【 2005 年度 授業概要】
科   目 分析化学 ( Analytical Chemistry )
担当教員 樋口 俊一,山口 茂六
対象学年等 応用化学科・3年・通年・必修・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
授業の概要
と方針
分析装置の基本事項や原理を知っていなければ装置をいつも良好な状態に維持して精度の高い分析結果を得ることはできない。本講義では特に重要と思われる分析装置を選び、装置の基本事項および原理の基礎を解説する。同時に分析装置の使用に当たって、試料の前処理、標準物質の調整など、特に重要と思われる数種の溶液反応を選びその基礎理論を解説する。



1 溶液反応の基礎事項を理解できる。
2 クロマトグラフィー分析法の原理、装置、分析対象の概要が理解できる。
3 吸光光度分析、赤外吸収スペクトル分析、X線分析法の原理、装置、分析対象の概要が理解できる。
4 核磁気共鳴分析、質量分析法の原理、装置、分析対象の概要が理解できる。
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1 錯体、酸化還元など溶液反応の基礎事項を説明できるかを中間試験で評価する。
2 クロマトグラフィー分析法の特徴(原理、分析対象等)が説明できるかを期末試験で評価する。
3 吸光光度分析法等講義した分析法の特徴(原理、分析対象等)が説明できるかを中間試験で評価する。
4 核磁気共鳴分析法等講義した分析法の特徴(原理、分析対象等)が説明できるかを期末試験で評価する。
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中間試験と定期試験の平均80%、平常点(授業態度等)20%
テキスト 「基礎分析化学」 今泉他 共著(化学同人)
「入門機器分析」 庄野利之・脇田久伸 共著(三共出版)
参考書 「入門機器分析化学演習」 庄野利之・脇田久伸 編著(三共出版)
関連科目  
履修上の
注意事項
2年生の分析化学の理解が必要。

【授業計画( 分析化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 金属錯体
金属−配位子の組み合わせでできる化合物を金属錯体あるいは単に錯体と呼ぶ。ルイス酸塩基とHSAB則との関係を学習する。
2 金属錯体平衡
錯体の生成反応式から錯体の生成定数、逐次生成定数を評価する。
3 キレート滴定と代表的な滴定法
キレート錯体、キレート試薬の構造式の説明を行い、直接滴定、逆滴定、置換滴定について学習する。
4 酸化還元電位とネルンスト式
標準酸化還元電位とネルンスト式について説明し、電極電位と活量との関係を説明する。
5 酸化還元反応の平衡定数
酸化還元電位と平衡滴定との関係式を導き、代表的な酸化還元反応とその平衡定数を評価する。
6 電位−pH図
実用上重要な電位−pH図の使い方、作成方法について学習する。
7 演習問題
章末問題の解法を行う。
8 中間試験
 
9 中間試験解答
 
10 酸化還元指示薬、代表的な酸化還元定
酸化還元指示薬の用い方を学ぶ。また、過マンガン酸カリウム滴定、ニクロム酸滴定、ヨウ素滴定について学習する。
11 電気伝導率
電解質溶液のイオン伝導率は大きいイオンほど小さいが、水素イオン及び水酸イオンはグロッタスの機構から大きい数値を示す。
12 演習問題
章末問題の解法を行う。
13 クロマトグラフィー (分類、基礎)
クロマトグラフィーは移動相が気体のガスクロマトグラフィーと、移動相が液体の液体クロマトグラフィーに大別される。
14 クロマトグラフィー (定性、定量)
各成分の定性分析Rf値や保持値で、定量分析はスポット面積やピーク面積などで行われる。
15 クロマトグラフィー (装置)
ガスクロマトグラフィーは試料注入部、分離カラム、検出器からなる。液体クロマトグラフィーは移動相を送る送液ポンプ、試料注入部、カラム、検出器から構成される。
16 吸光光度分析 (原理、装置)
試料物質の基底状態から励起状態への電子遷移に基づく、光(可視光・紫外光)を吸収する現象を利用する定性・定量分析が吸光光度分析である。
17 吸光光度分析 (測定法)
物質の濃度と吸光度には直線関係がある。混合物の吸光度は加成性がなりたつため、混合物の定量、反応速度の測定にも利用される。
18 原子吸光分析 (原理、装置)
試料を化学炎などで熱解離し、生成した基底状態の原子蒸気に、特定波長の光を照射したとき起こる原子の吸光現象を利用した分析法である。
19 原子吸光分析 (測定法)
フレーム法では試料を溶液として測定される。一般に溶媒として水がよく用いられるが、可燃性の有機溶媒も用いることができる。
20 赤外吸収スペクトル分析 (原理)
試料に赤外線をあて、双極子モーメントが変化する分子骨格の振動、回転に対応するエネルギーの吸収を測定する。有機物の定性・定量分析に利用される。
21 赤外吸収スペクトル分析 (装置)
光源、モノクロメーター、検出器から構成される。
22 赤外吸収スペクトル分析 (測定法)
分子の振動数は分析を構成する原子の質量や構造に依存するので、有機化合物の構造を推定するのによく用いられる。
23 中間試験
 
24 中間試験解答、X線分析 (原理)
試料中の原子から散乱されるX線の回折角や強度は物質の構造に特有であり、その回折角から定性分析、強度から定量分析ができる。
25 X線分析 (原理、装置)
光源、モノクロメーター、検出器から構成される。分光器、検出器から構成される。
26 X線分析 (測定法)
X線回折法では物質の同定をしたり、結晶の構造を決定することもできる。また、非晶質物質や液体の短範囲構造を決定することもできる。
27 核磁気共鳴分析 (原理、装置)
共鳴吸収位置(化学シフト)の相違によりいろいろな化合物の定性が可能で、共鳴吸収の強さから定量分析への応用も期待できる。
28 核磁気共鳴分析 (測定法)
試料を磁石の中に入れ圧縮空気で回転させる。次にピークの分離をよくするため分解能調製を行う。。その後、測定条件を入力して測定を開始する。測定終了後、横軸にδ値、縦軸にシグナルの相対強度をとったチャートを描かせる。
29 質量分析 (原理、装置)
試料をイオン化し、イオン化された試料分子およびその分子の断片イオンを、磁場型もしくは四重極型の装置により、質量/電荷数の大きさに応じて分離し、得られた質量スペクトルの位置から定性分析を、強度から定量分析を行う。
30 質量分析 (スペクトルの解析、測定法)
有機化合物では分子量の正確な決定や同定ができる。また、試料の構造が未知の場合、分子構造の推定を行うことができる。


・中間試験を実施する。
・定期試験を実施する。