【 2006 年度 授業概要】
科   目 反応工学 ( Chemical Reaction Engineering )
担当教員 鶴谷 滋
対象学年等 応用化学科・5年・前期・選択・1単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-4(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
物質やエネルギーの変換をとおして付加価値の高い製品を製造する化学プロセスにおいて,そのプロセスに最適な反応装置(反応器)を設計することは極めて重要な課題である。物理的および化学的観点から,プロセスに最適な反応装置を設計することが反応工学の最終目的である。本講義においては反応器設計を行なう上で必要な基本的概念および事項について講述し理解させる。



1 【A4-4】  実験室規模と実用(商業)規模の反応器(装置)内の挙動の差の定性的理解
2 【A4-4】  反応器内の流れ挙動の定性的理解
3 【A4-4】  化学量論式の理解とその重要性の認識
4 【A4-4】  定常状態近似法・律速段階近似法による反応速度式の導出が出来ること
5 【A4-4】  反応器設計式の導出における物質収支式の理解
6  
7  
8  
9  
10  












1 反応器の形式とその操作法について理解できているか定期試験で評価する。
2 反応器内の理想流れが説明できるか定期試験で評価する。
3 化学反応の分類や量論的関係が理解できているか定期試験で評価する。
4 化学反応式を定常状態近似法および律速段階近似法で導くことができるか定期試験で評価する。
5 反応器の容量計算を物質収支の関係から求めることができるか定期試験で評価する。
6  
7  
8  
9  
10  




成績は,試験100% として評価する.
テキスト プリント
参考書 「化学反応工学」;東稔節治・浅井悟編(朝倉書店)
関連科目 化学工学,プロセス設計
履修上の
注意事項
物理化学の基礎である熱力学,化学平衡,反応速度論についての理解が必要。

【授業計画( 反応工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 はじめに-反応工学とは
反応工学の定義・内容について,反応器設計・操作における重要な役割の観点から述べる。反応工学の位置づけ・重要性についての認識を深める。
2 反応の分類
反応工学の観点から反応の分類について詳述する。
3 反応装置および反応操作の分類
反応装置(槽型・管型)の分類とその操作法(回分法・連続法・半回分法)について述べ,実用反応器とその操作法についての理解を深める。
4 反応器内の物質の流れ状態
連続操作での槽型反応器および管型反応器内の理想的な流れ状態の挙動・特徴について述べ,両者の流れ状態の違いについて認識する。理想的な流れ状態からのずれについても定性的に述べる。
5 反応器内の化学量論
一般的な化学量論式をもちいて,回分反応器・連続流通反応器内の原料成分,生成物成分の組成を定量的に求める。
6 反応速度の定義・反応次数・反応分子数
反応工学で使用する反応速度の基本的な事項について述べる。
7 定常状態近似法と反応速度
定常状態近似法の特徴について述べ,連鎖反応・酵素反応にこの近似法を適用した例について述べる。
8 中間試験
1回目から7回目までの試験。
9 定常状態近似法による反応速度式の導出1
定常状態近似を使って簡単な反応の速度式を求める。演習を含む。
10 定常状態近似法による反応速度式の導出2
定常状態近似を使って簡単な反応の速度式を求める。演習を含む。
11 律速段階近似と吸着速度
律速段階近似法の特徴と適用できる系について述べる。吸着現象について述べ化学吸着速度式の導出について述べる。
12 気固接触反応の速度式
固体触媒反応の反応過程の反応式から,律速段階近似法をもちいて,反応速度式を導出する。演習を課す。
13 反応器の物質収支
反応器設計の基本となる反応器内の一般的な物質収支式について先ず述べる。回分反応器よび連続流れ反応器内の物質収支式を導く。
14 反応器設計式1
回分反応器(定圧系・定容系)の反応器設計式を導出する。具体的に反応速度を仮定し求めた設計式に代入することにより反応時間と転化率の定量的な関係式を導く。演習を課す。
15 反応器設計式2
連続流通型反応器の反応器設計式を導出する。具体的に反応速度を仮定し求めた設計式に代入することにより反応時間と転化率の定量的な関係式を導く。演習を課す。


中間試験および定期試験を実施する.