【 2005 年度 授業概要】
科   目 移動現象論 ( Transport Phenomena )
担当教員 大村 直人
対象学年等 応用化学専攻・1年・前期・選択・2単位
学習・教育
目標
工学系複合プログラム JABEE基準1(1)
A4-4(100%) (d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
はじめに、化学プロセスを支配する運動量(流動)、エネルギー(熱)、物質の移動の原理を相似則の観点から学習する。これらの移動原理に基づき、エネルギー保存則、運動量とエネルギーの移動方程式を学習した後、配管設計および、熱交換器の設計について学習する。



1 【A4-4】  運動量、エネルギー、物質の移動原理とその相似性について理解できる。
2 【A4-4】  エネルギー保存則と力学的エネルギー保存式を理解し、配管設計ができる。
3 【A4-4】  微視的な収支の考え方を理解し、運動量および、エネルギーの移動方程式を理解できる。
4 【A4-4】  対流による伝熱機構を理解し、二重管式の熱交換器の設計ができる。
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1 運動量、エネルギー、物質の移動原理とその相似性について理解できているかを中間試験で評価する。
2 エネルギー保存則と力学的エネルギー保存式を理解し、配管設計ができるかどうかを演習課題、中間試験および、期末試験で評価する。
3 微視的な収支の考え方を理解し、運動量および、エネルギーの移動方程式を理解できるかを、演習課題および、期末試験で評価する
4 対流による伝熱機構を理解し、二重管式の熱交換器の設計ができるかを、演習課題および、期末試験で評価する。
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到達目標1,2の中間試験40%、到達目標2,3,4の期末試験を40%、到達目標2, 3, 4の演習課題20%で評価する。
テキスト 講義資料をあらかじめ配布する。
参考書 「輸送現象」 : 水科篤郎、荻野文丸 著 (産業図書)
「現代化学工学」 : 橋本健治、荻野文丸 著 (産業図書)
関連科目  
履修上の
注意事項
数学の微分積分、物理化学の熱力学分野の基礎式は習得していること

【授業計画( 移動現象論 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 化学プロセスと移動現象
導入として、様々な化学プロセスについての紹介と、プロセス内での移動現象について講述し、本講義の目的を理解する。
2 ニュートンの粘性の法則
流体の粘性とニュートンの粘性の法則を理解する。また、速度と流束の物理的意味について理解する。
3 フーリエの熱伝導の法則、物質移動速度と物質流束
前回のニュートンの粘性の法則を復習した後、フーリエの熱伝導の法則について学習する。さらに、物質移動速度と物質流束について学習する。
4 フィックの拡散の法則と運動量、エネルギー、物質移動の相似性
前回の物質移動と物質流束の復習の後、フィックの拡散の法則を導出する。次にニュートン、フーリエ、フィックの法則を整理し、運動量、エネルギー、物質移動の相似性を理解する。
5 エネルギー保存の法則
熱力学の簡単な復習を行い、エネルギー保存の法則について講述する。さらに、熱エネルギーの収支について学習する。
6 力学的エネルギー収支とベルヌーイの式
前回のエネルギー保存の法則をもとに、力学的エネルギー収支を説明し、ベルヌーイの式を導出する。
7 中間テスト
講義第1回目から第6回目までの内容について試験を行い、理解度を確認する。
8 微視的収支の取り方と熱移動方程式
微視的な収支の取り方を解説し、熱移動の方程式を導出する。
9 運動量の微視的収支と運動量移動方程式
運動量の微視的収支を解説し、運動量の移動方程式を導出する。
10 移動方程式の適用
第8回目、第9回目の授業で学習した移動方程式を適用して、物質の温度分布や流体の速度分布を求めることを学習する。
11 シェルバランス法と円管内流れの層流時の速度分布
シェルバランス法を解説し、これを用いて円管内流れの層流時の速度分布を求める。これにより、ハーゲン・ポアズイユの法則について理解する。
12 円管内流れの圧力降下と管路系の摩擦損失の計算
円管内流れの圧力降下について解説し、ファニングの圧力損失式を導出する、これを用いて管路系の摩擦損失の計算を行う。
13 伝熱抵抗の考え方と伝熱係数
伝熱抵抗の考え方を解説する。次に、境膜と伝熱係数の物理的意味、円管内の流れに対して伝熱係数の算出法を解説する。
14 総括伝熱係数と対数平均温度差
熱交換器を設計するために、総括伝熱係数と対数平均温度差の導出とその意味を解説する。
15 二重管式熱交換器の設計
演習形式により二重管式の熱交換器を設計する。


・中間試験を実施する。
・期末試験を実施する。