2005 年度構造力学I シラバス

【 2005 年度授業概要】
学習・教育目標			工学系複合プログラム	ＪＡＢＥＥ基準１（１）
科　　　目			構造力学I ( Structural Mechanics I )
担当教員			嵯峨晃
対象学年等			都市工学科・3年・通年・必修・2単位
学習・教育目標			－	－
授業の概要と方針			構造力学は、建設構造物の設計にあたっての重要な専門基礎科目である。構造力学Ⅰでは２～３年の２ヵ年で静定系の構造力学の基礎と解析法を教授する。３年次では、静定構造物のはり・トラスの影響泉、断面の諸量、部材に生じる応力、はりの弾性変形及び柱などを修得させる。学習方法としては、力学の論理性と活用法を実際の構造物に即して理解させ、演習問題を豊富に取り入れて修得させる。
到達目標		1	各種の静定ばり・トラスの影響泉が描ける。そして影響線を用いて断面力を求めることができる。
		2	各種断面の諸量（図心・断面ニ次モーメント・断面係数・断面二次半径）を求めることができる。
		3	断面力に対する応力とひずみを求めることができる。合成断面の応力とひずみの関係が理解できる。またモールの応力円が理解できる。
		4	はりの微分方程式によるたわみ解析ができる。弾性荷重法による各種のはりのたわみ解析ができる。
		5	短柱の中心及び偏心軸圧縮柱が理解できる。長柱のオイラーの座屈荷重及びオイラー曲線が理解できる。
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評価方法と基準	到達目標毎	1	各種の静定ばり・トラスの影響泉が描けるか、そして影響線を用いて断面力を求めることができるかは、日頃の演習問題の解法状況と中間試験（前期）結果で評価する。
		2	各種断面の諸量（図心・断面ニ次モーメント・断面係数・断面二次半径など）を求めることができるかは、日頃の演習問題の解法状況と定期試験（前期）結果で評価する。
		3	断面力に対する応力とひずみを求めることができるか、合成断面の応力とひずみの関係が理解できるか、またモールの応力円が理解できるかは、日頃の演習問題の解法状況と中間試験（後期）結果で評価する。
		4	はりの微分方程式によるたわみ解析ができるか、弾性荷重法による各種のはりのたわみ解析ができるかは、日頃の演習問題の解法状況と定期試験（後期）結果で評価する。
		5	短柱の中心及び偏心軸圧縮柱が理解できるか、長柱のオイラーの座屈荷重及びオイラー曲線が理解できるかは、日頃の演習問題の解法状況と定期試験（後期）結果で評価する。
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	総合評価		到達目標1～5の演習問題の解法状況（授業毎の課題、レポート等）50％、到達目標1～5の試験結果50％で総合評価する。
テキスト			「構造力学I」嵯峨晃・武田八郎・原隆・勇秀憲　著（コロナ社）
参考書			構造力学（１）宮原良夫・高端宏直　著（コロナ社）土木構造力学の学び方（静定構造編）三上市蔵・嵯峨晃　著（オーム社）構造力学（上・下），崎元達郎著（森北出版）
関連科目
履修上の注意事項			構造力学の教科の関連科目としては、一般教養科目の物理学や数学が基礎となっている。構造物の解法にあたっては、微分、積分及び微分方程式を用いた解法によることが多い。また解法の手順が数学と同じで各種の問題を悪戦苦闘して解法できるところに興味や喜びを感じる教科である。特に構造力学は重要な専門基礎科目である。各種構造物が解法できる目的をもち、また解法できる喜びも味わって欲しい。

【授業計画（構造力学I ）】
週	上段：テーマ／下段：内容（目標、準備など）
1	影響線の定義
1	静定ばりや静定トラスなどに作用する列車や自動車のような移動荷重が部材に与える影響について説明する。
2	単純ばりの支点反力・断面力の影響線（1）
2	単純ばりの支点反力及び断面力の影響線の描き方について説明する。
3	単純ばりの支点反力・断面力の影響泉（2）
3	単純ばりの支点反力及び断面力の影響線を用いて断面力を求める方法を説明する。
4	片持ちばりの影響線
4	片持ちばりの影響線の描き方について説明する。また影響線を用いて断面力を求める。
5	ゲルバーばりの影響線
5	ゲルバーばりの影響線の描き方について説明する。また影響泉を用いて断面力を求める。
6	最大せん断力・絶対最大せん断力
6	単純ばりに移動荷重が作用する場合、最大せん断力および絶対最大せん断力を求める方法を説明する。
