【 2005 年度 授業概要】
科   目 物理 ( Physics )
担当教員 前田 健吾
対象学年等 都市工学科・2年・通年・必修・3単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
まず、波動現象や、熱力学、電磁気学等の初等物理学を講義し、身近にある物理現象が理解できるようにする。 二年次の後半から、少しずつ微積分を用いた講義を行い、物理へ微積分をどのように応用するのか理解してもらう。 最後に原子核等のミクロの世界を扱う物理学に触れ、量子力学とはどのような世界なのかを把握してもらう。



1 熱力学、波動、電磁気学等の初等物理学を理解し、応用できる。
2 微積分を用いて、より統一的に物理を理解することが出来る。
3 原子核などの微小世界において、量子力学的な考察が出来る。
4 実験結果を、理論値と実験値の比較をしながら考察することができる。
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1 熱力学、波動、電磁気学等の初等物理学が理解できているか定期試験及び授業中の演習で評価する。
2 初等的な微積分を、物理に応用できるかどうかを定期試験及び授業中の演習で評価する。
3 原子核等のモデルにおいて、量子力学的な考察が出来るかどうか定期試験及び授業中の演習で評価する。
4 実験を行い、その結果をまとめたレポートで実験における考察ができるかどうか評価する。
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到達目標1,2,3を定期試験70%、授業中の演習10%で評価する。 到達目標4をレポート20%で評価する。 ただし、出席状況の悪いものは不合格とする。
テキスト 「高専の物理」: 和田三樹監修(森北出版)
参考書 「高専の物理問題集」: 田中富士夫編著(森北出版) 
「物理学辞典」: 物理学辞典編集委員会編集(培風館)
「力学と微積分 物理数学One Point」 小出昭一郎(共立出版)
関連科目  
履修上の
注意事項
 

【授業計画( 物理 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 絶対温度と熱
熱平衡、絶対温度の概念を教授する。 熱エネルギーの単位であるカロリーと力学的エネルギーの単位であるジュールの変換が出来るように演習を行う。 また、演習を通じて熱エネルギー保存則から試料の比熱測定法を教授する。
2 気体の分子運動
理想気体の状態方程式が扱えるように演習を行う。一年生の力学で学んだ知識を生かして、絶対温度と分子の平均運動エネルギーの関係を探る。
3 各熱力学的過程における熱力学第一法則
等温過程、定圧変化などの各熱力学的過程において、熱力学第一法則から内部エネルギーの変化が導けるようにする。 問題集等を使い、十分に演習を行う。
4 断熱変化及び熱機関
断熱変化を理解するために、簡単なデモンストレーションを行う。 また、簡単なモデルを通じて熱力学第二法則の概念を教授し、熱機関の熱効率が100パーセントにならないことを理解させる。
5 直線上を伝わる波1
波の波長、振動数、速さの関係を理解させる。 ばねを使って縦波を実演し、横波との違いを理解させる。 正弦波における位相の意味を教授し、正弦波の式から波の速度や振動数がすぐに読み取れるよう演習を行う。
6 直線上を伝わる波2
ウェーブマシーンを用いて重ね合わせの原理や定常波を視覚的に理解させる。 三角関数の合成を使って、反射波と入射波から定常波が作れるように演習を行う。
7 平面や空間を伝わる波
波が平面や球面上を伝わる場合、ホイヘンスの原理を用いて、どのように波の反射、屈折の法則が導かれるか作図を通じて理解させる。また、波の干渉を作図を通じて理解させる。
8 中間試験
 
9 中間試験の解答及び解説
解説の後、断熱圧縮率と音速との関係に簡単に触れ、音速が温度のみで決まることを教授する。
10 音波1
弦の固有振動や気中の固有振動を理解させる。 おんさを用いて、共鳴のデモンストレーションを行う。
11 音波2
ドップラー効果の公式が自分で導けるようにする。特に、音源が動く場合と観測者が動く場合の違いを理解させ、十分な演習を行う。
12 光波1
基本的に波の反射、屈折等の法則と同様の法則が成立することを解説し、絶対屈折率と相対屈折率の違いを理解させる。
13 光波2
光の干渉の様々な事例を挙げる。特に回折格子やニュートンリングを用いて、光の干渉を視覚的に理解させる。
14 光学機器
凸レンズや凹レンズの役割を理解するとともに、演習を通じてレンズの公式が取り扱えるようにする。目の構造や望遠鏡の仕組みについても触れる。
15 静電界1
クーロンの法則を理解させるとともに、電界という場の概念をベクトルを用いて教授する。 演習を通じて、電界の合成等が出来るようにする。
16 静電界2
ガウスの定理が応用出来るようにする。 位置エネルギーに相当する電位という概念を理解させ、電界と電位の関係が明らかになるように演習を十分に行う。
17 コンデンサー
コンデンサーの役割を理解させ、コンデンサーの直列、並列つなぎにおける合成容量の求め方や、コンデンサーにおける誘電体の役割について教授する。
18 直流
オームの法則が簡単な古典的モデルから導けることを教授する。また、キルヒホッフの法則が十分に応用できるように、演習を十分に行う。 半導体についても簡単に触れる。
19 電流と電界1
ビオサバールの法則につて簡単に触れ、円形電流の場合には簡単に磁界の大きさが求まることを示す。 電流が磁界から受ける力の向きと大きさがすぐに求められるよう、演習を行う。
20 電流と電界2
電流が磁界から受ける力をローレンツ力で説明する。 磁性体について簡単に触れ、磁気テープの原理について解説する。
21 電磁誘導と交流1
電磁誘導の法則を微積分を用いて教授する。 数学との科目間連携を考慮し、数学で習った微積分を電磁誘導の法則に応用する。
22 電磁誘導と交流2
交流発生のメカニズムを電磁誘導の法則を用いて解説する。 交流におけるコイルやコンデンサーの役割を理解させる。
23 中間試験
 
24 中間試験の解説及びRLC回路の説明
中間試験の解説の後、RLC回路の周波数特性や、電気振動について講義する。
25 原子と光1
放電管を用いて陰極線の理解を深める。 光電効果において、光の二重性を理解させる。十分な演習を通じて、一電子ボルトなどのエネルギースケールを理解させる。
26 原子と光2
X線における粒子と波動の二重性をコンプトン効果などの事例を用いて解説する。 電子についても光と同様に二重性があることを解説する。
27 学生実験
オシロスコープを用いて、RLC回路における周波数特性を実験を通じて理解させる。
28 原子と原子核1
原子の構造を、ボーアの原子模型を用いて理解する。 特に、なぜエネルギーが飛び飛びの値しか許されないのかを理解させ、量子力学と古典的力学の違いを解説する。
29 原子と原子核2
核エネルギーがいかに大きいエネルギーであるか、演習を通じて理解してもらう。 核融合反応と太陽エネルギーとの関係についても簡単に解説する。
30 素粒子と宇宙
素粒子の宇宙における役割を解説し、宇宙の歴史についても触れる。