【 2006 年度 授業概要】
科   目 プラズマ工学 ( Plasma Engineering )
担当教員 橋本 好幸
対象学年等 電気電子工学専攻・2年・前期・選択・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A2(30%) A4-2(70%) (c),(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
プラズマは「物質の第4の状態」と呼ばれ,電子とイオンの荷電粒子からなる高温・高エネルギーの状態を示す。我々の日常生活では,蛍光灯,プラズマディスプレイ,半導体,発電や表面処理技術など至る所でプラズマが応用されている。本講義では,現在の工学において重要な存在となっているプラズマについて,その基礎特性を理論的に解説する。また,プラズマの応用技衝および計測技術について紹介する。



1 【A2】  プラズマとは何か説明できる。
2 【A2】  プラズマ中での粒子運動が説明できる。
3 【A2】  プラズマ中での粒子衝突について説明できる。
4 【A4-2】  速度分布関数を理解し,温度の概念が説明できる。
5 【A4-2】  シースが何か説明できる。
6 【A4-2】  与えられたパラメータからデバイ長,電子プラズマ周波数を求めることができる。
7 【A4-2】  プラズマの生成方法が説明できる。
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1 プラズマとは何かについて説明できるか,中間試験により評価する。
2 プラズマ中の粒子運動について理解し,それらの動きを式で説明できるかを,中間試験により評価する。
3 プラズマ中の粒子衝突について説明できるか,また,衝突断面積や平均自由行程を計算できるかを中間試験により評価する。
4 速度分布関数について理解しているかどうか,式で表現できるかを中間試験により評価する。
5 シースが形成される原理を説明できるか,与えられた条件下でシース幅が計算できるかを期末試験により評価する。
6 デバイ長,電子プラズマ周波数を求めることができるかを期末試験により評価する。
7 プラズマの生成方法について概略が説明できるか,期末試験により評価する。
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成績は,試験100% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする。
テキスト 「プラズマエレクトロニクス」:菅井秀郎著(オーム社)
参考書 「プラズマとビームのはなし」:八井 浄,江 偉華共著(日刊工業新聞社)
「プラズマ工学の基礎」:赤正則,岡村克紀,渡辺征夫,蛯原健治共著(産業図書)
「プラズマ物理入門」:内田岱二郎訳(丸善)
関連科目 応用物理,高電圧工学
履修上の
注意事項
履修にあたっては,応用物理で学習した気体の原子・分子レベルでの運動について復習しておくこと。

【授業計画( プラズマ工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 プラズマ工学の概要
プラズマとは何か,どのような状態にあるのかについて解説する。
2 プラズマの性質
これから詳細に学習するプラズマの物理的・化学的な性質の概略について説明する。
3 プラズマ中の単一粒子の運動
電場や磁場中での単一粒子の運動について解説する。
4 プラズマ中における粒子の衝突
プラズマ中での粒子間の衝突について,衝突断面積や平均自由行程を用いて解説する。
5 原子・分子の励起と電離
粒子が衝突することによって起こるエネルギーの授受によって生じる励起や電離について解説する。
6 速度分布関数
プラズマをマイクロに捕らえ,集団としても性質について解説していく。その最初として,速度分布関数を取り扱い,プラズマ中での電子,イオン,中性粒子の速度分布について学習する。
7 プラズマ基礎方程式
プラズマを流体として捉え,プラズマの運動方程式を導出する。
8 中間試験
プラズマとは何か,プラズマの集団運動,温度の概念等について設問する。
9 デバイ遮蔽
プラズマが電気的中性を保つためのデベイ遮蔽について解説する。また,プラズマパラメータえお用いてプラズマと呼ばれるための条件について解説する。
10 プラズマ振動
プラズマの集団運動の結果として生じるプラズマ振動について解説する。
11 プラズマの分布と流れ
プラズマは電場や圧力によって,拡散していく。この概念について解説する。
12 固体と接するプラズマ
プラズマが固体と接すると,シースが形成される。このシースが形成される条件について解説する。
13 プラズマの生成方法
プラズマの様々な生成方法について,概略を解説する。
14 プラズマの計測方法
ラングミュアプローブを用いて,プラズマ中の電子密度や電子温度を評価する方法について解説する。
15 プラズマの応用
プラズマの様々な分野における応用について,実例を挙げて解説する。


中間試験および定期試験を実施する.