【 2006 年度 授業概要】
科   目 応用数学 ( Applied Mathematics )
担当教員 横山 卓司
対象学年等 応用化学科・4年・通年・必修・4単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A1(100%) (c),(d)1
授業の概要
と方針
線形代数およびベクトル解析の基本的な概念を理解し,道具として使えるようになることを目標とする。話が抽象的になりすぎないよう具体例を豊富に扱い,多くの計算を実際に行うことを重視する。頭の中に,計算の背景にあるイメージが描けるようになることを目標とする。



1 【A1】  ベクトル,行列の基本的な演算ができる。
2 【A1】  行列の基本変形を理解し,連立1次方程式の解法に利用できる。
3 【A1】  行列式の定義,性質を理解する。行列式の計算ができ,正則性の判定,逆行列の計算などに応用できる。
4 【A1】  ベクトル空間について理解する。 ベクトル空間の次元と基が計算できる。
5 【A1】  線形写像の概念,線形写像と行列の関係を理解する。
6 【A1】  固有値・固有ベクトルについて理解し,行列の対角化が行える。
7 【A1】  対称行列を直交行列で対角化できる。2次形式の標準化が行える。
8 【A1】  スカラー場・ベクトル場の概念を理解する。勾配,発散,回転の概念を理解する。
9 【A1】  線積分,面積分の概念を理解し,その計算ができる。
10 【A1】  発散定理,ストークスの定理を理解する。












1 ベクトル,行列の基本的な演算ができることを,試験で評価する。
2 行列の基本変形を理解し,連立1次方程式の解法に利用できることを,試験で評価する。
3 行列式の定義,性質を理解していること,行列式の計算ができ,正則性の判定,逆行列の計算などに応用できることを,試験で評価する。
4 ベクトル空間,ベクトル空間の次元と基について理解していることを,試験で評価する。
5 線形写像の概念,線形写像と行列の関係を理解していることを,試験で評価する。
6 固有値・固有ベクトルについて理解し,行列の対角化が行えることを,試験で評価する
7 対称行列を直交行列で対角化でき,2次形式を標準化できることを,試験で評価する。
8 スカラー場・ベクトル場の概念,勾配,発散,回転の概念を理解していることを,試験で評価する。
9 線積分,面積分の概念を理解し,その計算ができることを,試験で評価する。
10 発散定理,ストークスの定理を理解していることを,試験で評価する。




成績は,試験100% として評価する.
テキスト 「入門 線形代数」:三宅 敏恒 著(培風館)
「基礎解析学コース ベクトル解析」:矢野 健太郎・石原 繁 共著(裳華房)
参考書 「演習 線形代数学」:村上 正康・野澤 宗平・稲葉 尚志 共著(培風館)
「線形代数」:長谷川浩司 著(日本評論社)
「線形代数学」:川久保勝夫 著(日本評論社)
「プログラミングのための線形代数」:平岡和幸・堀玄 共著(オーム社)
「キーポイント ベクトル解析」:高木隆司 著(岩波書店)
関連科目 2年数学I ,3年数学I , 2年数学II , 4年応用物理
履修上の
注意事項
1. 参考書に挙げた書籍は全部買い揃える必要はない。必要に応じて図書館等で参照することが望ましい。2. この科目の内容は,2,3年の数学I,2年数学II および 4年応用物理の内容と関係が深い。適宜,関連科目の教科書等を参照すること。

