【 2006 年度 授業概要】
科   目 応用化学実験IV ( Laboratory Work IV in Applied Chemistry )
担当教員 松本 久司,田中 守,杉 廣志
対象学年等 応用化学科・5年・前期・必修・3単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
C1(70%) C4(30%) (d)2-b,(d)2-d,(e),(f),(h)
授業の概要
と方針
4年までに習得した知識,技術を活かして,有機材料,無機材料,化学工学のより複雑な各実験テーマに取り組む。



1 高分子化合物の同定および性質の評価法を理解,修得する。
2 コバルト錯体の合成や溶液中での錯体の組成の決定を通じて錯体生成理論と合成技術を理解・習得し応用できる。
3 セラミックス粉体を合成し,その反応過程などを調べることで合成理論と合成技術を理解・習得し応用できる。
4 異相系反応操作の1つである気液反応操作よりその反応速度を算出できる。
5 充填塔を用いた気液吸収実験よりその吸収速度におよぼす各種因子について理解する。
6 固体乾燥および恒圧濾過実験よりその速度の求め方を習得する。
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1 実験が正しい方法で行われていること及びその内容を理解していることを実験中の面談により,また合理的結果を導き出していること及びそのテーマへの理解度をレポートから評価する。
2 理論と合成法について,理解できているか。実験中に正しい操作ができているか。などをレポートと実験操作法などを総合的に評価する。
3 理論と合成法について,理解できているか。実験中に正しい操作ができているか。などをレポートと実験操作法などを総合的に評価する。
4 亜硫酸ソーダの空気酸化反応を通して気液反応速度を算出する手法が理解できているか実験操作とレポートで評価する。
5 炭酸がスの水酸化ナトリウム水溶液中への化学吸収実験を通してその吸収速度におよぼす気液流量の影響を算出できるかをレポートで評価する。また代表的な吸収装置である充填塔の操作法を修得できたかを実験操作で評価する。
6 固体乾燥および恒圧濾過実験よりその速度の求めかたが理解出来ているか実験操作とレポートで評価する。
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各担当者が,レポート内容70%,実験操作等30%で評価し,3人の平均を評価点とする。
テキスト プリント
参考書 化学工学実験:東畑ら(産業図書)
入門高分子科学: 大澤善次郎著(裳華房)
関連科目 高分子化学,有機化学,無機化学,材料化学,化学工学
履修上の
注意事項
高分子化学,無機化学,分析化学,化学工学など該当分野の教科の理解が大切である。

【授業計画( 応用化学実験IV )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 有機材料実験の内容説明,準備
プリントを基本に実験内容の説明を行うとともに,高分子化学の授業で行ったことを復習し,実験の理論的根拠を再確認する。容器の洗い方,試薬の性質及び扱い方,廃液の出し方等の諸注意を行う。
2 ポリスチレン(PSt)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)の濃度―IR吸光度の検量線の作成
市販のポリマーを使用し,[PSt]/ [PMMA]の割合を変え,それぞれのIを取る。その[760cm-1のピーク]/[1690cm-1のピーク]から (PSt)及び(PMMA)の濃度―IR吸光度の検量線を作成する。
3 St-MMA共重合体の合成
[St]/[MMA]比を変化させ,数種類の共重合体を合成する。それぞれについて重合時間が30分,60分及び90分のポリマーを取り出し,再沈殿法により精製する。
4 生成ポリマー中のSt単位とMMA単位の割合を求め,モノマー反応性比r1,r2を算出する。
合成したポリマー全てのIRを測定する。その生成ポリマー中のSt単位とMMA単位の割合を,前週に作成した検量線を使い求める。得られた測定結果をファイマンーロスの式に入れ,モノマー反応性比r1,r2を算出する。
5 生成ポリマーの1)極限粘度及び2)融点を測定する。
1)極限粘度 トルエンを溶媒とし,ウヴェローデ粘度計を使って極限粘度を求める。2)融点 DSCを測定しその吸収ピークからポリマーの融点及び融解エントロピーを求める。
6 無機材料実験の内容説明,準備
まず,実験の進め方,4テーマについて,実験概要,原理,理論を解説する。
7 シスジクロロビスエチレンアミンコバルト塩化物の合成と異性化速度の決定
この錯体にシス体とトランス体があることを解説し,合成法と同定法を説明する。
8 モル比法,連続変化法による錯イオンの組成比の決定
水溶液中での錯体の配位子と金属元素との組成比の決定法として,連続変化法とモル比を応用するが,その原理と実験の進め方を解説し,データから作図による組成比の決定法を説明する。(鉄イオンとオルトフェナントロリンの系を対象とする。)
9 ウェルナー錯体の合成とIRおよび伝導度による物性の測定
ウェルナー錯体を合成方法と同定方法を解説する。次に,水溶液の電気伝導度を求めて,同定の一助にできることを説明する。
10 化合物沈澱法によるセラミック粉体の製造と評価
著名な化合物であるチタン酸バリウムについて解説する。次いで,種々の合成法を説明し,その中の化合物分解法をとりあげて,原理と合成法を説明する。
11 化学工学実験の内容説明,準備
実験の進め方,実験室の使用法,班分け,4テーマの実験法とその理論の解説。
12 気泡塔を用いた気液反応実験
代表的な気液反応である亜硫酸ソーダの空気酸化反応の反応速度の算出法を理解すると共にその速度におよぼす因子について考察できる。
13 充填塔を用いた気液吸収実験
代表的な吸収装置である充填塔を用いて水酸化ナトリウム水溶液中への炭酸がスの化学吸収速度の求めかたについて理解を深める。
14 乾燥実験
紙粘土を用いて,その乾燥課程より乾燥速度を算出し乾燥特性曲線を描き乾燥の諸特性値を求める。
15 恒圧濾過実験
珪藻土の懸濁液を試料として減圧濾過実験を行い,濾過についての理解を深めると共に恒圧濾過速度に対するルースの式を用いた解析法を修得する。


中間試験および定期試験は実施しない.クラスを3グループに分けて各実験(有機材料実験,無機材料実験,化学工学実験)を5週づつ計15週で実施する。レポートと実験操作法で評価する。