2005 年度ディジタル信号処理シラバス

【 2005 年度授業概要】
学習・教育目標			工学系複合プログラム	ＪＡＢＥＥ基準１（１）
科　　　目			ディジタル信号処理 ( Digital Signal Processing )
担当教員			三好誠司
対象学年等			電気電子工学専攻・1年・後期・選択・2単位
学習・教育目標			A1(40%) A4-4(60%)	(c),(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要と方針			ディジタル信号処理は，現代のIT社会を支えるきわめて重要な基盤技術である．本科目では離散時間信号の考え方，z変換，離散フーリエ変換，ディジタルフィルタなどディジタル信号処理の基礎的な考え方を理解させる．
到達目標		1	【A1】　離散時間信号、インパルス応答、たたみこみ、標本化定理などの基本的事項が理解できている。
		2	【A1】　フーリエ変換、フーリエ級数、ラプラス変換、z変換の意味と用途が理解できている。
		3	【A4-4】　 z変換を用いて離散時間システムの安定性の判別や周波数応答の導出ができる。
		4	【A4-4】　高速フーリエ変換の理論と意義が理解できている。
		5	【A4-4】　 IIRディジタルフィルタ、FIRディジタルフィルタの基本的な設計手法が理解できている。
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評価方法と基準	到達目標毎	1	基本的事項が理解できていることを発表と試験で評価する。
		2	フーリエ変換、フーリエ級数、ラプラス変換、z変換の意味と用途が理解できていることを発表と試験で評価する。
		3	z変換を用いて離散時間システムの安定性の判別や周波数応答の導出ができることを発表と試験で評価する。
		4	高速フーリエ変換の理論と意義が理解できていることを発表と試験で評価する。
		5	IIRディジタルフィルタ、FIRディジタルフィルタの基本的な設計手法が理解できていることを発表と試験で評価する。
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	総合評価		到達目標1～5に関して授業での発表を20%，中間試験40%，期末試験40%で評価する．
テキスト			「ディジタル信号処理入門」三好誠司（担当者が執筆，製本した資料）
参考書			「ディジタル信号処理（上）」Oppenheim，伊達玄（コロナ社）「ディジタル信号処理（下）」Oppenheim，伊達玄（コロナ社）
関連科目
履修上の注意事項			応用数学の内容を修得していることを前提とする．

【授業計画（ディジタル信号処理）】
週	上段：テーマ／下段：内容（目標、準備など）
1	ディジタル信号処理の意義と概要
1	従来、アナログ信号はアナログ回路でアナログ的に、ディジタル信号はディジタル回路でディジタル的に処理されることが多かった。ディジタル信号処理はアナログ信号をディジタル的に処理する技術である。ディジタル信号処理にはさまざまな利点がある。
2	離散時間信号とシステム
2	線形でシフト不変なシステムを考えることにする。この場合、システムの出力は、そのシステムのインパルス応答とそのシステムへの入力のたたみ込み和となる。また、システムが安定であるための必要十分条件はインパルス応答の絶対値和が加算可能であることである。
3	離散時間システムと信号の周波数領域での表現
3	システムの周波数特性はインパルス応答をフーリエ変換することにより求めることができる。
4	連続時間信号の標本化
4	連続時間信号を標本化した信号のフーリエ変換は標本化前の信号のフーリエ変換を周波数シフトしそれらを無限個加算したものである。すなわち、時間域での離散化により周波数域では周期的になる。
5	標本化定理
5	時間域で標本化された信号から元の信号を復元するためには元の信号に含まれる最大周波数の2倍以上の周波数で標本化しなければならない。これを標本化定理と呼ぶ。
6	z変換、z変換の収束と物理的実現性
6	連続時間信号に対するフーリエ変換の全複素平面への拡張がラプラス変換であるのに対し、離散時間信号に対するフーリエ変換の全複素平面への拡張がz変換である。
7	システム関数、逆z変換
7	インパルス応答のz変換をシステム関数または伝達関数と呼ぶ。システム関数とそのシステムの周波数特性、安定性、回路方程式等には密接な関係がある。
8	中間試験
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9	中間試験の返却と解説、連続時間信号のフーリエ解析
9	周期的な連続時間信号のフーリエ表現はフーリエ級数と呼ばれる。非周期的な連続時間信号のフーリエ表現はフーリエ変換と呼ばれる。
10	周期的な数列の表現（離散フーリエ級数）
10	周期的な離散時間信号のフーリエ表現は離散フーリエ級数(DFS)と呼ばれる。すなわち、DFSは時間域と周波数域の両方において標本化されており、かつ周期的である数列を互いに変換する。
11	有限区間数列のフーリエ表現（離散フーリエ変換）
11	DFSの1周期にだけ着目すると離散フーリエ変換(DFT)が得られる。よって、DFT非周期的な信号を対象にしているのではなく、あくまでもDFSの1周期を見た結果であることに注意が必要である。
12	高速フーリエ変換
12	DFTはサンプル数Nの2乗のオーダーの計算量が必要である。しかし、係数行列の規則性をうまく利用することによりこれをNlogNのオーダーに削減することができる。これを高速フーリエ変換(FFT)と呼ぶ。
13	ディジタルフィルタ、アナログフィルタ概論
13	ディジタルフィルタはIIRフィルタとFIRフィルタに大別される。また、代表的なアナログフィルタにはバタワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、楕円フィルタがある。
14	IIRディジタルフィルタの設計
14	IIRディジタルフィルタの代表的な設計法にはインパルス不変変換、双一次変換がある。
15	FIRディジタルフィルタの設計
15	FIRディジタルフィルタの代表的な設計法には時間窓を用いる方法、周波数サンプリング法がある。時間窓として用いられる代表的な窓に方形窓、バートレット窓、ハニング窓、ハミング窓、ブラックマン窓がある。
備考	中間試験を実施する。期末試験を実施する。