【 2005 年度 授業概要】
科   目 応用物理I ( Applied Physics I )
担当教員 北村 洋
対象学年等 電気工学科・3年・通年・必修・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
すべての自然科学の基礎である物理学の基本的な理論,その中でも物理学の基礎となっているだけでなく,すべての科学の規範にすらなっている力学についての講義を行う。内容的には,運動方程式等による数式的な取り扱いと共に,身近に起こる力学現象を”考え方”によって物理的に考察すると同時に,出来るだけ多くの演習問題を解くことにより,理解が深まるように進めていく。



1 位置,速度および加速度の概念をベクトル的に正確に理解できる。
2 ニュートンの運動の法則を理解し,これを利用して問題を解決できる。
3 各種の座標系の特徴を理解し,座標系の変換が出来る。
4 万有引力の法則を理解し,これを利用して問題を解決出来る。
5 慣性系と非慣性系上で生じる現象を理解し,問題の解決を図ることが出来る。
6 各保存則を理解し,これらを有効に活用することが出来る。
7 与えられた演習問題や課題を解くことが出来,また的確に報告することが出来る。
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1 位置,速度および加速度をベクトルを用いて,図式的に表示し,計算が出来るかを試験等で評価する。
2 ニュートンの運動の法則を用いて,方程式を立て,これを解くことにより問題を解決できるかどうかを試験等で評価する。
3 直角座標系,極座標系等の関係を理解できるかまたガリレイ変換等ができるか,質問等により評価する。
4 万有引力の法則を利用し,地球上あるいは宇宙空間で生じる現象を説明できるかを試験等で評価する。
5 慣性系では生じない非慣性系上の現象を理解し,問題の解決が図れるかを試験等で評価する。
6 運動方程式によらず,運動量およびエネルギー保存則等を活用し,問題を解決できるかを試験等で評価する。
7 演習問題を要領よく説明できるか,またレポート等で報告された内容が適切か否かについて評価する。
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到達目標1〜6の中間試験および定期試験80%,到達目標7の解答,報告内容等20%で評価する。ただし,出席状況,受講態度の悪い者は不合格とする場合がある。
テキスト プリント
「初等力学」:甲木 伸一 著(裳華房)
参考書 「基礎演習シリーズ 力学」:近藤 淳 著
「パリティ物理学コース セメスター物理I」:大槻 義彦 著(丸善株式会社)
「力学入門」:矢ヶ崎 克馬 著(裳華房)
関連科目  
履修上の
注意事項
暗記に頼らず,出来る限り定性的および定量的に理解するように努め,疑問があれば積極的に質問するか,またオフィスアワーズ有効に利用する。また,出席していても受講態度が良好でない者は,欠席扱いとする事がある。 関連科目の「数学」の微分,積分および微分方程式の計算が出来ること。また,ベクトルの取り扱いに習熟していること。

【授業計画( 応用物理I )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 運動と座標1
物体の位置は時間と共に変化するからベクトル量であり、位置ベクトルとして扱うことが出来る。
2 運動と座標2
速度と位置との関係を調べる。速度は単位時間当たりの位置ベクトルの変化量であるのでやはりベクトル量である。これをベクトル的に数式と図式で表す。
3 運動と座標3
加速度と速度および位置との関係を調べる。加速度は単位時間当たりの速度ベクトルの変化量である。これをベクトル的に数式と図式で表す。
4 ベクトルの和と差および内積(スカラー積)
ベクトルの和と差の演算法を説明し、ベクトルの内積の物理的な意味を知り、演算を行う。
5 ベクトルの外積(ベクトル積)
ベクトルの外積の物理的な意味を説明し、演算を行う。
6 関数のテイラー展開(マクローリン展開)
xの任意の関数f(x)をxのベキ級数に展開し、f(x)の近似式を得る。この方法を方程式の解を得るために利用する。
7 演習
項目1〜6までの内容について、演習問題を解くことにより理解を深める。
8 中間試験
これまでの内容についての試験を行う。
9 中間試験の解答および解説
実施した試験の結果を示し、解答および解説を加え、注意すべき点等を指摘する。
10 ニュートンの運動の第1法則
ニュートンの運動の第1法則すなわち、慣性の法則についての物理的な意味および身近に生じている現象について考察する。
11 ニュートンの運動の第2法則
ニュートンの運動の第2法則すなわち、運動方程式の物理的な意味、方程式の立て方および解法について説明する。
12 ニュートンの運動の駄3法則
ニュートンの運動の第3法則すなわち、作用・反作用の法則(相互作用力)についての物理的な意味および身近に生じている現象について考察する。
13 ガリレイの相対性原理1
1つの慣性系に対して、等速度直線運動をしている座標系はすべて慣性系であり、慣性系は無数に存在することを知る。
14 ガリレイの相対性原理2
物理法則が座標変換(ガリレイ変換)で同じ形に保たれることを相対性原理という。
15 演習
項目10〜14までの内容について、演習問題を解くことにより理解を深める。
16 ケプラーの法則
ケプラーの3法則を理解し、人工衛星の運動および惑星の運動についての問題を解決するのに利用する。
17 万有引力の法則1
ニュートンの万有引力の法則を理解し、これを利用して地球上および宇宙空間に生じる現象を解明する。
18 万有引力の法則2
項目17と同じ。
19 万有引力の法則3
項目17と同じ。
20 非慣性系の運動1
慣性系上では生じないが、非慣性系上でのみ生じる特殊な力すなわち遠心力、コリオリ力を理解する。これらの力が物体の運動および自然現象にどのような影響を与えるかを考察する。
21 非慣性系の運動2
項目20と同じ。
22 演習
項目16〜21までの内容について、演習問題を解くことにより理解を深める。
23 中間試験
これまでの内容についての試験を行う。
24 中間試験の解答および解説
実施した試験の結果を示し、解答および解説を加え、注意すべき点等を指摘する。
25 運動量の保存則1
運動量の保存則すなわち運動の前後の運動量は普遍であるという法則である。これを利用して、物体の運動の解明に利用する。
26 運動量の保存則2
項目25と同じ。
27 力学的エネルギーの保存則1
力学的エネルギーすなわち位置エネルギーと運動エネルギーの総和は運動の変化の前後で保存されるという法則である。これを利用して、物体の運動の解明に利用する。
28 力学的エネルギーの保存則2
運動量保存則とエネルギー保存則を用いることにより、運動の方程式を使用せずに問題を解くことが出来る場合があることを学ぶ。
29 角運動量の保存則
角運動量の時間的変化の割合は、その質点に働いている力のモーメントに等しい。質点に働く力のモーメントが0のときは、その質点の角運動量は保存されることを知る。
30 演習
項目25〜29までの内容について、演習問題を解くことにより理解を深める。