【 2005 年度 授業概要】
科   目 伝熱工学 ( Engineering Heat Transfer )
担当教員 赤対 秀明
対象学年等 機械工学科・5年D組・後期・選択・1単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-2(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
第1法則および第2法則で代表される熱力学が、エネルギーの形態変化や移動方向などの熱の静的つりあいの状態を取り扱うのに対して、伝熱工学では、熱の移動する速さ、つまり伝熱の速度についての知識と工学を取り扱い、理解させる。伝熱の形態には、熱伝導、熱伝達、および熱放射があり、これらが単独あるいは複合して熱が伝えられることを理解させる。また、これらの工業装置への応用である熱交換器の種類と構造を理解させる。



1 【A4-2】  伝熱の基礎知識(伝熱方式、熱流束、熱伝導率、熱伝達率、熱通過率)を理解できる。
2 【A4-2】  伝熱の工業装置への応用である熱交換器を理解できる。
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1 伝熱の3形式である熱伝導、熱伝達、熱放射において、通過熱流束および各部の温度を求めることができるか、レポート、中間試験および定期試験で評価する。
2 熱交換器における隔板式、蓄熱式、直接式の3つの構造を理解できているか、定期試験で評価する。
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到達目標1,2の中間試験と定期試験で80%、レポートおよび授業中の演習点20%で評価する。ただし、出席状況の悪いものは不合格とする。
テキスト 「伝熱工学」:一色尚次・北山直方(森北出版)
参考書 「伝熱工学」:関信弘ほか9名(森北出版)
関連科目  
履修上の
注意事項
熱伝導の理解には「応用数学」の理解が、熱伝達の理解には「流体工学」の理解が、熱放射の理解に「物理学」の理解が必要である。また、4,5年生での工業熱力学、5年生でのエネルギー変換工学、専攻科での熱機関論と関連する。

【授業計画( 伝熱工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 伝熱工学の基礎事項および日常の伝熱現象
伝熱は3つの形態、すなわち熱伝導、熱伝達、熱放射によって行われることを理解する。また、日常における伝熱現象を、伝熱工学的に説明できるか考えてみる。
2 熱伝導(1)定常熱伝導(平板の場合)
1枚の平板の熱伝導における通過熱量を算出できるように、フーリエの法則を積分して、その基本式を導く。と同時に、その演習問題を解く。
3 熱伝導(2)定常熱伝導(円管の場合)
1重の円管の熱伝導における通過熱量を算出できるように、フーリエの法則を積分して、その基本式を導く。と同時に、その演習問題を解く。
4 熱伝導(3)定常熱伝導(多層平板、多層円管)
多層平板および多層円管の熱伝導における通過熱量を算出できるように、フーリエの法則を積分して、その基本式を導く。と同時に、その演習問題を解く。
5 熱伝導(4)非定常熱伝導(フーリエの微分方程式)
フーリエの微分方程式を導き、その物理的意味を考える。
6 熱伝導(5)非定常熱伝導(演習問題)
フーリエの微分方程式において、境界条件に基づいて非定常現象を表す式を導く。と同時に、その結果を表した線図をもちいて、演習問題を解く。
7 熱伝達(1)温度境界層と速度境界層、熱通過率
熱伝達において重要な温度境界層を理解する。その際同時に発生している速度境界層も理解する。さらには、伝導と伝達が同時に発生する際の、熱通過率を算出する式を導き、その演習問題を行う。
8 中間試験
前半の内容の理解を確認するために90分の試験を行う。
9 中間試験回答および前半の復習
中間試験の解答を行うと共に、前半の復習を行い、理解の確認を行う。
10 熱伝達(2)強制対流熱伝達
強制対流熱伝達における熱伝達率をもとめる方法を理解する。また、その演習問題を解く。
11 熱伝達(3)自然対流熱伝達
自然対流熱伝達における熱伝達率をもとめる方法を理解する。また、その演習問題を解く。
12 熱伝達(4)沸騰熱伝達、凝縮熱伝達
熱伝達のうち、相変化を起こす沸騰熱伝達および凝縮熱伝達の現象を理解する。特に沸騰曲線の各ポイントと沸騰現象が対応付けられるように理解する。
13 熱放射(1)電磁波の種類、全吸収率、全反射率、全透過率
熱放射の基本である電磁波の種類と理解する。また電磁波は、光の法則で移動しその移動先で熱に代わることを理解する。その際、完全黒体、完全白体、完全透明体における光の全吸収率、全反射率、全透過率を理解する。
14 熱放射(2)熱放射の基本法則
プランクの法則に基づいて、放射熱量が算出されることを理解する。
15 熱交換器
伝熱の工業装置への応用として、熱交換器が重要であること理解する。構造により隔板式、蓄熱式、直接接触式に分類され、流動方向により並流型、向流型、直交型に分類され、用途により冷却器、凝縮器、加熱器、蒸発器に分類さることを理解すると共に、それを理解する。


・中間試験を実施する。
・定期試験を実施する。