【 2005 年度 授業概要】
科   目 計算機工学 ( Computer Architecture )
担当教員 松田 忠重
対象学年等 電気工学科・3年・通年・必修・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
マイクロコンピュータ技術の基礎を2部に分け1部ディジタル基礎、2部マイクロコンピュータ基礎として学ぶ。又後期ではマイクロコンピュータの実験実習を行う。マイクロコンピュータはパーソナルコンピュータとして広く使われているが、メカトロニクスの頭脳でもあるので、どちらかといえば後者の応用を念頭において学ぶ。CPUは機種になるべく依存しないようにする。



1 ディジタルとアナログの性質を説明できる。
2 ビットの意味,2進数コード、特に文字、整数型数値、実数型数値のコードを説明できる。
3 基本論理演算および基本論理回路を説明できる。
4 マイクロコンピュータのハードウエア、ソフトウエア構成を説明できる。
5 マイクロプロセッサが処理できる基本命令を説明できる。
6 マイクロプロセッサの行うプログラム処理の方法を説明できる。
7 アセンブリ言語でサブプログラム,および割り込みプログラムを書く場合の基本的な約束事が説明できる。
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1 ディジタルとアナログの性質を説明できることを前期中間試験で評価する。
2 ビットの意味,2進数コード、特に文字、整数型数値、実数型数値のコードを説明できることを演習と主に前期中間試験で評価する。
3 基本論理演算および基本論理回路を説明できることを演習と前期定期試験,および基本論理の簡単な組み合わせでできるセレクタ、デコーダ、エンコーダ、加算回路などの課題レポートで評価する。
4 マイクロコンピュータのハードウエア、ソフトウエア構成を説明できることを後期中間試験で評価する。
5 マイクロプロセッサが処理できる基本命令を説明できることを後期中間試験で評価する。
6 マイクロプロセッサの行うプログラム処理の方法を説明できることを後期定期試験で評価する。
7 アセンブリ言語でサブプログラム,および割り込みプログラムを書く場合の基本的な約束事が説明できることを演習と後期定期試験で評価する。
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評価は試験成績70%、レポートおよび授業中の演習30%の割合で総合評価する。
テキスト 「マイクロコンピュータ技術入門」:松田忠重著(コロナ社)
参考書 「イラストで読むマイクロプロセッサ入門」グレッド・ワイアント、タッカー・ハーマーストロンム共著(インプレス社)
「H8マイコン完全マニュアル」 藤沢幸穂著(オーム社)
PICマイコン活用ハンドブック トランジスタ技術編集部(CQ出版社)
関連科目  
履修上の
注意事項
電卓で2進数表示の方法程度は知っていてほしい.
電気工学科2学年で学ぶ論理回路の授業や論理回路の実験を通して論理とその回路を理解しているとよい.
計算機におけるハードウエア,ソフトウエア開発の基礎の一部であるのでよく理解して学んでほしい.

