【 2005 年度 授業概要】
科   目 コンピュータ工学 ( Computer Engineering )
担当教員 尾崎 進
対象学年等 電子工学科・3年・通年・必修・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
8ビット汎用マイクロコンピュータについて、ハード、ソフトを学習する。制御用として機器に組み込まれるマイクロコンピュータ回路を設計するための基礎知識を学習する。紙面だけの理解に終わらないように3学年の電子工学実験実習と連携をとる。



1 マイクロコンピュータはCPU、メモリ、周辺インターフェースからなり、数値や符号は2値信号(high,low)によって表現されていることを理解する。
2 コンピュータの回路を構成するゲート、フリップフロップ、レジスタについて理解し説明できる。
3 デコーダ、エンコーダの機能を理解し、これらの応用について説明できる。
4 半導体メモリには、DRAM、SRAM,マスクROM、EPROMがあることを理解し、これらの記憶単位についてを説明できる。
5 CPUとメモリの結合について理解し、簡単な構成の、CPUとメモリの接続回路がかける。
6 CPUと入出力ポートの結合を理解し、簡単な構成の、CPUと入出力装置の接続回路が書ける。
7 命令とプログラムについて理解し、簡単なアセンブリプログラムが書ける。
8 入出力制御方式に同期方式、フラグ検査方式、割込み方式があることを理解し、これらの方式について、ハード、ソフトについて説明できる。
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1 マイクロコンピュータの基本構成が説明できるか、2進数、10進数、16進数、BCD符号の変換ができるか、2の補数を用いた演算ができるかなどを前期中間試験で評価する。
2 各種ゲートをトランジスタ回路で示し説明できるか、ファンアウトを算出できるか、フリップフロップの機能をタイムチャートで説明できるかなどを前期中間試験で評価する。
3 デコーダをゲート回路で書き説明できるか、デコーダやエンコーダの機能を入出力表を用いて説明できるか、デコーダやエンコーダの応用を図を書いて説明できるかを前期定期試験で評価する。
4 各種半導体メモリの記憶単位を回路図を書いて説明できるか、メモリを分類し特徴が説明できるか、メモリへの書込み(または、メモリからの読出し)について回路図をもちいて説明できるかを前期定期試験で評価する。
5 与えられたメモリ、デコーダなどをもちいて、指定されたメモリ構成を実現する回路が設計できるかを後期中間試験で評価する。
6 入出力装置(8ビットスイッチや8ビットLED表示器など)をCPUに接続し、データを入出力するための方法をハード、ソフト両面から、図およびプログラムを書いて説明できるかを後期中間試験で評価する。
7 各種命令を用いて、アセンブリ言語プログラムが書けて説明できるかを後期定期試験で評価する。
8 各種入出力制御方式(同期方式、フラグ検査方式、割込み方式)を用いて入出力機器とデータのやり取りが出来ることを具体的に図、プログラムを用いて説明できるかを後期定期試験で評価する。
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4回の試験成績の平均点を70%、授業中に随時実施する演習・レポート30%で総合評価する。
テキスト 「マイクロコンピュータの基礎」:森下巌(昭晃堂)
プリント
参考書 「PIC活用ハンドブック」:後閑哲也(技術評論社)
関連科目  
履修上の
注意事項
D2「論理回路」を理解しておくこと。D3電子工学実験実習の「マイクロコンピュータの基礎実験」および「PICの実験」と関係しており、これら実験実習と一緒に制御用コンピュータの学習を行なう。

【授業計画( コンピュータ工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 マイクロコンピュータとは
CPU,マイクロコンピュータの構成,LSIパッケージ,ワンチップ・マイクロコンピュータについて学習する.
2 2値信号による数値および符号の表現
ビット,バイト,MSB,LSB,2の補数による負数の表現,ASCIIコードについて学習する.
3 語長とクロック周波数,演習
CPUの語長,クロック周波数について学習したのち,テーマ2.3について演習を行なう.
4 ゲートとフリップフロップおよびレジスタ
記憶という観点から,ゲートとフリップフロップの違いを理解し,基本ゲート(AND,OR,NOT,NAND,NOR)とフリップフロップ(R−Sフリップフロップ,Dフリップフロップ,ラッチ)について復習する.次にレジスタについて学習する.
5 ロジックIC
TTLとCMOSの違いを理解した後,各種ロジックIC間の接続における電気特性,ファンアウトについて学習する.
6 MOSLSIとゲート
MOSLSIについて学習し,MOSLSIでどのようにゲートやフリップフロップが構成されているかを学習する.
7 3状態ゲートによる信号の選択
3状態ゲートについて学習し,これを用いてコンピュータ回路の信号選択がどのように行なわれるかを学習する.
8 中間試験
 