【授業計画( 応用数学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 行列の定義
行列の定義について確認する。転置行列,対称行列,交代行列の定義を理解する。
2 行列の演算
行列の和,差,積,スカラー倍の計算方法を理解する。
3 行列の分割
行列をブロックに分割して積を計算し,特に行ベクトル,列ベクトルへの分割が有用であることを理解する。
4 行列と連立1次方程式
連立1次方程式の係数行列および拡大係数行列を求める。
5 行列の基本変形
行列の基本変形を理解し,連立1次方程式を解く。
6 行列の簡約化
行列の簡約化を行う。
7 行列の階数
行列の階数(ランク)を求める。
8 行列の階数と連立1次方程式(1)
行列の階数で連立方程式の解のあり方を分類する。
9 行列の階数と連立1次方程式(2)
行列の階数で連立方程式の解のあり方を分類する。
10 正則行列とその逆行列
正則行列を定義し,その逆行列を計算する。
11 置換
行列式の定義の準備として,置換を定義し,計算を行う。
12 行列式の定義と性質
行列式を定義する。定義から導かれる行列式の性質を理解する。
13 行列式に関する公式
行列式に関するさまざまな公式を導く。
14 演習
これまでの行列・行列式に関する演習を行う。
15 中間試験
中間試験を実施する。
16 余因子展開
行列式の行または列による展開を行う。
17 余因子行列と逆行列
余因子行列の逆行列の計算への応用やクラーメルの公式を理解する。
18 特別な形の行列式
さまざまな行列式の計算を行う。
19 演習
行列式に関するまとめの問題演習を行う。
20 ベクトル空間
ベクトル空間を定義し,いくつかの例が実際に定義を満たしていることを確認する。
21 部分空間
部分空間を定義し,いくつかの具体例について部分空間であることを確認する。
22 ベクトルの1次独立と1次従属
ベクトルの1次独立と1次従属の定義を理解する。
23 ベクトルの1次独立・1次従属と行列
ベクトルの1次独立・1次従属と行列の関連について理解する。
24 ベクトルの1次独立な最大個数
ベクトルの1次独立な最大個数を求め,行列の階数との関連について理解する。
25 正則行列とベクトルの1次独立
正則行列の列ベクトル,行ベクトルがそれぞれ1次独立なベクトルの組であることを理解する。
26 ベクトル空間の基と次元
ベクトル空間の基と次元の定義を理解する。
27 連立方程式の解空間
連立方程式の解空間の次元と基を求める。
28 ベクトルの集合で生成される部分空間
ベクトルの集合で生成される部分空間について,基や次元を調べる。
29 演習
ベクトル空間に関するまとめの問題演習を行う。
30 演習
ベクトル空間に関するまとめの問題演習を行う。
31 線形写像
線形写像を定義し,2年で習った2次元の一次変換との関連を理解する。
32 線形写像の像と核
線形写像の像と核を定義し,それらの次元が行列の階数と関係があることを理解する。
33 線形写像の表現行列
与えられた基に関する線型写像の表現行列を理解する。
34 基の変換
基の変換に対応した表現行列の関係式を理解する。
35 線形変換
線形変換の表現行列を求める。
36 演習
線形写像・線形変換に関するまとめの問題演習を行う。
37 固有値と固有ベクトル
線形変換の固有値,固有ベクトル,固有空間の定義を理解する。
38 固有多項式と固有空間
行列の固有多項式を利用して,線形変換の固有値,固有空間を求める。
39 ケーレー・ハミルトンの定理
ケーレー・ハミルトンの定理を理解し,問題解決に利用する。
40 行列の対角化(1)
行列が対角化できるための必要十分条件を理解し,与えられた行列を対角化する。
41 行列の対角化(2)
行列の対角化に関する問題演習を行う。
42 内積とノルム
ベクトル空間の内積とノルムについて理解する。
43 ベクトルの直交
ベクトルの直交,直交補空間について理解する。
44 正規直交基
ベクトル空間の正規直交基とシュミットの直交化について理解する。
45 中間試験
中間試験を実施する。
46 直交行列
直交行列とその性質について理解する。
47 行列の三角化
行列の三角化について理解する。
48 対称行列の対角化
対称行列を直交行列により対角化する。
49 2次形式
対称行列の対角化の応用として,2次形式とその標準化を扱う。
50 演習
対称行列の対角化とその応用についてまとめの問題演習を行う。
51 スカラー場と勾配
スカラー場とその勾配を理解する。
52 勾配の性質
方向微分係数や等位面を定義し,勾配との関連を理解する。
53 発散
ベクトル場とその発散を理解する。ラプラシアンを定義する。
54 回転
ベクトル場の回転を理解する。
55 線積分
曲線に沿っての線積分を定義する。
56 面積分
曲面に沿っての面積分を定義する。
57 演習
線積分,面積分についての問題演習を行う。
58 発散定理
発散定理を理解する。
59 ストークスの定理
ストークスの定理を理解する。
60 演習
ベクトル解析についての総合的な演習を行う。


中間試験および定期試験を実施する.