【授業計画( 計算機工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ディジタルとアナログ
ディジタルとは何か、アナログとは何か、それぞれどのような性質があるかを学ぶ。ディジタル計算機で扱う対象すべては、数値にされなければならないことを理解する。
2 コード化
各種のコードを例にコードとは何か学ぶ。ディジタル計算機で扱う対象はどのようなディジタルコードにされているか、いくつかの分りやすい例、音楽、マシンコード、ASCIIなどで学ぶ。
3 ビット
ディジタル計算機内部で扱う2進数の位取り、情報の測り方を学ぶ。
4 2進数による数値表現
2進数による数値表現、ストレート2進数、オフセット2進数、BCDの数値表現を学ぶ。
5 2進数による数値表現
2の補数形(整数形)2進数の数値表現を学ぶ。また、ここで2の補数形2進数、16進数、10進数との関係、手計算変換方法、電卓を使った変換方法を学ぶ。演習で、これらの変換が手計算でできるようにする。
6 2進数による浮動小数点数の数値表現
2進数による浮動小数点数(実数形)の数値表現を学ぶ。整数形と実数形の特徴と注意点を学ぶ。
7 演習
演習で、2進数による浮動小数点数と10進数との変換が手計算でできるようにする。
8 中間試験
1週目から7週目までが試験範囲。
9 中間試験解答解説,AD変換とサンプリング定理
中間試験の解答解説する.物理現象を電圧値で表しそれをディジタルコード(オフセット2進数または2の補数形2進数)にする方法を学ぶ。その場合の基本定理を学ぶ。
10 量子化誤差
AD変換する場合の基本的な特性の一つに分解能がある。AD変換する場合それによって避けられない誤差があることを学ぶ。
11 ブール代数
論理とは何か、計算機は人間と行うような論理ができること、その基本は何かを学ぶ(復習する)。
12 基本論理演算回路
基本論理演算回路を復習する。また、それらの組み合わせで作られる基本的なセレクタ、デコーダ、エンコーダ、加算器、記憶回路(フリップフロップ)などを復習し、基本論理回路で四則計算、論理演算、記憶もすることを学ぶ。
13 正論理回路、負論理回路
ディジタル回路では正論理回路だけでなく、負論理回路が使われる。正論理回路、負論理回路を学ぶ。
14 いろいろな入出力方式
ある種のディジタル回路の出力はハイレベル、ローレベルを出す他に遮断状態になることもできることを学ぶ。また信号の認識の方法にレベル、エッジ、レベルでヒステリシス特性を使う入力があることを学ぶ。
15 演習
簡単な論理回路を基本論理回路の組み合わせで作る。
16 前期定期試験解答解説,マイクロコンピュータの基本構成
前期定期試験の解答解説する。マイクロコンピュータのハードウエア基本構成装置(MPU,メモリ、IOインタフェース、バス)を学ぶ。また、メカトロニクス基本構成装置も学ぶ。
17 マイクロコンピュータの基本構成
マイクロコンピュータのソフトウエア基本構成(プログラム、データ又はOS,アプリケーション)を学ぶ。また、プログラムは主プログラム、副プログラム、割り込みプログラムがあり、それらがどのようなものか学ぶ。
18 MPUのハードウエア
MPUハードウエア構成要素(MPU内部構成要素と各種バス)の機能を学ぶ。
19 MPUの命令セットとハードウエア
MPUはどのような命令セットを持っているか、また、MPUハードウエア構成とそれらが周辺装置を使ってプログラム処理をどのように行うか(ノイマン方式)を学ぶ。
20 汎用レジスタ
MPUはどのような分類のレジスタを持っているか説明し,その中の汎用レジスタを説明する.
21 専用レジスタ
専用レジスタとしてステータスレジスタ、プログラムカウンタ、スタックポインタ、インデックスレジスタがあるが、ここでは始めの2つの機能を簡単な命令を使って学ぶ。
22 専用レジスタ
専用レジスタとしてステータスレジスタ、プログラムカウンタ、スタックポインタ、インデックスレジスタがあるが、ここではスタックポインタの機能を簡単な命令を使って学ぶ。
23 中間試験
16週目から22週目までが試験範囲。
24 中間試験解答解説,スタック
中間試験の解答解説する。メモリは大きく分けてプログラム領域、データ領域、スタック領域になることを学ぶ。スタックはサブプログラムではなくてはならないメモリであることを学ぶ。
25 スタック
スタックは割り込みプログラムではなくてはならないメモリであることを学ぶ。
26 アセンブラ言語
アセンブラ言語と他のコンピュータ言語の関係、アセンブラ言語とマシン語との関係、アセンブラ言語の構文を学ぶ。
27 命令セットの構成と疑似命令
アセンブラ言語の命令部の構成、MPUの命令と疑似命令の使い方、を学ぶ。主プログラムの書き方の基本を学ぶ。
28 サブプログラム
アセンブラ言語によるサブプログラムの書き方の基本を学ぶ。
29 割り込みプログラム
アセンブラ言語による割り込みプログラムの書き方の基本を学ぶ。
30 演習
簡単なサブプログラム、割り込みプログラムの課題を解く。


・中間試験を実施する。

・定期試験を実施する。