2006 年度破壊力学シラバス

【 2006 年度授業概要】
学習・教育目標			工学系複合プログラム	ＪＡＢＥＥ基準１（１）
科　　　目			破壊力学 ( Fracture Mechanics )
担当教員			和田明浩
対象学年等			機械システム工学専攻・1年・後期・選択・2単位
学習・教育目標			A4-1(100%)	(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要と方針			き裂を含む材料は健全な材料に比べ，はるかに小さな負荷荷重で破壊に至る。本講義では，応力拡大係数やエネルギー解放率など，き裂先端近傍の特異応力場を表現するための破壊力学パラメータについて学ぶ。また，き裂状欠陥を有する材料の破壊機構について説明し，破壊力学に基づく損傷許容設計の概念について解説する。
到達目標		1	【A4-1】　理論材料強度と実材料強度の違いについて説明できる。
		2	【A4-1】　き裂先端の特異応力場・変位場の概略を理解する。
		3	【A4-1】　応力拡大係数・エネルギー解放率などの破壊力学的パラメータの意味を理解する。
		4	【A4-1】　疲労損傷を破壊力学的に取り扱う手法を理解する。
		5	【A4-1】　損傷許容設計の概念を理解する。
		6
		7
		8
		9
		10
評価方法と基準	到達目標毎	1	理論材料強度と実材料強度の違いに対する理解度を中間試験で評価する。
		2	き裂先端の特異応力場・変位場の概略に対する理解度を中間試験で評価する。
		3	破壊力学的パラメータに対する理解度を中間試験，期末試験および提出課題で評価する。
		4	労損傷の破壊力学的に取り扱いに対する理解度を期末試験で評価する。
		5	損傷許容設計に対する理解度を期末試験および提出課題で評価する。
		6
		7
		8
		9
		10
	総合評価		成績は，試験80%　レポート20%　として評価する．
テキスト			自作テキスト
参考書			「破壊力学」，小林英男著（共立出版）「よくわかる破壊力学」，萩原芳彦・鈴木秀人共著（オーム社）
関連科目			材料力学（3，4年），塑性工学（5年）
履修上の注意事項

【授業計画（破壊力学）】
週	上段：テーマ／下段：内容（目標、準備など）
1	破壊力学の概要
1	材料破壊が原因で生じた事故例を紹介し，破壊力学の必要性について概説する。また，この授業で1年間の授業の進め方，試験およびレポートの説明を行う。
2	理想材料強度と実材料強度
2	原子間結合力から理論破壊強度を導く手順を説明する。また，実材料強度が理想材料強度を大きく下回る要因について解説する。
3	弾性力学の復習
3	破壊力学解析に必要となる弾性力学について復習する。
4	切欠きによる応力集中
4	切欠き部に生じる応力集中について説明し，き裂先端近傍における特異応力場について解説する。
5	応力拡大係数1
5	き裂面の3つの独立な変形様式について説明し，き裂先端近傍における特異応力場の近似解について述べる。
6	応力拡大係数2
6	応力拡大係数の導出法を説明し，有限幅やき裂形状の影響を補正する方法を解説する。また，き裂様式，境界条件の異なる各種条件下における応力拡大係数の実例を紹介する。
7	応力拡大係数3
7	破壊靱性値の測定方法を紹介する。また，演習問題を利用して学習内容の総合演習を行う。
8	中間試験
8	理論材料強度と実材料強度の違い，き裂先端の特異応力場・変位場，応力拡大係数に対する理解度を評価する。
9	エネルギ解放率1
9	材料破壊におけるエネルギ平衡の概念について解説する。
10	エネルギ解放率2
10	荷重－変位線図を利用して，負荷条件の異なる場合のエネルギ解放率の相違について解説する。
11	エネルギ解放率3
11	応力拡大係数とエネルギ解放率の関係について説明する。
12	き裂先端の塑性域
12	塑性力学に基づいてき裂先端の塑性域について考察し，小規模降伏条件について説明する。
13	疲労損傷
13	材料の疲労損傷機構について概説し，疲労き裂進展を破壊力学的に予測する手法について紹介する。
14	破壊力学の工学的応用1
14	損傷許容設計の概念について解説する。
15	破壊力学の工学的応用2
15	学習内容のまとめを行うとともに，演習問題を利用して破壊力学の総合演習を行う。
備考	中間試験および定期試験を実施する．