し,その使い方を習得する。
2 テスターとマルチメータの違いを理解する。
3 ファンクションジェネレータおよびオシロスコープの使い方を理解する。
4 実験レポートの構成を理解し,書き方を習得する。
5 期限内に実験報告書が提出できる。
6 テスタ回路の原理を理解し,分圧器,分流器の設計ができる。
7 テスタによる測定値とその測定誤差について理解する。
8 ワープロソフト(Word)を使って,表・図入りの文書を作成することができる。
9 表計算ソフト(EXCEL)を使って,データを処理しグラフを作成することができる。
10 文書整形ソフト(LaTeX)を使って,実験実習のレポートを作成することができる。












1 テスターでどのような電気量が測定できるか,またその方法が説明できるか前期中間試験で評価する。
2 テスターとマルチメータの違いについて,前期中間試験で評価する。
3 ファンクションジェネレータおよびオシロスコープの使い方を前期定期試験で評価する。
4 レポートの書き方が理解でき,実際に作成できているか,後期の実験実習のレポートで評価する。
5 期限内に実験報告書が提出できたか,後期実験実習の報告書提出状態により評価する。
6 テスタ回路の原理を理解し,分圧器,分流器の設計ができるかどうか,作品から評価する。
7 テスタによる測定値とその測定誤差について理解したかどうか,報告書の内容より評価する。
8 実験実習態度,および,報告書の内容により評価する。
9 実験実習態度,および,報告書の内容により評価する。
10 実験実習態度,および,報告書の内容により評価する。




成績は,試験20% レポート30% 課題10% 実験実習態度および達成度40% として評価する.前期は,試験成績40%,実験実習態度30%,課題20%,レポート提出10%で評価する。後期は,実験実習当日の達成度50%,レポートの内容50%で評価する。総合評価は,前期と後期の平均とする。ただし,未提出レポートがある場合,レポートの提出遅れが全提出回数の1/3を超える場合には,総合評価は原則として不可となる。
テキスト 「絵ときでわかる電気電子計測」:熊谷文宏著 (オーム社)
「知的な科学・技術文章の書き方」:中島利勝,塚本真也共著 (コロナ社)
「入門情報リテラシー[Windows版]」:高橋・松永・若林・黒田共著 (コロナ社)
参考書 「電子工学科 安全の手引き」:神戸高専電子工学科編
「よくわかる電子基礎」:秋富,菅原共著(東京電機大学出版局)(電子工学序論の教科書)
「基礎テキスト 電気・電子計測」:三好正二著(東京電機大学出版局)
「改訂新版 テスタとディジタル・マルチメータの使い方」金沢敏保・藤原章雄共著(CQ出版社)
関連科目 電子工学序論,情報基礎
履修上の
注意事項
実験実習では,いろいろな測定器,工具を使用するので,必要に応じて「電子工学科安全の手引き」を見ること。 実験実習では,電子工学序論で習ったことを実際に実験で確認したり,情報基礎で習ったこととも関連しているので,両科目との関連性も意識すること。

