【 2006 年度 授業概要】
科   目 物理化学 ( Physical Chemistry )
担当教員 渡辺 昭敬,根津 豊彦
対象学年等 応用化学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
物理化学の基礎を化学熱力学を中心に分かりやすく説明する。物理化学量と単位,気体の状態方程式,熱力学(第一,第二,第三法則),相平衡,化学平衡,電気化学を理解し,章末の演習問題が解けるようにする。



1 物理量について理解し,単位変換が容易に行える。
2 気体の状態方程式および,分子運動論について理解する。
3 熱力学の各種法則を理解し,反応におけるエンタルピーおよびエントロピー変化を理解する。
4 ラウールの法則およびヘンリーの法則を理解する。
5 液体−液体,液体−固体などの混合物の相図を理解する。
6 ブレンステッド酸とブレンステッド塩基を理解し,化学平衡式を用いた計算ができる。
7 電池の全反応と半反応を理解する。
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1 圧力やエネルギーおよび気体定数などの単位変換が自在にできるかどうか中間試験およびレポートで評価する。
2 気体の状態方程式と分子運動論を理解しているかを中間試験および定期試験で評価する。
3 エンタルピー,エントロピー,Gibbsエネルギーについて理解しているかを定期試験で評価する。
4 原理及び例題の解法と,章末の演習問題程度の問題が理解できているかを,小テストや中間試験で評価する。
5 相図の内容及び例題の解法と,章末の演習問題程度の問題を理解しているかどうかを小テストならびに中間試験で評価する。
6 原理及び例題の解法と章末の演習問題程度の問題が解けるかどうかを小テストならびに定期試験で評価する。
7 原理及び例題の解法と章末の演習問題程度の問題が解けるかどうかを小テストならびに定期試験で評価する。
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成績は,試験80% レポート10% 小テスト10% として評価する.
テキスト 物理化学要論」P。W。Atkins著・千原秀昭・稲葉 章 訳 (東京化学同人)
参考書 「アトキンス 物理化学 (上・下)」 P。W。Atkins著・千原秀昭・稲葉 章 訳 (東京化学同人)
関連科目 化学(C1)
履修上の
注意事項
物理化学の性質上,すべての本科の化学の講義の基礎となる部分を担っている。また,本科一年の化学で習得した知識(熱力学,電気化学,平衡論など)を展開することもある。

【授業計画( 物理化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 物理化学はどんな学問か(物理化学量とSI単位 数値計算方法 )
物理化学の学習意義について説明する。また,各物理量の定義について学び,SI単位系とそれ以外の系との変換や実際の数値を伴った単位換算について学習する。
2 気体の状態(温度,圧力,体積,エネルギー)
ボイル,シャルルの法則および,アボガドロの原理から完全気体の状態方程式が得られることを学ぶ。また,気体分子運動論からも同様の式が得られることを学習する。
3 気体の状態方程式を解く(完全気体)
完全気体の性質について理解し,状態方程式に関する演習問題を解く。
4 気体の状態方程式を解く(実在気体)
完全気体と実在気体の違いについて理解する。また,ビリアル方程式とVan der Waals式について理解する。
5 演習問題
気体の運動と状態方程式に関わる問題を解く。必要に応じて臨時試験を実施する場合もある。
6 熱力学第一法則(内部エネルギー)
熱力学の基本について学ぶ。系の考え方および,第一法則について学習する。
7 熱力学第一法則(エンタルピー)
比熱および,エンタルピーの定義について学習する。
8 中間試験
1-6週の内容に関する試験を行う。
9 中間試験解答
中間試験の解答を黒板を用いて説明し,注意点を指摘する。
10 熱力学第一法則(反応熱)
物理変化および化学変化に対するエンタルピー変化の求め方について学習する。
11 熱力学第二,三法則(エントロピー)
熱力学の第二,三法則から,エントロピーの定義について理解する。
12 エントロピー変化
物理変化および化学変化に対するエンタルピー変化の求め方について学習する。
13 自由エネルギー
Gibbsエネルギーの定義とについて理解する
14 自由エネルギー変化と反応の進行
Gibbsエネルギー変化から反応の進行方向の判断の関係について学習する。
15 演習問題
熱力学に関する諸問題についての演習問題を解く
16 純物質の相平衡(相転移の熱力学)
相変化とギブスエネルギーとの関係を学習する。
17 純物質の相平衡(相図)
代表的な物質の相図を学習する。
18 混合物の性質(熱力学的記述)
非電解質溶液の混合物の性質を学習する。モル濃度,質量モル濃度,モル分率を用いて,ラウールの法則,ヘンリーの法則を学習し,例題を解いて理解する。
19 混合物の性質(束一的性質,混合物の相図)
沸点上昇,凝固点降下,浸透圧など存在する溶質粒子の数に依存するだけの束一的性質について学習する。
20 演習問題
これまで学んだ例題及び章末の基本的な問題を教科書を用いて解答する。小テストを実施することもある。
21 化学平衡の原理(熱力学的裏付け)
化学平衡を反応ギブスエネルギーを用いて説明することによって熱力学的な裏づけを学習する。また,平衡組成の計算を行う。
22 化学平衡の原理(諸条件による平衡の移動)
平衡の移動に対する触媒の存在,温度の効果,圧縮の効果を学習する。
23 中間試験
主に到達目標4,5に関する試験を行う。
24 中間試験解答,化学平衡の応用
中間試験の解答を黒板を用いて説明し,注意点を指摘する。
25 化学平衡の応用(プロトン移動平衡)
酸と塩基に関するブレンステッド-ロウリ−の理論で,酸はプロトン供与対で,塩基はプロトン受容体である。プロトン化率を用いて弱酸,弱塩基の化学平衡に関する計算を行う。
26 化学平衡の応用(塩の水溶液,溶解度平衡)
酸−塩基滴定に関するヘンダーソン−ハッセルバルクの式から酸,塩基の濃度とpHとの関係式が導かれる。緩衝作用,溶解度定数,共通イオン効果について学習する。
27 演習問題
小テストを行うこともある。
28 電気化学(イオンの移動,半反応と電極)
電解質溶液中におけるイオンの電気伝導率,イオン移動度はイオンの大きさにも依存する。しかし,水素イオン及び水酸イオンはグロッタスの機構により他のイオンに比べて非常に早く移動することが説明できる。電池反応は半電池反応から成り立っている。
29 電気化学(電池反応,電極電位)
種々の電池の電池反応とその半反応を学ぶ。
30 電気化学(標準電位,熱力学関数の決定)
標準電位は標準水素電極の電位を基準に表されている。標準電池電位と標準反応ギブスエネルギーとの関係から反応式が分かれば電池の電圧が計算できる。


中間試験および定期試験を実施する.