9 中間試験の解答およびデコーダ
中間試験の解答の後,3入力8出力デコーダについて学習する.また,これを用いてレジスタ間のデータ転送ができることを学習する.
10 エンコーダ
3入力8出力デコーダの応用としてレジスタ間のデータ転送をまず学習する.次に8入力3出力優先順位エンコーダについて学習したのち,その応用としてベクトル割り込み方式について学習する.
11 LSIメモリ
メモリが,フリップフロップ,デコーダ回路,読出し書込み制御回路から構成されることを学習した後,記憶容量,データの入出力線,アドレス信号線について学習する.また,LSIメモリの分類についても学習する.
12 SRAMの構成
スタティックRAMの記憶単位,デコーダ回路,読出し書込み制御回路について,詳細に学習する.
13 DRAM,ROMの記憶単位
DRAMの記憶単位について学習し,コンデンサの電荷で0,1が記憶されることを理解する.また,マスクROM,UV−EPROMの記憶単位について学習する.
14 メモリのアクセスタイムおよび演習
CPUがアドレス信号を与えてからメモリの記憶内容がデータバスに乗るまでの時間をメモリのアクセスタイムという,このことについて学習する.また,テーマ9から14についての演習問題を解く.
15 演習(14回のつづき)
前回に引き続き,テーマ9から14についての演習問題を解く.
16 前期定期試験の解答および8ビット・プロセッサの主要ピン構成
前期定期試験の解答の後,8ビット・プロセッサが,データ(8本),アドレス(16本),読出し書込みストローブ(4本)およびGND,VCC,クロック,リセット,割込み,ホールド端子などからなることを学習する.
17 CPUと1kバイトRAMとの接続
マイクロコンピュータの基本構成を学習した後,CPUと1kバイトRAMをどのように接続するのか,回路図をどのように書くのかを学習する.
18 8kバイトRAMの構成
1kバイトのRAMを8個と3入力8出力デコーダを1個使用し,アドレスが0000H〜1FFFHであるメモリを構成するためには,CPUとメモリをどのように接続すればよいかを学習する.
19 CPUと入力ポートの結合
CPUと入力ポートの結合について学習し,線形アドレス指定を用いて8ビットのスイッチ入力回路について学習する.
20 CPUと出力ポートの結合
CPUと出力ポートの結合について学習し,線形アドレス指定を用いて8ビットLED表示器について学習する.
21 プロセッサの内部構成
プロセッサには,演算実行のため演算論理ユニットALU,累積加算器ACC,フラグレジスタFR,汎用レジスタ群,スタックポインタSPがあり,基本動作のため命令レジスタIR,制御ユニットCU,プログラムカウンタPC,アドレスレジスタARがあることを学習する.
22 命令とプログラム
アセンブリプログラムについて学習し,1命令毎fetch,executionを繰り返していること,また各命令を実行する際にメモリを参照していることを理解する.
23 中間試験
 
24 中間試験の解答およびジャンプ命令
中間試験の解答の後,無条件・条件付ジャンプ命令について学習する.条件付ジャンプ命令は,直前の命令実行後のプラグレジスタの値(セットorリセット)によってジャンプすることを学習する.
25 スタックとスタックポインタおよび入出力
特別なメモリの利用機構(last-in first-out)であるスタック機構について学習する.
26 割込み処理および動作の開始
制御用マイクロコンピュータは,外部変化に応じて処理を行なう必要がある.この際ポーりング方式に比べて効率的である割込み処理について学習する.
27 演習
アセンブリ言語プログラムの演習問題を解く.
28 入出力制御方式1(同期方式)
プログラムの実効タイミングに同期しておこなう入出力制御方式をAD変換器から入力を例にあげて学習する.
29 入出力制御方式2(フラグ検査方式)
フラグ検査によって行なう入出力制御をプリンタを例に挙げて,ハード,ソフト両面から学習する.
30 入出力制御方式2(割り込み方式)
フラグ検査方式より効率的な割り込み方式についてプリンタを例に挙げて,ハード,ソフト両面から学習する.


・中間試験を実施する.
・定期試験を実施する.