科 目 | 高分子材料化学 ( Polymer Material Chemistry ) | |||
---|---|---|---|---|
担当教員 | 田中 守,松井 哲治 | |||
対象学年等 | 応用化学専攻・1年・通年・選択・4単位 | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
A4-1(90%) D1(10%) | (b),(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g) | |||
授業の概要 と方針 |
前半では、本科で行った高分子化学及び高分子工業化学の基本知識をもう一度確認するとともに、さらに精深な内容を講義、演習する。後半では、高分子の劣化の基礎的概念と応用例について学び、地球環境保全や資源を有効活用する視点を身に付ける。 | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-1】 高分子化学及び高分子工業化学の基本が理解できていること。 | 2 | 【A4-1】 高分子化学の基礎的知識を使った応用問題が解けること。 | 3 | 【A4-1】 高分子劣化(特に熱劣化・化学劣化)の様式を理解するとともに、その機構やそれを利用した高分子の分析法を理解すること。 | 4 | 【A4-1】 安定な高分子の分子構造を知り、それほど安定でない高分子材料に対しては安定剤の役割を理解すること。 | 5 | 【D1】 高分子のケミカルリサイクル法を学び、環境保全や資源の有効活用の重要性を認識すること。 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 高分子化学及び高分子工業化学の基本が理解できていることを定期試験及び授業中の演習から評価する。 | |
2 | 高分子化学の基礎的知識を使った応用問題が解けることを定期試験及び授業中の演習から評価する。 | |||
3 | 高分子劣化のなかで熱劣化・化学劣化についてその機構とそれを利用した高分子分析法を理解できているか試験によって評価する。 | |||
4 | 安定な高分子の分子構造と安定化剤の役割について試験によって評価する。 | |||
5 | 高分子のケミカルリサイクル法と、環境保全や資源の有効活用の重要性についてレポートで評価する。 | |||
6 | ||||
7 | ||||
8 | ||||
9 | ||||
10 | ||||
総 合 評 価 |
到達目標1,2,3,4の試験結果を70%、到達目標1,2の演習及び5の課題レポートなどの学習成績を30%として評価する。 | |||
テキスト | 「高分子科学演習」:高分子学会(東京化学同人) 「高分子の劣化ー原理とその応用ー」:WOLFRAM SCHNABEL著 相馬純吉訳(裳華房) |
|||
参考書 | 「高分子化学I-合成ー」:中條善樹(丸善) 「ハイテク高分子材料」:中島章夫他(アグネ) |
|||
関連科目 | ||||
履修上の 注意事項 |
・中間試験を実施する。 ・期末試験を実施する。 ・演習問題のレポートを課する。 ・高分子材料のリサイクルに関するレポートを課する。 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
---|---|
1 | モノマーの合成(1) |
ナフサ分解成分からモノマーの合成される工程を学習する。 | |
2 | モノマーの合成(2) |
前週に学んだ内容について、その内容を確認すると同時にさらに深く理解するため演習問題を行う。 | |
3 | 高分子工業(1) |
プラスチック工業、合成繊維工業及び合成ゴム工業で扱われる高分子物質の合成経路を講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
4 | 高分子工業(2) |
エンジニアリングプラスチック及びFRPについて講義する。 | |
5 | 高分子工業(3) |
ポリマーアロイ、熱可塑性エラストマー及び液晶ポリマーについて講義する。 | |
6 | 高分子合成の基礎(1) |
逐次反応及び連鎖反応について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
7 | 高分子合成の基礎(2) |
ビニル系ポリマーの合成反応について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
8 | 重縮合と開環重合 |
重縮合や開環重合により得られるポリマーの合成及びその性質について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
9 | イオン重合 |
イオン重合の開始剤とモノマーの組み合わせ及び生成ポリマーの性質について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
10 | 立体特異性重合 |
チーグラーナッタ触媒重合及びメタセシス重合について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
11 | ラジカル重合(1) |
ラジカル重合の素反応とその動力学的扱いについて講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
12 | ラジカル重合(2) |
溶液重合、バルク重合、懸濁重合及び乳化重合について講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
13 | ラジカル重合(3) |
ラジカル重合の連鎖移動と生成ポリマーの分子量の関係を講義する。その後、この内容の精深な理解のため、演習問題を行う。 | |
14 | 共重合(1) |
モノマーAとモノマーBとの二元共重合での重合初期に生成する共重合体の組成とモノマー濃度及びモノマー反応性比の関係を講義する。 | |
15 | 共重合(2) |
前週に学んだ内容について、その内容を確認すると同時にさらに深く理解するため演習問題を行う。 | |
16 | 高分子劣化の定義とその形態 |
高分子の劣化の形態を分類し、その特徴について解説する。 | |
17 | 単一過程と連鎖反応 |
高分子劣化の過程で起こる化学反応の一般的特徴について(逐次反応・連鎖反応)解説する。また自動参加についても簡単に述べる。 | |
18 | ランダムなアタックと特定点へのアタック |
高分子の劣化の形態を分類し、その特徴について解説する。また、また、高分子の劣化反応の起こり易い箇所や全くランダムに起こる例などについても解説する。 | |
19 | 高分子劣化の検知(分子量とその分布変化の測定)とその応用 |
高分子劣化の検出法と分子量変化について解説する。またランダムな劣化かどうかの判定法について述べる。 | |
20 | 熱劣化について、耐熱性の評価 |
熱劣化の特徴と熱劣化を評価する方法(主として熱分析法)について解説する。 | |
21 | 熱劣化の反応機構からの見方 |
熱劣化反応中に起こる反応を主鎖切断・側鎖切断・離脱・解重合・環化・架橋に分けて解説するとともに、その後の停止反応についても述べる。 | |
22 | 同上 |
熱劣化反応の中で特徴的な解重合におけるジッパー反応とポリ塩化ビニル(PVC)に見られる脱塩化水素反応について解説する。 | |
23 | 耐熱性高分子 |
耐熱性高分子の基本構造の特徴とその具体例について紹介する。 | |
24 | エンジニアリングプラスチック(エンプラ)とスーパーエンプラ |
機械的性質のみならず熱的に優れる5大汎用エンプラと、さらに優れたスーパーエンプラを紹介する。また、アラミドやポリイミドについても述べる。 | |
25 | 安定化、熱分解と高分子分析 |
高分子材料の安定化に必要な連鎖防止剤やヒドロペルオキシド分解剤について紹介する。また、PVCの安定剤についても述べる。 | |
26 | 熱分解とリサイクル |
熱分解質量スペクトルによる高分子熱分解生成の分析と熱分解を利用した資源再利用(ケミカルリサイクル)の実施例を紹介する。 | |
27 | 化学劣化の定義、ソルボリシス |
化学劣化の定義を述べるとともに種々の加溶媒分解(ソルボリシス)について解説する。またこれを利用した高分子の同定法についても紹介する。 | |
28 | ケミカルリサイクル |
高分子材料の酸やアルカリ性媒質にたいする安定性と化学劣化を利用した工業的なケミカルリサイクル例を紹介する。 | |
29 | 酸化劣化(自動酸化)とオゾン酸化 |
ポリエチレンの自動酸化、オゾン酸化反応機構について、ESR、IR、NMRスペクトルやヒドロペルオキシド濃度の実験結果から予想される反応機構を反応速度論の観点から解説する。 | |
30 | 同上 |
ポリエチレンとポリプロピレンのオゾン酸化機構の違いを前述の実験結果の相違点から速度論的に解説する。 | |
備 考 |
・期末試験を実施する。 ・中間試験実施する。 |