【授業計画( 電子工学実験実習 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電子工学実験実習の概要
電子工学という分野で何を学習するか。身近に存在する電気機器,電子機器について知る。電子工学実験実習で学ぶこと,この教科の役割について知る。また,機器の取り扱い,実際の作業などで気をつけないといけないことについて,「安全の手引き」を用いて説明する。
2 簡単な測定器(テスター)とその取り扱い
まず最初に扱う測定器としてテスターを取り上げ,前半にはテスターでの電圧,抵抗の測定方法について講義し,後半には実際にテスターを用いて電池,直流安定化電源の電圧および抵抗器の抵抗値測定を行う。その際,抵抗のカラーコードによる抵抗値の読み方についても学習する。
3 テスターによるダイオードのチェック,コンデンサの容量測定
一定方向にしか電流を流さないダイオードについて素子としての機能を説明し,その機能をテスターで確認する方法について講義を行い,実験で確認を行う。また,テスターでのコンデンサの容量測定方法について学び,実際に測定を行う。
4 テスター,ディジタルマルチメータによる抵抗測定(許容差,ばらつき)
抵抗は種類により,許容差の異なるものがある(±5%,±1%)。許容差の異なる素子をそれぞれ複数個測定し,ばらつき具合を調べ,許容差との関係を知る。また,測定器にも測定精度が異なるものがあり,テスターとテスターより精度のよいマルチメータを用いて,測定器の精度による違いについても知る。
5 電卓による測定値の特性計算(公称値と実測値の関係など)
前回測定したデータをもとに,許容差の違い,測定器の違いなどによる差を統計的(ばらつき具合は分散という量で知ることが出来る)に調べる。
6 直流回路の実験に必要となる測定器(直流電源,ブレッドボードなど)
これまでは素子単体を測定したが,今回からは電気回路を構成して,回路中の電気特性を測定することを考える。今回はまず直流回路を構成するための直流電源,回路を組むためのブレッドボード,回路中の電流,素子両端の電圧測定などについて学ぶ。
7 直流回路の電圧電流特性測定(測定と測定値のグラフ化)
前回の実験に引き続き,今回は回路中の直流電源の電圧を変化させ,回路を流れる電流と素子の両端に発生する電圧の関係を測定し,測定データをグラフにまとめ,オームの法則より直流回路中の抵抗値を求める。
8 中間試験
1週目から7週目までに習ったこと,実験を行ったことについて,理解できているか確認の筆記試験を行う。
9 中間試験の解答とこれまでの復習
中間試験の解答を行い,これまでの復習,注意点の確認を行う。
10 交流回路の実験に必要となる測定器(交流電源,ファンクションジェネレータ(FG),マルチメータ等)
まず最初に交流について基本的な事柄(正弦波,周期,角速度,実効値,波高値など)の説明を行い,次に交流回路の実験を行うために必要となる交流電源としてFGの具体的な使い方の説明を行う。実験では,簡単な交流回路を作り,テスター,マルチメータを用いて交流での電流,電圧の測定を行う。
11 オシロスコープで何ができるか。オシロスコープでFGの出力波形を観測
交流波形を観測する測定器として,オシロスコープを説明し,その使い方を実習する。実習内容は,ファンクションジェネレータで発生させた交流電圧をオシロスコープに入力し,交流信号(正弦波)の波高値,周期を測定し,それらの値から実効値,周波数を求める。
12 簡単な交流回路の入出力特性を観測
簡単な交流回路を組み,以前はマルチメーターやテスターで測定していた電圧をオシロスコープで測定し,交流回路での電流,電圧の関係を求める。
13 実験レポートの書き方(実験レポートの課題)
後期より行われる実験実習では実験報告書を提出しなければならず,実験報告書の役割,書き方について講義する。
14 課題実験,実験レポートの作成(約2日後を提出期限とする)
実験レポートを書くために,交流回路を題材とした課題実験を行い,指定された形式で実験報告書にまとめる。実験時間では報告書を書く時間がないので,自宅で報告書を作成し,指定期日までに提出する。
15 実験レポートの評価と注意
提出された報告書をもとに,報告書の書き方の補足説明,注意を行う。 *この報告書は後期の実験実習にも利用するので,保管しておくこと。
16 前期定期試験の解答,後期実験実習の説明
最初に前期定期試験の解答と復習を行い,その後,後期実験実習の各テーマについて説明する。後期の実験実習で具体的に気をつけないといけない点など,「安全の手引き」を用いて説明する。
17 ワープロ1
学園祭の案内文書を題材に,ワープロの基本操作を身につける。
18 ワープロ2
図を作成して,学園祭の案内文書を完成させる。
19 テスタ回路の説明
テスター内部の回路のうち,倍率器,分流器の構造,理論を学習する。
20 基板のパターン設計
実際に必要な抵抗の値を算出する。半田付けの練習を行う。基板上の部品の配置の設計を行う。
21 表計算1
成績一覧表を題材に,表計算の基本操作を身につけてグラフを作成する。
22 表計算2
与えられたデータを自由に加工し,そのデータの特徴をグラフ化してわかりやすく表示する。
23 プリント基板の製作1
配線パターンをプリント基板へ複写,ポインチング,マーキング,エッチング,さび止め加工,穴あけ加工
24 プリント基板の製作2
部品の半田付け,仕上げと点検
25 LaTeXによるレポート作成1
LaTeXを使って,前期実験実習のレポートを作成する。
26 LaTeXによるレポート作成2
図形描画ソフトTgifを使って,図を作成する。
27 テスタ回路による誤差率の測定1(電圧計)
電圧計部分を使って,実際に電圧を測り,自分の作った回路の動作および精度の検証を行う。
28 テスタ回路による誤差率の測定2(電流計)
電流計部分を使って,実際に電流を測り,自分の作った回路の動作および精度の検証を行う。
29 LaTeXによるレポート作成3
LaTeXを使って,図入りの実験実習レポートを完成させる。
30 実験実習のまとめ
後期実験実習のまとめを行う。


中間試験および定期試験を実施する.(前期)・中間試験,定期試験は実施しない。(後期)・前期に作成した報告書は後期の実験実習にも利用するので,保管しておくこと。・17週目以降は,20名ずつ2班に分けて,それぞれ情報関係と電気関係の実験を交代で実施する。