【 2005 年度 授業概要】
科   目 電気機器 ( Electrical Machinery )
担当教員 早ノ瀬 信彦,加藤 真嗣
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・3単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-5(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
電気エネルギーを機械エネルギーに,あるいは機械エネルギーを電気エネルギーに変換する直流機と交流機の動作原理や構造を理解し,運転方法や速度制御法などを理解する.また,電圧を変換する変圧器について,動作原理や特性を理解する.4年生で3単位,5年生で1単位習得させる.4年生では,直流機,誘導機,変圧器について学ぶ.5年生では,同期機について学ぶ.



1 【A4-5】  直流発電機の構造、電機子巻線法、特性を理解させる。
2 【A4-5】  直流電動機の構造、運転方法、および速度制御法を理解させる。
3 【A4-5】  変圧器の動作原理を理解し、等価回路の導出やベクトル図が作図できるようにさせる。
4 【A4-5】  三相誘導機の動作原理や速度制御法を理解し、等価回路の導出や円線図の作図ができるようにさせる。
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1 直流発電機の構造、重ね巻と波巻の電機子巻線法、他励式と自励式の直流発電機の特性が理解できているか、中間試験、レポート、および小テストで評価する。
2 直流電動機の構造、始動方法、速度制御法を理解できているか、定期試験、レポート、および小テストで評価する。
3 変圧器の動作原理、等価回路の導出、電圧および電流のベクトル図の作図が理解できているか、定期試験、レポート、および小テストで評価する。
4 三相誘導機の動作原理、1相当りの等価回路の導出、円線図の作成、比例推移などの速度制御法が理解できているか、中間試験、定期試験、レポート、および小テストで評価する。
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到達目標1-4の中間試験,定期試験を60%で評価し,到達目標1-4のレポートおよび小テストを40%で評価する.ただし,出席状況の悪いものは不合格とする.
テキスト 「電気機械工学」:天野寛徳、常広譲著(電気学会)
配布プリント
参考書 「実用電気機器学」:森安正司著(森北出版)
関連科目  
履修上の
注意事項
電磁気学のうち磁気の分野,また電気回路の交流回路分野などは特に関連が深いので,良く学習をしておくこと.また,5年生で学習する電気機器に直接繋がる内容となっている.

