【 2005 年度 授業概要】
科   目 有機合成化学 ( Synthetic Organic Chemistry )
担当教員 大淵 真一,岩田 信洋
対象学年等 応用化学科・4年・通年・必修・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-1(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
赤外吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、質量スペクトル(Mass)について、その原理とスペクトル解析法を解説し、演習問題を解かせることにより理解させる。
有機化学反応を有機電子論や分子構造の概念に基づいて分類し、反応機構を解説し、演習させることによって理論を理解させる。



1 【A4-1】  IR、NMRの原理が理解できる。IR、NMRスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができる。IR、NMRスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができる。
2 【A4-1】  Massの原理が理解できる。Massスペクトルのフラグメントイオンの構造解析ができる。IR、NMR、Massスペクトルから構造未知有機化合物の構造決定ができる。
3 【A4-1】  有機化学反応のメカニズムを考える上で重要かつ基本的な事項を解説し、理解させる。さらに、これらを基に反応別に電子の流れ図を用いて反応機構を考察できるようにする。
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1 IR、NMRの原理が記述できるか、IR、NMRスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができるか、IR、NMRスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができるかを前期中間試験で評価する。
2 Massの原理が記述できるか、Massスペクトルからフラグメントイオンの構造解析ができるか、IR、NMR、Massスペクトルから構造未知有機化合物の構造決定ができるかを前期定期試験で評価する。
3 有機化学反応の反応機構を中心に有機電子論の基礎が理解でき、反応式を用いて記述できるかを後期中間試験、後期定期試験で評価する。
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中間試験40%、定期試験40%、演習問題解答等の学習成績20%で評価する。
テキスト  
参考書 「有機化合物のスペクトルによる同定法(第6版)」荒木峻 他 訳(東京化学同人)
「有機化学のためのスペクトル解析法」野村正勝 監訳(化学同人)
「基礎有機化学」成田吉徳 訳(化学同人)
関連科目  
履修上の
注意事項
2、3年の有機化学の履修・修得を前提として講義を進めるので、十分に理解しておくこと。3年の分析化学で履修した分析機器の原理について復習しておくこと。前期は演習問題の解答をOHPを用いて発表させるので、課題として出された演習問題は必ず解いてくること。

【授業計画( 有機合成化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 有機化合物の構造とスペクトル
有機化合物は種々の波長の電磁波を吸収し,構造に特有な吸収スペクトルを示すことを解説する.
2 IRの原理と解析法,解析演習[I]
赤外吸収スペクトルの原理と解析法について解説する.構造既知化合物の赤外スペクトルから官能基を特定する演習を解かせる.
3 IRの解析演習[II]
演習問題の解答をOHPで学生に発表させる.解答について解説する.
4 NMRの原理
核磁気共鳴の原理,1H-NMR,13C-NMRの原理について解説する.化学シフト,カップリング定数,吸収線面積について解説する.
5 NMRの解析法
1H-NMRにおける化学シフト,カップリング定数,吸収線面積について具体的な化合物を例に挙げて解説する.
6 NMRの解析演習[I]
構造既知化合物とそのNMRスペクトルの解析法および構造未知化合物とそのスペクトルの解析法解説し,演習問題を解かせる.
7 NMRの解析演習[II]
演習問題の解答をOHPで学生に発表させる.解答について解説する.
8 中間試験
 
9 中間試験解答,Massの原理
中間試験の解答を解説する.質量分析スペクトルの原理を解説する.フラグメントイオン,分子イオンピーク,同位体ピークについて解説する.
10 Massの解析法と解析演習[I]
質量分析スペクトルにおける,構造既知化合物のスペクトルからフラグメントイオンの構造を同定する演習問題を解かせる.
11 Massの解析演習[II]
演習問題の解答をOHPで学生に発表させる.解答について解説する.
12 IR, NMR, Massの総合解析法
構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する方法を解説する.
13 IR, NMR, Massの総合演習[I]
構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する演習問題を解かせる.
14 IR, NMR, Massの総合演習[II]
構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する演習問題を解かせる.
15 IR, NMR, Massの総合演習[III]
演習問題をOHPで学生に解答させる.解答について解説する.
16 反応形式と試薬の分類
有機化学反応を反応形式による分類及び求核・求電子の反応試薬について解説する.
17 共鳴構造式および共鳴効果
共鳴理論の概念及びその効果(R効果)について解説する.
18 酸および塩基の定義
有機化学反応における酸・塩基の概念をルイス酸・ルイス塩基を中心に説明する.
19 感応効果
電気陰性度による誘起効果(I効果)及び超共役効果について解説する.
20 付加反応
非対称アルケンへの非対称試薬の付加反応におけるマルコウニコフ則についてそのメカニズムを解説し,練習問題を使って演習する.
21 置換反応[I]
求核置換反応(SN-1,SN-2)についての反応機構や反応性について説明し,練習問題を使って演習する.
22 置換反応[II]
求核置換反応機構をその立体的特徴や反応速度論的な考え方を説明する.
23 中間試験
 
24 中間試験解答及び復習
中間試験内容の解説と今までの復習をする.
25 脱離反応
脱離反応(E-1,E-2)反応における反応機構及び電子論的問題点について解説し,練習問題を使って演習する.
26 転位反応
酸触媒下でのカルボニウムイオンを経る転位反応について解説し,練習問題を使って演習する.
27 カルボニル化合物の反応[I]
アルデヒド・ケトンへの求核付加反応の例として,アセタールの生成,イミン・エナミンの生成反応機構について解説し,練習問題を使って演習する.
28 カルボニル化合物の反応[II]
エノール・エノラートの化学について解説する.
29 カルボニル化合物の反応[III]
アルドール縮合,交差アルドール縮合,分子内アルドール縮合についてその反応機構を説明し,練習問題を使って演習する.
30 総合演習および解説
練習問題を中心に有機電子論について復習する.


中間試験を実施する.
定期試験を実施する.
追加で試験を実施することがある.