7	最大曲げモーメント、絶対最大曲げモーメント
7	単純ばりに移動荷重が作用する場合、最大曲げモーメントおよび絶対最大曲げモーメントを求める方法を説明する。
8	中間試験
8	単純ばり、片持ちばり、ゲルバーばりの影響線及び移動荷重による影響線について出題する。
9	静定トラスの影響線
9	静定トラスの影響線の描き方について説明する。
10	断面の諸量の概説
10	構造物の設計に大きく影響する断面の断面の諸量について概説する。
11	断面一次モーメント
11	座標系の定義、断面一次モーメントの定義及び図心の求め方などについて説明する。
12	断面一次モーメントの演習
12	断面一次モーメントを用いて各種断面の図心を求める演習。
13	断面ニ次モーメント
13	断面ニ次モーメントの定義、座標軸の移動などについて説明する。
14	断面ニ次モーメントの演習
14	各種断面の断面ニ次モーメントを求める演習。
15	断面係数と断面二次半径
15	断面係数及び断面二次半径の定義について説明する。また各種断面の諸量を求める総合問題の演習をする。
16	断面力と部材応力
16	構造力学を学ぶ目的は、外力に対して構造物が安全に抵抗するように設計するための手段である。ここでは構造物の断面力から応力を算定する概念を説明する
17	軸力に対する応力とひずみ
17	軸力が作用する場合の応力とひずみとの関係、ポアソン比、弾性係数などについて説明する。応力やひずみ算定の簡単な演習問題を解いて理解を深める。
18	せん断力及び曲げモーメントに対する応力とひずみ
18	せん断力及び曲げモーメントが作用する場合の応力とひずみとの関係について説明する。また平面保持の仮定（ベルヌーイの仮定）、曲げこわさ、曲げに伴うせん断ひずみ等の説明をする。またせん応力及び曲げ応力を求める演習問題を解いて理解を深める。
19	合成断面の応力とひずみ
19	軸力及び曲げを受ける合成断面の応力とひずみの関係を説明する。また鉄筋コンクリートの合成断面の応力やひずみを求める演習問題を解法する。
20	組合せ応力
20	構造物には様々な応力が作用している。一方向及び任意の方向に応力を受ける場合の面上の応力について説明する。主応力などのモールの応力円について説明する。また演習問題でモールの応力円を用いて長方形コンクリートばりの主応力などを求める。
21	はりの弾性変形
21	構造物は剛性と安定性が必要である。ここでは剛性の基本となるはりの弾性変形の概念について説明する。
22	はりの弾性変形の基本式
22	曲げによるはりの弾性変形の基本式（はりのたわみの微分方程式）を誘導する。
23	中間試験
23	断面力に対する応力とひずみの関係、合成断面の応力とひずみ、組合せ応力、はりの弾性変形の基本式などについて出題する。
24	はりの微分方程式の積分によるたわみの算定（1）
24	微分方程式によるたわみ解析について説明する。また単純ばりの例題についてはり微分方程式を用いて解法する。
25	はりの微分方程式の積分によるたわみの算定（2）
25	微分方程式によるたわみ解析について、荷重や支持状態が対称条件の場合、モーメント図が不連続になる場合などの解法について説明する。またこれらの条件の演習問題を解法する。
26	弾性荷重法によるたわみの算定
26	はりのたわみ、たわみ角を求める弾性荷重法（共役ばり法）について説明する。これはモールの定理ともいい、この定理を用いて、単純ばり、片持ちばりなど各種のはりの演習問題を解法する。
27	モールの定理の演習
27	モールの定理を用いて、はりの曲げ剛性が変化する例題などを説明する。また各種の様々なはりについて演習問題を解法する。
28	柱
28	柱は橋梁や建物に使われる身近な部材である。軸圧縮力を受ける柱についての概念を説明する。長柱と短柱、圧潰、座屈現象などについて説明する。
29	短柱
29	中心軸圧縮柱、偏心軸圧縮柱について説明する。また軸圧縮力が作用する場合の例題について解法する。また類似の演習問題も解法する。
30	長柱と座屈
30	ここでは長柱のオイラーの座屈荷重、座屈モード、細長比、オイラーの曲線などについて説明する。また支持条件による座屈荷重の変化についても説明する。また長柱の演習問題も解法する。
備考	中間試験を実施する。定期試験（前）:主に、静定トラスの影響線と各種断面の諸量を求める総合問題の演習をする。定期試験（後）：はりの微分方程式の積分によるたわみの算定、弾性荷重法によるたわみの算定、短柱、長柱と座屈（オイラーの座屈荷重）などについて出題する。