【授業計画( 電気機器 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電気機器の概要と電気および磁気回路の基礎
電気機器製品は我々の生活のいたるところで使われている。具体例を挙げながら、電気機器製品について紹介する。また、電気機器を学ぶ上で必要な電気回路および磁気回路について説明する。
2 直流発電機の理論1
直流発電機は、磁界中にある導体が回転し、磁束を横切ることによって生じる起電力が発電電力となる。発生する起電力の大きさや電機子反作用について説明する。
3 直流発電機の理論2
電機子巻線に電流が流れると電機子反作用が発生する。この電機子反作用を打ち消すための方法などについて説明する。
4 直流発電機の構造
直流発電機の電機子、界磁、整流子などの構造について説明する。
5 電機子巻線法(重ね巻)
電機子鉄心のスロットに巻線を巻く方法には、重ね巻と波巻があり、重ね巻について説明する。
6 電機子巻線法(波巻)
電機子巻線の巻き方である波巻について説明する。
7 演習
1回から6回までの内容について演習を行う。
8 小テスト
直流発電機の理論、構造、および電機子巻線法の内容について小テストを行う。
9 直流発電機の種類と特性1
直流発電機は、界磁磁束を作る方法によって、他励式と自励式に分けられる。さらに、自励式には、直巻、分巻、複巻がある。これらの直流発電機の種類と他励式発電機の特性について説明する。
10 直流発電機の特性2
自励式である、直巻、分巻、複巻の発電機の特性について説明する。
11 直流発電機の運転
直流発電機を運転する際の注意事項、運転の手順を説明する。また、直流発電機を並列運転させるための方法についても説明する。
12 特殊直流機
特殊な直流機である増幅発電機、昇圧機、電気動力計について説明する。
13 演習
9回から12回までの内容について演習を行う。
14 中間試験
直流発電機について中間試験を実施する。
15 中間試験の解答と復習
中間試験の解答と直流発電機について復習する。
16 直流電動機の理論
直流電動機の構造は直流発電機と同じである。直流電動機を運転させたときの速度、発生するトルク、機械的な出力を導出する方法について説明する。
17 直流電動機の特性と用途
直流発電機と同様に直流電動機には、自励式と他励式がある。これらの直流電動機の特性と用途について説明する。
18 直流電動機の運転
直流電動機の始動方法や直流電動機の速度制御法を説明する。
19 直流機の損失,効率,温度上昇
直流機では様々な損失が発生する。その損失の分類と各損失について説明する。
20 直流機の試験と保守
各特性曲線を求めるための試験方法と直流機に必要な保守について説明する。
21 演習
16回から20回までの内容について演習を行う。
22 小テスト
直流電動機について小テストを行う。
23 変圧器の理論1
変圧器は、磁気現象を利用して電圧を変化させることができる機器である。理想変圧器について説明した後に、実際の変圧器について説明する。
24 変圧器の理論2
変圧器における電圧や電流の計算法やベクトル図の描き方、変圧器の等価回路の導出方法について説明する。
25 変圧器の定格と特性
変圧器を運転する際に必要な定格、電圧変動率、規約効率の求め方について説明する。
26 変圧器の構造
変圧器は、用途に合わせて構造が異なるため、様々な変圧器の構造について説明する。
27 変圧器の結線
変圧器の結線には、Y結線、Δ結線、V結線がある。それらの結線の方法について説明する。
28 相変換および並列運転
三相以外の相数の電力に変換するための変圧器の構造について説明する。また、複数台の変圧器を並列運転するための方法について説明する。
29 各種の変圧器
三相変圧器、単巻変圧器などの変圧器について説明する。
30 演習
23回から29回の内容について演習を行う。
31 三相誘導電動機の構造
三相誘導電動機は固定子と回転子から成り、回転子はかご形と巻線形の2種類がある。三相誘導電動機の構造について説明する。
32 三相誘導電動機の理論1
三相誘導電動機は変圧器と類似しており、一次巻線によって作られる回転磁界が二次巻線に鎖交し、電磁誘導作用によって回転する。すべり、二次誘導起電力、二次周波数、トルクの発生原理などについて説明する。
33 三相誘導電動機の理論2
三相誘導電動機は変圧器と類似しているので、変圧器の場合と同様に等価回路が存在する。等価回路の導出方法について説明する。また、一次巻線に供給された電力と機械出力との関係についても説明する。
34 三相誘導電動機の特性
三相誘導電動機を運転する際に重要な速度特性、出力特性、比例推移などについて説明する。
35 円線図
巻線抵抗の測定、無負荷試験、拘束試験の結果より求めた値から、円線図を描くことによって誘導機の特性が簡単に求められる。円線図の作図法について、実際に作図をしながら説明する。
36 演習
31回から35回の内容について演習を行う。
37 中間試験
三相誘導機の理論、構造、特性、および円線図について中間試験を行う。
38 中間試験の解答と復習
中間試験の解答と三相誘導電動機の復習をする。
39 三相誘導電動機の始動法
かご形誘導電動機および巻線形誘導電動機の始動法について説明する。
40 三相誘導電動機の速度制御法
三相誘導電動機では、電源周波数や極数を変えることにより、速度を制御できる。三相誘導電動機の速度制御法について説明する。
41 三相誘導電動機の力率改善法と試験法
巻線形誘導機では、二次回路から励磁電流を供給することにより、一次回路の力率を改善できるので、その方法について説明する。また、三相誘導電動機の定数を求めるための試験法も説明する。
42 特殊かご形三相誘導電動機
かご形誘導電動機の始動特性を改善するために、二重かご形、深みぞかご形などの特殊かご形誘導電動機について説明する。
43 単相誘導電動機
単相誘導電動機は構造が簡単で堅牢であるため、扇風機などの小形機器に用いられる。単相誘導電動機の構造や特性について説明する。
44 特殊誘導機
誘導発電機、誘導電圧調整器などについて説明する。
45 演習
39回から44回の内容について演習を行う。


・中間試験および定期試験を実施する。