【 2005 年度 授業概要】
科   目 塑性工学 ( Plastic Engineering )
担当教員 岡林 卓
対象学年等 機械工学科・5年C組・後期・選択・1単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-1(60%) C1(40%) (d)1,(d)2-a,(d)2-b,(d)2-d,(e),(f),(g)
授業の概要
と方針
塑性加工の基礎として 金属材料,塑性力学と弾性力学の差異に触れ,加工法として,圧延加工,曲げ加工,せん断加工,鍛造加工,絞り加工,押し出し加工,引き抜き加工などの具体例を学ぶ事により,身近な製品群造りの技術を理解する.



1 【A4-1】  弾性力学と塑性力学とでの応力・ひずみ関係の構成式の差異を理解する。
2 【A4-1】  材料の塑性変形抵抗力の因子や塑性降伏条件を理解する。
3 【A4-1】  炭素鋼の塑性加工を伴った熱処理で材料特性が大幅に改善されるメカニズムを理解する。
4 【A4-1】  各種の塑性加工方法の特徴・欠点や製品の使用分野の概要を知識として学ぶ。
5 【A4-1】  身近な製品の塑性加工方法を学んで、塑性加工技術への関心を持ってもらう。
6 【C1】  日本刀製造方法など塑性加工技術が生かされているテーマでのレポート作成で、表現方法を学ぶ。
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1 公称ひずみと対数ひずの差異や、弾性・塑性変形時のポアッソン比の差異などの意味の理解度を試験・演習・宿題でチェックする。評価は試験70%、演習・宿題レポート・学習態度30%で行う。以下同じ。
2 塑性変形抵抗値と組織・結晶粒・変態時のメカニズム(拡散変態・せん断変態)との関連の理解度を試験・演習で確認する。
3 通常の熱処理と加工熱処理の差異のメカニズムをTTT線図で理解できているかを、また冷間加工・加工硬化・回復・再結晶の関連の理解度を宿題・演習・試験で確認する。
4 各種塑性加工のより作られる製品の製作方法・設備・技術的課題など広範囲にわたっての知識習得状況を、加工方法毎に宿題・演習・試験で確認する。
5 ビール缶(DI缶)、金属バット、コイン、注射針、アルミ箔、金属たわし、曝着ステンレスクラッド鋼などの製作方法に関しての、理解度・関心度をレポート・試験で確認する。
6 日本古来の刀造りが、素材・鍛錬・熱処理技術の集約されたものとして捉え、レポート作成・発表・discussionなどで、塑性加工への関心度を高める。
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中間・定期試験70%,宿題・演習・レポート・学習態度30%で評価する.遅刻・欠席や学習態度の悪い者はは最大マイナス 15点(100点満点で)とする.
テキスト 基礎塑性加工学 川並高雄他編著(森北出版)
参考書 適宜、プリントで補う。
関連科目  
履修上の
注意事項
 

【授業計画( 塑性工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 塑性加工の基礎(塑性加工のはたらき)
塑性加工の概要を理解するために、日常生活でかかわりの多い家庭用品、自動車、建築材料などの製造技術として塑性加工の、役割を、テキストおよびビデオで説明し理解させる。塑性加工品の事例を学ぶ。
2 塑性加工の基礎(金属材料の性質とその利用法)
冷間加工と熱間加工の差異、通常熱処理と加工熱処理、加工硬化、塑性変形抵抗と加工速度・温度・金属組成の関係などを説明し理解させる。
3 塑性加工の基礎(変形・応力・ひずみ)
応力とひずみの関係式にでこれまでに学んだ弾性変形に基づく場合と、塑性変形の場合の差異を説明し理解させる。さらに材料の降伏条件説や対数ひずみ、モールの応力円の理解に努める。
4 板の圧延加工
熱間圧延と冷間圧延の差異、圧延機の構造の理解。厚板・中板の作り方、熱間・冷間圧延による薄板の製作技術を理解させる。    板圧延の基本である、材料変形と加工力の関係を説明し理解させる。
5 形鋼・線棒・鋼管の圧延加工
形鋼・線棒・鋼管の圧延加工方法としての、孔型圧延、H型鋼のユニバーサル圧延、線・棒の圧延、鋼管の製造方法を説明し理解させる。       各種鋼管の製作方法・特徴と利用分野を説明する。
6 せん断加工
形鋼・線棒・鋼管の圧延加工方法としての、孔型圧延、H型鋼のユニバーサル圧延、線・棒の圧延、鋼管の製造方法を説明し理解させる。       各種鋼管の製作方法・特徴と利用分野を説明する。
7 曲げ・深絞り加工、スピニング加工、爆発圧着加工
以下の事柄をテキスト、プリントで説明し理解させる。                        型曲げ加工、ロール曲げ加工、スプリングバックについて。深絞り加工、絞り比、再絞り加工について。  圧力容器の鏡板のスピニング加工やステンレスクラッド鋼爆発圧着加工につぃて。
8 中間試験
 
9 中間試験のレビユー
 
10 塑性加工のトライボロジー
塑性加工では工具と素材は非常に高い圧力で接しながら滑っている。工具と素材の間の潤滑状態が良くないと焼き付いて加工不可能になったり、加工力やエネルギーが高くなる。工具と素材との接触、摩擦,潤滑剤の働き、工具の磨耗について説明する。
11 引抜き加工
引抜き加工の方法、引き抜き力、変形機構、引き抜き機械の理解と、線材の種類と用途につぃて説明する。 また、引き抜き加工の仕事量と摩擦・潤滑油に及ぼす因子を理解するよう説明する。
12 押出し加工
押し出し加工の種類、押し出し加工時の材料流れ、各種金属の押し出し温度・押し出し圧力の理解や、アルミ合金の熱間押し出し製品の用途につぃて説明する。
13 鍛造
熱間鍛造、冷間鍛造、温感鍛造、転造鍛造、鍛造金型の理解と適用製品につぃて解説する。        日本刀の製作方法に関するレポ^ート作成。
14 加工および解析の実際・・・その1
良い塑性加工を行うには材料の性質、加工法の特徴、摩擦の役割などの知識のほかに、経験や実験から得られた知識・ルール、理論的に導かれた知見を説明し理解させることにする。
15 加工および解析の実際・・・その2
良い塑性加工を行うには材料の性質、加工法の特徴、摩擦の役割などの知識のほかに、経験や実験から得られた知識・ルール、理論的に導かれた知見を説明し理解させることにする。


・中間試験を実施する。
・定期試験を実施する。